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 「 私のブログ  西村 勝彦

始めに:ブログのルール

最初に執筆年月日、テーマ、引用先を明記し、そのあとに新聞記事等の第一フレーズを引用、引き続き、・(ナカグロ)以下に抜粋や要約、⇒以下に私の意見や所感を書くことを原則にしています。意見や所感内の引用は「 」を付しています。

 HPでお読みいただく場合は以下のアドレスからお願いいたします。

http://k-nishimura-office.la.coocan.jp/

2020.12.01 地方が壊れていく わが街のリアル
  日本経済は傷みに傷み、GDPは30兆円規模で失われる。コロナ禍は、今なお猛威を振るう都市部だけでなく、地方と地方経済にも大きな負の影響を与え続けている。歴代政権は「再生」「創生」と繰り返したが、かけ声倒れは否めない。むしろ人口減・高齢化という構造的で深刻な問題に加え、つかの間の好景気の下で覆い隠されていた甘さや限界が露呈した。これからもっと地方が壊れていく、地方から崩れていく。このシナリオは決して非現実的なものとは言い切れない。(日経ビジネス 2020年11月30日から)
 ⇒本日郵送されてきた日経ビジネスの特集記事に驚いた。「コロナ禍の日本、19年度実質DGPは534兆円、20年度は504兆円、その差の約30兆円分の実質GDPが失われる見込みだ」と言う。
 記者がレポートで具体的事例として採り上げているのは、キャノンなど日本を代表する企業を誘致にこぎつけたのが40年前、半導体製造のアムコーテクノロジージャパンが工場を畳み、社員が去った大分県北東郡杵築市、コロナ禍で失う市の税収1億円。予算規模200憶円ほどの自治体で1億円の収入減は大きな痛手。「企業誘致成功でわが街は安泰」は無残に崩れ行く。
 その他、「消えた訪日客・描けぬ修復図」の岐阜県高山市。「(立命館大学びわこ くさつ キャンパス)が茨木市に出て行く滋賀県草津市」、小さな町の生活を支えるインフラだった「イオン」がついに閉店。街の発展の象徴だったテナントビルがロゴなきイオンが廃墟になりかねない佐賀県上峰町などのリアルが詳しく紹介されている。
 現在、北播磨地域に存在する大企業の工場群にも、国立、私立大学2校にも、イオンにも撤退の計画はないようだが、油断はならない。
少子高齢で子どもが少なくなり、若者は18歳を機に都会の大学等に入学して青年団も消防団も団員確保に苦労している。地方に永遠の繁栄はない。どんな小さな「わが街のリアル」も見逃さないことが重要だ。

2020.12.02 賢い政府が目指す賢い支出
・(コロナ感染拡大による不況は)過去の不況よりもダメージを受けた地域・所得層が偏っているのが特徴で、国や州全体での「薄く、広く」型の対策は効果が限られた。「失業が深刻な地域をピンポイントで狙った雇用支援や社会保障」などが今後の選択肢になりうると(米ハーバード大学の)チェティ教授らは訴える。
・資本主義は「好不況の波」という宿命を抱え、時として政策の下支えを必要とする。だが、リーマン・ショックの際は金融の暴走と経済の混乱に対して政策は機能しきれなかった。一般市民が深い傷を負い、資本主義への懐疑が強まった。
・そしてコロナ危機で再び政策をどう使いこなすかが問われている。分かってきたのは、規模ではなく、「賢さ」こそが政策の効果を決めるということだ。
世界を見渡せば、政策のイノベーションを競う動きが始まっている。(日経・コロナと資本主義・再生への道③ 12/02から)
 ⇒日経紙が紹介する「賢い支出」の世界的な潮流は、①デジタル投資と、②グリーンリカバリーへの投資の2点
・財政支出の拡大が避けられないならデジタル領域のインフラ整備に資金を集中し、次の経済成長への布石を打つ。高速通信網などが整備されれば在宅勤務がより容易になり、新たなパンデミック(世界的流行)への耐性も「一石二鳥」で高められる。
・デジタル分野に58兆2千億ウォン(5.5兆円)を投じる。韓国の文在寅大統領は7月に発表した「韓国版ニューディール」構想にこんな計画を盛り込んだ。全国の小中高に高性能Wi-Fiを導入したり、人工知能(AI)の精密診断が可能な「スマート病院」を整備したりする。
・景気対策を環境配慮型の社会への転換につなげる「グリーンリカバリー」も世界的な潮流だ。先導役の欧州連合(EU)は21年からの7年間で環境分野に少なくとも5500億ユーロ(約68兆円)を投じる。カナダは企業への緊急融資制度の利用条件に、気候変動の影響を踏まえた財務情報の開示などを掲げた。
 ⇒日本のコロナ対策費に占めるデジタル分野とグリーンリカバリー分野への投資総額が、いか程の金額であるかは分からない。
ところが、「日本のコロナ対策の規模は他国と比べて異常なほど巨額だ。感染者数が世界最大、1200万人をこえる米国が対GDP比15%、100万人超ドイツ、イタリアが同30%台なのに感染者数が14万人の日本は総額233,9兆円、対GDP比は主要7か国(G7)で最高の42%だ」。(データは、朝日・経済気象台12/1参照)
・非効率な分野に財政資金を投じた国は経済が停滞し、膨張した公的債務の処理に苦しむだろう。活力を求め、創意工夫を続けていく。資本主義の原点に向き合えるかどうかが、国家の浮沈さえも左右する。
 ⇒日本が「非効率な分野に巨額のコロナ対策費財政資金を投いている」と断じることについては、今後の検証を待たなければならないが、現代の日本が「大きな政府より賢い政府」を指向しているかどうかは分からない。
傍白
グリーンリカバリー(緑の復興)とは、新型コロナからの経済回復と脱炭素化を同時に進める動きで、欧州委員会が提唱した。
新型コロナウイルス危機が及ぼす経済社会の停滞から、どのように回復していくのか。国際社会ではコロナ危機からの経済回復は、ただ単に元の世界に戻るのではなく、パリ協定が目指す脱炭素社会の方向性と合致していなければいけない。脱炭素社会への転換に貢献する経済復興を目指す、「グリーン・リカバリー」というコンセプトが広がっていることを理解しておきたい。


2020.12.03 地方自治体の情報システム仕様統一へ 
  政府は約1700に上る地方自治体の情報システムについて仕様を統一する。2025年度までの実現を義務付ける新法を定め、予算を基金で積む。「地方自治」で各自治体が独自に構築した結果、連携ができずに非効率を招いている。新型コロナウイルス禍で行政対応の問題が露呈した。とはいえ官民が築いた既得権の壁は高く、看板倒れになる懸念もある。
総務省の18年の調査では人口10万人以上の自治体の83%が業務ソフトを独自開発しているかカスタマイズしている。NECや富士通、日立製作所、NTTデータなどの大手ベンダーやその子会社が主に受注してきた。
同調査では約1700の自治体が情報システムにかける年間予算は4800億円。もし同じ仕様で全国の自治体が発注すれば調達費や運用費は大きく下がる。大手システム会社の幹部は「仕様の統一やクラウド化を進めれば、大幅に予算は減るだろう」と話す。
・政府は来年の通常国会で仕様の統一を都道府県や市町村に義務付ける新法を提出し、早期成立を目指す。目標年次は25年度だ。12月中に決める20年度第3次補正予算案では、そのための必要経費として1000億~2000億円の「デジタル基金」を計上する。複数年かけて自治体が投資するために使う資金だ。
 ⇒今春の新型コロナウイルス禍で、1人10万円の給付金の支給が遅く、自治体ごとに差があったことから、政府は仕様統一へ新法を提出する。
システムの仕様統一の現状の問題点は、①自治体がベンダーに個別発注している。②仕様がバラバラでデータ連携が進まない。そのため、国が仕様統一を主導しても、①統一する仕様次第で事実上の独自システムが乱立し、必要予算も膨らむ可能性がある。②既得権益を守りたいベンダー、予算や裁量を守りたい総務省、行政デジタル化を担当するデジタル庁で調整が難航すれば目標年次の先送りもあり得る。システムの仕様には課題も多い。
私たちの住む北播磨地方・人口10万人以下の小規模自治体の首長、職員、議員等、行政関係者の政府による地方自治体の情報システム仕様統一へのタイムリーな対応に期待したい。
 傍白
・政府が来年の通常国会に提出を予定する新法では、17の情報システムを指定して5年かけて仕様を統一する。住民基本台帳や各種税、国民年金や児童手当など、自治体が提供する住民サービスの根幹の部分ばかりだ。国で所管するのも総務省や厚労省など4府省にわたり、中央省庁間の協力促進にもつながる。既に住基台帳と国民健康保険は共通化に向けた作業を始めている。
政府の工程表によると、残りの15システムは仕様の統一で見込まれる効果を勘案して優先順位をつける。大規模自治体などの一部を除き、原則2025年度末までに17業務を新システムに移行させる計画を立てている。(日経・きょうのことば12/03)
 ⇒標準化対象の情報システムは、総務省所管:住民基本台帳など6、内閣府所管:児童手当など2、厚労省所管:国民健康保険など8、文科省所管:就学の1。計17システムだ。


2020.12.04 利用者目線の大学の再編を
 京阪神と北播磨地域の大学について私見を述べる予定でしたが、まとまらず中止しました。ご関心のある方は原文をどうぞ。
 少子化やコロナ禍による留学生の減少などで、大学の経営環境は厳しさを増している。国公私立の設置形態を超えた連携や再編は、避けて通れない道だ。
慶応義塾と東京歯科大学が法人合併に向け協議を始めた。2023年4月にも慶応大に歯学部が誕生する見通しだ。伝統と実績がある両大学の、将来を見据えた経営判断を評価したい。
慶応大にとっては、付属校から進学する生徒や受験生の選択肢が増え、ブランド力に磨きがかかるだろう。競争力強化の先に望まれるのは、社会に貢献する公共財としての役割である。
医科、歯科の連携により、学際的な教育・研究で人材を育て、その成果を付属病院の利用者などに広く還元してほしい。
今回の合併は、首都圏にキャンパスを置く他の大学にも刺激になろう。政府は地方大学を振興するため東京23区の大学の定員を抑制する法律を定めた。
単独では学部、学科の新設に伴う定員増は困難だ。合併なら定員を引き継げる。文理融合型の新たな学問領域など社会の需要に応える教育・研究の拡充に向け、再編の機運が高まるよう期待したい。
経団連は、定員割れの私立大の経営基盤が揺らぐ事態を想定し、企業で一般的な事業譲渡を大学にも認めるよう提言した。これを受け文部科学省は法令を改正し、今年度から学部の他大学への譲渡を可能にした。法人トップの経営手腕がいっそう問われる。
再編の手段は、合併や譲渡に限らない。注目したいのは、国公私立の枠組みを超えた「大学等連携推進法人」という新たな連携の仕組みだ。文科省は複数大学が一般社団法人を設立し、授業を共同開設する制度を近く立ち上げる。
各大学が得意分野に資源を集中し、質の高い教育に特化するよう促す必要がある。少子化ですべての大学が4年間学生を囲い込み、収益を確保する経営モデルは限界だ。学生の便益を最大化する視点に立った再編を加速すべきだ(日経・社説2020/12/2)


2020.12.06 高齢化の日本が世界の手本に
  日本が再び、欧米諸国の未来の姿を示唆するモデルになっている。1980年代のようなハイテクなどによる高成長経済のモデルとしてではない。現在の日本に浮かび上がるのは低成長と物価低迷、膨大な公的債務を抱え、解決策を見いだせないようないわゆる「日本化」の亡霊だ。
日本が金融・経済の再建に取り組むなかで経験した成功と失敗には、ほかの先進国が学ぶべき点がある。新型コロナウイルスの感染拡大の危機が去った後、各国が経済の長期低迷を防ぎ官民の債務への対応策を探るうえで、日本を反面教師とみる向きは少なくない。しかし、日本の経験は、豊かな高齢化社会を実現する手本と捉えるべきだろう。(日経・FT Selection(社説) 12/06から)
⇒今日の日経・FINANTIAL TIMESからの翻訳記事のタイトルを見て驚いている。なぜ「高齢化の日本、世界の手本にも」なるのだろうか。
・日本の経験はしばしば「停滞」と受け止められるが、見当違いだ。90年代初めのバブル崩壊後、経済全体は低成長に甘んじただろう。しかし国民一人ひとりの生活水準という面では、他の先進国に見劣りしないどころか、しばしばより良い成果を上げてきた。経済規模が伸び悩んでも、人口が減少傾向のため、国民1人当たりの所得は他国に大きく引けを取らない。失業や貧富の格差の面では、欧米からみればうらやましいほどだ。
⇒日本人の私たちですら、バブル崩壊後の日本は、低成長が停滞して他の先進国に見劣りすると考えていた。社説子は、この状態を「人口が減少傾向のため、国民1人当たりの所得は他国に大きく引けを取らない。失業や貧富の格差の面では、欧米からみればうらやましいほどだ」とまで言う。
・もっとも日本は他の先進国の多くと同様、高齢化に直面している。出生率は世界でも低い水準にある。過剰貯蓄の構造もあり、所得の増加が内需につながらない。若者は親の世代が得た機会にも恵まれず、不満を募らせている。
日本に比べ、欧米の人口動態は経済全体の成長に有利だ。現役世代に手厚い公的支援を提供するフランスやスウェーデンなど多くの国が、日本より出生率が高い。移民の流入も以前から活発だ。ただ移民も高齢化するため、流入ペースが落ちれば人口の伸びにもマイナスになる。
⇒このフレーズに認識の相違はない。いや、その通りだろう。さらに読み進もう。
・人口動態が変わるなか、日本が諸外国に比べても社会の安定性を保ち、生活水準を改善してきたことは称賛に値する。最大の教訓は、人口が増えなくても、国民の物質的な豊かさを高めることができるということだろう。他国が高齢化の問題に対処する際の道しるべになるかもしれない。
失敗も含め、日本が来た道を検証することは、他の国にも大いに参考になる。全体に目を向ければ、「日本化」が必ずしも最悪のシナリオではなかったとわかるだろう。
 ⇒「日本が諸外国に比べても社会の安定性を保ち、生活水準を改善してきたことは称賛に値する。最大の教訓は、人口が増えなくても、国民の物質的な豊かさを高めることができるということだろう」とまで賞賛されると違和感がぬぐえない。米・欧・中・韓の国々で起きていることを十分知らないで、この社説は理解できない。
日本人が、井の中の蛙になって世界の国々の状況を知らず、日本の悲観論ばかりを採り上げないで、「日本化が必ずしも最悪のシナリオではなかった」と言う社説子の意見にも「耳を傾けよと」言うことだろうか。時には、海外紙の翻訳記事を読むことも重要だ。


2020.12.07 コロナ禍と大学生
  新型コロナウイルスの感染拡大は多くの学生にも深刻な影響を及ぼしている。
 「このままでは学費が払えず、学業を諦めざるを得ない」。親の収入が減ったり、アルバイト先を失ったりするなどして生活苦に追い込まれた学生から、こうした悲痛な声が上がっている。
 コロナ後の社会を担う若者の未来が奪われかねない事態である。苦境に目を向け、学びを止めないための息の長い支援が必要だ。
 日本の学費は国際的にもトップクラスの高さである。先進国の中でも高等教育への公的支出は極めて少なく、家計負担で支えられている。奨学金は有利子が主流で、返済期間も先進国で最長レベルにある。
 長期不況を受け、親の仕送りは1990年代半ばをピークに減り続けている。将来の返済を不安視して多くの学生が奨学金を利用せずアルバイト収入に頼っていた。そこへコロナ禍が発生した。
 政府はコロナの影響で困窮する学生に10万~20万円の現金給付を決めた。だが、対象は一部に限られ、金額も決して十分とはいえない。困窮学生に支援金を支給するなどの独自対応を始めた大学もあるが、学生からの要望が多い学費の減免には経営圧迫の恐れから消極的だ。
 大学の自助努力に頼るだけでは限界がある。学生の実態を把握し、きめ細かく救済するためには、国による大学への財政支援が不可欠だ。(神戸新聞・社説 12/07から)
 ⇒今春の大学入学生に限らず、コロナ禍はすべての大学生に深刻な影響を与えている。コロナ禍による保護者の収入減がその主たる原因だが、親の仕送りが減少し学費や生活費が払えない学生が増えている。
 親の仕送りや援助がなければ、アルバイト収入で補填しようと努力しても学費が払えず、やむなく退学を検討している大学生が増えている。大学生の学びを支える支援に政府や大学による手厚い支援が求められるが、大学に学ぶ費用は自己責任が原則だ。
 コロナ禍で困っているのは、大学生ばかりではない。主として学生の受験料・入学金と授業料で成り立っている大学当局も困っている。
 ・厳しい状況にある高校生の存在も忘れてはならない。ひとり親で高校生の子どもを持つ世帯の3割に、経済的理由から高校中退の恐れがあるとの調査結果が報告された。大学生向けと併せて、給付型の奨学金制度の創設や拡充を検討すべきだ。
 心理的なケアも欠かせない。大学では対面授業が一部にとどまり、サークル活動なども制限されているため、「孤独だ」「やる気が維持できない」などの声が広がっている。大学はこれまで以上に相談しやすい体制を整えてほしい。
 次世代が夢を諦めないですむよう多面的なサポートを急ぎたい。
 ⇒コロナ禍による犠牲者である「ひとり親で高校生の子どもを持つ世帯」や「親の仕送りが減少し学費や生活費が払えない学生」への行き届いた支援がコロナ後の社会を担う人材のボリュウムゾーンの一員になることになることを忘れてはならない。彼ら、彼女らの学びを止めないための息の長い支援が必要だ。


2020.12.08 持続可能な政策と地方創生の取り組み
  新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、世界各国の政府・中央銀行による大規模な財政出動と金融緩和策も出口が見えない状況だ。資本主義の活力を保ちながら、どのように持続可能な政策を講じていくべきか。マクロ経済が専門の東京大学・福田慎一教授に聞いた。
―今後の経済政策に必要な視点は何でしょうか。
「欧州では再び行動規制が広がり、日本などでも飲食店や娯楽産業といった対面型のサービス業は厳しい環境が続く。所得の再分配政策は引き続き重要だ。ただ、より少ないコストで高い効果を上げるワイズスペンディング(賢い支出)を追求する必要がある」
「日本は個人事業主らが対象の持続化給付金や、旅行や外食などの需要を喚起する『GoTo』事業といった新たな政策を次々と導入した。当面の下支えには一定の効果があったが、給付金の申請が膨れ上がり、不正受給も相次いだように副作用もみられる。GoToも割引をすれば人出が増えるのは当たり前で、財政支出に見合った増え方なのかを検証すべきだ」
―再分配政策を機能させるにはどのような工夫が求められますか。
「限られた財源をいかに効率的に配るかがカギを握る。IT(情報技術)の利活用は必要だが十分ではない。支援が必要ない人にまでお金が配られることがないように、政策の軸足を補助金より無利子無担保の融資に移すのも一案だ。返済義務のある融資なら安易に使う人も少なく、不正利用を防ぐ効果もある」
⇒日経の連載「コロナと資本主義」、東京大学・福田慎一教授のご意見から、①今後の経済政策に必要な視点と、②どのような政策が成長につながるか。以上2点について考えてみよう。
 第1の「ワイズスペンディング(賢い支出)を追求」について異存はない。ただ、これまでに実施した「持続化給付金やGoTo事業」については、特定の官僚や政治家による急ごしらえのドタバタ政策であり、①共同通信社が5、6両日に実施した全国電話世論調査によると、菅内閣の支持率は50.3%で、前回11月から12.7ポイント急落した。
また、②NNNと読売新聞がこの週末に行った世論調査で、菅内閣を持する」と答えた人は、前の月から8ポイント下がって61パーセントであった。
コロナ禍対策や経済再生政策に「ワイズスペンディング(賢い支出)と所得の再分配政策は引き続き重要」だと考えるが、GoTo事業については、「いったん中止する方がよい」とする意見が多く不人気であった。
ウイズコロナのコロナ禍対策や「ワイズスペンディング(賢い支出)による所得の再分配政策は重要だが、現時点では、いかなる政策も試行錯誤で正解がみつからない。
―成長率の底上げも急務だと主張しています。
「エコノミストの成長率の予測をみると、2020年度は欧州が大きく落ち込む一方で日本は相対的に悪化幅が小さい。ところが21年度は欧米に比べ日本は低成長とみる向きが多い。コロナ禍の前から日本にのしかかる少子高齢化や巨額の財政赤字という構造問題が響くためだ。社会保障費が膨らむなかで家計や企業は消費や投資に慎重になり、成長の足かせになる」
―(それでは)どのような政策が成長につながりますか。
「意外と即効性が高いとみているのは地方創生の取り組みだ。テレワークの普及などで都心一極集中が是正される機運が高まっている。若い人が地方で働き、暮らせる環境を整えれば、出生率の向上が期待できる。デジタル分野をはじめ、各産業で熟練した外国人技術者の受け入れを進めることも重要だ」
 ⇒わが意を得たり。まったく同感。異存がない。問題は地方自治体に地方創生への取り組み意欲が希薄なことだ。
 地方の若者の50%弱が、大学等の受験を機に大都会に出て行き、都会で就職、結婚、子育てを行うところまでは致し方がないが、都会に定住するまでに地方に呼び寄せる魅力ある施策がない。
「若い人が地方で働き、暮らせる環境を整えれば、出生率の向上が期待できる。デジタル分野をはじめ、各産業で熟練した外国人技術者の受け入れを進めることも重要だ」と言う福田慎一氏のご意見をかみしめている。


2020.12.09 泥縄だったけど、結果オーライでは困る
  「無症状の市中感染が急激に広がっているようだ」。組織的な検査の不足と貧弱な検査データ。正確な実態がつかめないまま政府も国民もコロナ退治に悪戦苦闘している。春の第1波、夏場の第2波、抑え込んだかに見えたが大きな第3波が押し寄せている。
国際比較すれば日本のコロナ退治の成績は悪くない。累積死者数は約2400人。英国やフランスは約6万人、米国は28万人。桁が違う。
なぜ日本は少ないのか。清潔好きの国民性、ハグの習慣がないこと、かつて流行した風邪ウイルスの交差免疫がある、など諸説ある。だがはっきりしない。専門家も「ファクターX」と呼ぶ。データ不足は致命的である。
「泥縄だったけど、結果オーライだった」。第2波までの政府の対応を検証した「新型コロナ対応・民間臨時調査会」は報告書で、官邸スタッフのこんな言葉を紹介している。その「結果オーライ」が第3波襲来で大揺れだ。(日経・大機小機12/09から)
 ⇒新型コロナ感染対策にエビデンスに基づくワクチンも治療法も確立していない。各国がそれぞれの方法で対応しているのだ。従って、政府も国民もコロナ退治に悪戦苦闘している。その対策は泥縄で、結果が良ければ「結果オーライ」である。
これまでの政府のコロナ対策が、大きな落とし穴に落ちたと批判されることはなかったのが、不幸中に幸いか。それとも、結果オーライの落とし穴がこれから見えてくるのか。いまは誰にも分からない。なんとも心もとない。
 明るい話題を紹介しよう。
 ・新型コロナウイルスのワクチンの接種が英国で8日朝、始まった。感染すると重症化のリスクが高い80歳以上の高齢者や介護施設の職員、医療従事者らが最初の接種対象。当面は80万回分を確保し、各地の拠点病院で接種を進める方針だ。ワクチン接種はロシアや中国で一部始まっているが、日本に供給が予定されているワクチンでは初めて。
 ・ワクチンは、米製薬大手ファイザーと独バイオ企業ビオンテックが開発した。英国は2021年末までに4千万回分(1人2回接種で2千万人分)の確保を見込んでいる。
 米国では10日に、米食品医薬品局(FDA)の諮問委員会が承認を審査する。米政府高官は、承認されれば24時間以内に接種開始をめざすとしている。日本での承認申請はまだだが、政府は来年6月末までに6千万人分の供給を受けることで基本合意している。(朝日12/09)
 ⇒それでは、日本のコロナワクチン接種は何時からできるようになるのか。
 ・ファイザーは160人、アストラゼネカは250人の日本人を対象とした治験をしており、モデルナも今後、実施を予定している。各社はその結果と海外での治験結果をあわせて承認を申請。医薬品の審査を担う医薬品医療機器総合機構(PMDA)と厚生労働省の部会で有効性と安全性が認められれば承認される。
 日本と同水準の承認制度がある国で販売されるなどした医薬品について、審査を簡略化できる「特例承認」を適用する可能性もある。新型コロナの治療薬レムデシビルにはこの制度が使われ、申請からわずか3日で承認された。
 ただ、ワクチンは健康な人にも接種する。安全性については薬以上に慎重な審査が求められる。2010年に新型インフルエンザのワクチンが特例承認された際には、審査に2~3カ月を要した。新型コロナのワクチンも承認までにある程度時間がかかるとみられる。
 厚労省の幹部は「少しでも早く、今年度中にも接種できるようになれば」と見通す。ただし、当初は供給量も限られ、広く接種できるようになるにはさらに時間がかかるとみられる。(朝日12/8 22.00)
 ⇒日本のワクチン接種は早急に実施して「結果オーライ」を期待してはならない。ここまで頑張ってきたのだから。
 傍白
最後は「マスク」「手洗い」「換気」しかない。年末年始を前に日本人が試されている。国際医療福祉大学大学院教授 和田耕治稿(文芸春秋・新年特別号P168)


2020.12.10 ワクチン接種開始への期待と不安
 ワクチンは日本にいつ届くのか。日本政府と主な海外企業の契約を見てみる。
 日本政府は1人当たり2回の接種を想定し、ファイザーとは21年6月までに6000万人分(1億⒛00万回分)、モデルナとは、同年6月までに2000万人分(4000万回分)の供給でそれぞれ合意している。RNAワンクチンはセ氏マイナス20~70度での保管が必要で、日本には低温輸送で運ばれる方向だ。
 ワクチンは期日までに日本に届く見込みで、実際の接種はそれから始まる予定だ。
 日本にワクチンが届いた場合、日本国民に接種されるまでの流れを見る。日本政府は21年前半までに全国民分の確保をめざしている。ファイザーのほか、モデルナとアストラゼネカ製も実用化され、日本への供給が順調に進めば全国民分は確保できる見通し。
 接種を希望する人は全員無料で、重症化リスクの高い高齢者や持病のある人、医療従事者らを優先する考えだ。自治体が住民に接種を案内することが想定されている。(日経・ワクチン、期待と未知と 12/10から)
 ・厚生労働省は10日、新型コロナウイルスのワクチン接種が可能になった後の実施体制について、接種希望者は住民票所在地での接種を原則とする方針をまとめた。厚生科学審議会の部会で案を示した。
 厚労省の資料によると、新型コロナのワクチン接種は、市区町村が実施主体となる。厚労省は、市区町村が住民票に基づいて接種対象となる住民にクーポン券を発行し、接種希望者は市区町村が定めた集会所などの会場や、医療機関に来てもらう方法を想定している。長期入院者や単身赴任者、下宿中の学生などで、住民票のある場所と居住地が離れている場合は、事情を申請すれば住民票所在地以外の場所でも接種を認める方針だ。
 ・ワクチンもメーカーの出荷量に応じて市区町村に配分するが、国内で同時に複数メーカーのワクチンが使えるようになった場合は、混乱を避けるため、接種会場ごとに取り扱うワクチンを原則1種類に限る方針だ。(讀賣新聞12/10、10:22配信から)
 ⇒日経と読売の2紙の記事を読みながら、考えている。① 接種した人が感染しない感染予防、② 発症者が減少する発症予防、③ 死亡、入院等の重症患者が減少する重症化予防に如何程の効果があるのか。④ 繰り返し接種する必要があるか。⑤ 効果はどれだけ持続するのか。⑥ ワクチンの品質にばらつきはないのか等々コロナワクチン接種開始への期待と未知の不安が交錯する。有効性・安全性をしっかり確認の上、コロナワクチン接種を開始して欲しいと願っている。


2020.12.11 与党税制改正大綱を読んで
 自民、公明両党が2021年度与党税制改正大綱を正式に決めた。
 企業や個人を対象とした減税項目が目立つ。その総額は国税分だけで500億~600億円規模になるという。新型コロナウイルスの感染拡大で日本経済全体が大きく落ちこんでいる状況を踏まえれば、暮らしや雇用を維持するための措置を重視した判断に違いない。
 一方で、格差是正に向けた公平な税制の実現や税制全体の簡素化は、今後の検討課題とするにとどまった。21年度だけでなく、以前から税制大綱で指摘されながら今回も積み残しとなっている。
 少子高齢化や財政健全化などの課題は待ったなしで深刻さを増す。目の前のコロナ禍への対応に加え、次代の日本社会を踏まえた税制を描く作業に踏み出すべきだ。
 ・1998年の創設時に消費税は税収全体の約18%だったが。3度の引き上げで現在は約36%を占める。一方で個人と法人への所得課税の合計は、景気変動に税率引き下げも加わり67%から51%へと減少している。
 コロナ禍で多くの人が所得を減少させる中、消費税には低所得者ほど負担が増す「逆進性」がある点に改めて留意して、持続可能な税負担の仕組みを考えねばならない。(神戸新聞・社説 12/11から)
 ・企業の前向きな投資を引き出し、経済構造の転換と力強い成長につなげる必要がある。
 自民、公明両党が2021年度の与党税制改正大綱を決めた。企業向けでは、地球温暖化を防ぐ「脱炭素」とデジタル化を促す減税が2本柱だ。
 ・政府は、これまでも各種の減税でIT化を促進しようとしたが、動きは鈍かった。過去の問題点を検証し、新たな措置を産業界に着実に浸透させねばならない。
 ・中小企業の経営基盤の強化に目を配りたい。大綱は、事業転換や後継者探しを手助けするため、M&A(合併・買収)を後押しする税制を盛り込んだ。課題である中小企業の生産性の改善に向け、実効性のある制度としてほしい。(読売・社説12/11から)
 ⇒今日の日刊各紙は2021年度の与党税制大綱について報道している。神戸新聞と読売新聞の社説を読みくらべして分かる通り、「格差是正は積み残された」(神戸)と「企業を積極投資に転換させよ」(読売)では社説子の目のつけどころが全く異なる。
 素直に「コロナ感染拡大が続くなかで「経済活動を支えつつ、コロナ後の成長につなげようと、デジタルや環境の重視を柱に据えた」。(日経)と読めば、感染対策と経済両立が自民、公明両党が最重要視した結果であると言えるだろう。
菅さんは財政再建派ではなかったのか。11月以降、感染拡大が鮮明になるにつれて経済対策の規模が水面下で膨らんだ。
私は、詳細についてこれからだが、「[論理のかけらもない]。財務省きっての財政再建派として7月に主計局長に就任した矢野康治が抵抗しても歳出拡大の流れは止められなかった」。(日経・予算は映す菅カラー12/11)を読み、菅首相の豹変ぶりに驚いている。


2020.12.12 間もなく全米でワクチン接種開始
【ニューヨーク=野村優子】米政府は11日夜(日本時間12日昼)、米製薬大手ファイザーなどが開発する新型コロナウイルスワクチンの緊急使用許可を承認したと発表した。出荷作業などの準備は進んでおり、全米でワクチン接種が始まる。世界最多の感染者数となる米国で初となるワクチンが承認されたことで、パンデミック(世界的大流行)収束への期待が高まっている。
・米国で配布されるワクチンは主に中西部ミシガン州のファイザー工場で生産される。セ氏マイナス70度での保管が求められており、2~8度の冷蔵庫に移してからは5日以内に使用する必要がある。米政府は同ワクチンを1億回分確保しているが、まずは290万回分を供給する見通し。医療従事者や介護施設の居住者に優先的に接種する。
・FDA(米食品医薬品局)は17日に、米モデルナのワクチン承認について議論する諮問委員会を開催する予定。米政府は2020年内に全体として4000万回分(2000万人分に相当)のワクチン接種を目指している。(日経2020/12/12 11:41 11:56更新)
・東京都は12日、新型コロナウイルスの感染者を新たに621人確認したと発表した。10日の602人を上回り、過去最多を更新した。「人工呼吸器か体外式膜型人工肺(ECMO(エクモ))を使用」とする都基準の重症者数は68人で、前日より1人増えた。
 新たな感染者621人を年代別にみると、20代が181人で最多。30代が119人、40代が89人、50代が80人。65歳以上の高齢者は77人だった。(朝日12/12 15:02から)
 ⇒9日の私のブログで書いた通り、英国では世界に先駆けて、8日ワクチン接種が始まっている。間もなく全米でもワクチン接種が始まる。
 今日は、東京都ではコロナ感染、過去最大のニュースが報じられている。日本のワクチン接種はいつから始まるのか。
9日の私のブログでも書いた通り、厚労省の幹部は「少しでも早く、今年度中にも接種できるようになれば」と見通す。ただし、当初は供給量も限られ、広く接種できるようになるにはさらに時間がかかるとみられているようだ。
9日のブログでも書いた通り、私は、① 接種した人が感染しない感染予防、② 発症者が減少する発症予防、③ 死亡、入院等の重症患者が減少する重症化予防に如何程の効果があるのか。④ 繰り返し接種する必要があるか。⑤ 効果はどれだけ持続するのか。⑥ ワクチンの品質にばらつきはないのか等々コロナワクチン接種開始への期待と未知の不安が交錯する。有効性・安全性を確認の上、国民に詳しく説明の上、コロナワクチン接種を開始して欲しいと願っている。


2020.12.13 井戸氏退任表明/新たな知事像
 兵庫県の井戸敏三知事がきのうの県議会で、次の知事選に立候補せず、5期目の任期満了となる来年7月で退任する意向を表明した。
 一極集中のリスクやデジタル化の遅れなど新型コロナウイルスの感染拡大があらわにした課題は、地方にも変革を促している。
 井戸氏は「従来の延長線では対応できず、新たな発想と行動力、先見性が必要だ」とし、「新しい時代は新しいリーダーのもとでつくりあげるべきだ」と述べた。
 5期20年に及ぶ在任期間は県政史上最長となる。多選批判に加え、75歳という年齢を考慮すれば、井戸氏の決断は大方の県民の理解を得られるのではないか。(神戸新聞・社説 12/12から)
 ⇒井戸知事の退任表明の報に接し、唐突感も驚きもない。退任時期を選ばれたのだろう。来年7月までの残る任期をコロナ感染拡大第3波による医療の逼迫、地域経済の疲弊への対応、生活困窮者や自殺者の増加などへの対応など「県民の命と暮らしを守る責務を最後まで全身全霊で果たしてもらいたい」。
 井戸氏は阪神・淡路大震災後の1996年、自治省(現総務省)大臣官房審議官から兵庫県副知事に就任し、2001年7月29日、貝原俊民前知事の後継として立候補、初当選。(確定得票1,399,173票)。2005年7月3日、2回目の連続当選(確定得票1.094,211票)。2009年7月5日、3回目の連続当選。(確定投票1,087,279票。2013年7月21日、4回目の連続当選(確定投票1,684.146 票)。2017年7月2日、5回目の連続当選を果たした。(確定投票944,544票)
 ・その県政運営は震災復興の歩みとともにあったと言える。貝原氏から引き継いだ復興計画の実現に努め、08年度から取り組んだ行財政構造改革で、危機的な状況に陥った財政の再建にめどをつけた。
 関西広域連合の連合長を発足から10年間務め、東日本大震災の被災地支援などに成果を上げたのは記憶に新しい。国や地方自治の制度を熟知した元総務官僚らしく、堅実な行政手腕は評価されていいだろう。
 一方、コロナ対応では、独自の施策を積極的にアピールする各地の知事と比較され、発信力の弱さが際立った。最近では、公用車問題を巡り県民感覚とのずれが指摘される場面もあった。県民とともに考え、取り組む姿勢には物足りなさが残る。
 コロナ対応以外にも課題は山積している。行革目標を達成したとはいえ、震災復興に端を発する財源対策として発行した県債の償還は続く。若い世代の人口流出にどう歯止めをかけるか。南海トラフ巨大地震などへの備えも待ったなしだ。
 兵庫の将来像を描くには、県民ニーズに改めて向き合い、井戸県政の検証と総括を進める作業が不可欠となる。貝原氏の4選、井戸氏の5選と多選知事の下でトップダウンが浸透した県庁組織の意識改革にも取り組まねばならない。
 コロナ禍の収束が見通せない中、発信力と行動力を備えたリーダーを求める声は強まるだろう。次代の兵庫に必要な知事像をどう描くのか。一人一人が考える機会にしたい。
 ⇒神戸新聞社説子による井戸県政の総括と検証・評価。今後の兵庫県知事像への期待に異存はない。だが、元官僚による保守王国・兵庫の知事選では「・・知事ありきだった」。「だが、今回は様子が異なる。井戸知事の退任が早くから予想されていた上、維新が独自候補の擁立を検討しているからだ」。(朝日・12/13参照)
 現在、自民県議団幹事長は加東市選出の藤本百男県議。自民県議団の候補者選びに注視したい。


2020.12.15 アメリカンドリームの功罪(1)
世界では、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、「ニューノーマル」のさらに次を見据える議論が高まっている。マーケティングの巨匠、フィリップ・コトラー教授は現状をどう見ているのだろうか。
 「この状態がさらに何年も続いたら、かなり深刻だ。対応の仕方は国によって違うが、足元では3つの方法がある。1つはロックダウン(都市封鎖)だ。しかし、完璧なロックダウンは無理だ。いわゆるエッセンシャルワーカーが家に居続けるわけにはいかないからだ。
※「エッセンシャルワーカー」とは、私たちが日常生活を維持するために無くてはならない職業に就いている人たちを指している。具体的職業には、医療・福祉、保育、公共交通機関、通信・インフラ、保安、行政、一次産業(農業など)、製造、運輸・物流など、社会生活を支えるのに不可欠な職業が該当すると言われている。
 2つ目のやり方は、ロックダウンはせず、スウェーデンがやったように普通に暮らすことだ。スウェーデンは、いわゆる集団免疫を早期に獲得しようと考えたわけだが、これも結果として死亡率をむしろ高めてしまっている。
 私の考えを言うと、ロックダウンと放任主義の間を取るやり方が一番正しいと思う。すなわちきちんとマスクを着用し、感染防止のため互いに物理的に距離を置いて過ごすことを絶えず意識し、都度、手を洗うこと。この徹底でかなり、幅広くまん延することを防げるだろう」
 だが現実には、コトラー教授が進める方法を徹底している国は少なく、米国では世界最悪の感染者数を更新し続けている。そんなコロナ禍に加え、大統領選後の混乱も続く米国を、コトラー教授はどう見ているのだろうか。(日経ビジネス202012月4日号から)
 ⇒コトラーの近代マーケッティング論が、大学の商学部や経営学部の「マーケッティング論」の主流になるのは、私の世代よりかなり後の世代だ。
 日経ビジネスは、50年以上購読している。最新号の「コトラー流・新常態のマーケッティング教室⑤ 米国がここまで落ちた真の理由 アメリカンドリームの功罪」が興味深い
フィリップ・コトラー教授は、コロナ禍感染対策について、①ロックダウン、②集団免疫を早期に獲得しようとしてあえて普通に暮らす(放任主義)の両局に分かれるが、③ロックダウンと放任主義の間を取るやり方が一番正しいと言う。
私は、③が正解であるとしても、①と②の間合いをどのようにとるのか、その判断は容易ではない。従って、試行錯誤のドタバタ対応が多くなると考える。
・「米国人は、かつてこう言った。『貧しい、飢えた知人を連れてこよう』。今はもうそう考える人は少なくなり、困った人がいても、たいていは見て見ぬふりだ。だが、貧困のない国こそが偉大だ。(続く)


2020.12.15 アメリカンドリームの功罪(2)
 ここから本題に入る。1984(昭和59)年末から翌年初に2週間、友人と2人でアメリカ西海岸の都市を周遊した。そのとき目にした風景と戦前に広島県から移民した在米50年の加州日経人会の永本博から聞いた滞米生活は、まさしくアメリカンドリームだった。
(ところが)「米国は世界に対するリーダーシップもない。トランプ大統領はメーク・アメリカ・グレート・アゲインとスローガンを掲げたが、実態はメーク・アメリカ・ファーストだった。同盟諸国が米国を頼りにしているのに、見捨て、自己利益のみを追求した。世界保健機関(WHO)にも協力しなくなり、(地球温暖化防止の)パリ協定にも従わない。多くの合意を瀕死(ひんし)の状態にした。そして中国に莫大な関税を課す。トランプ大統領は、アメリカンドリームが生んだ「利己主義」の象徴に見えるのだ。
トランプ大統領の4年間を振り返ると「なるほど」と納得することばかりだ。
・「素晴らしいリーダーには3つの特質がある。謙虚、誠実、そして思いやりだ。トランプ大統領には何もない。常にウソをつき思いやりがない。救命を妨げ、選挙に勝ちたくて経済をフル稼働させた。彼こそ厄災だ」
 米国は再び偉大になれるのか。
 「それは簡単ではない。(人々の人生観を変えるような)新しいアイデアが必要だ。資本主義に取って代わる新しい理論も必要だろう。新しい世界観では、ビジネスも、単に株主利益のためのものではなくなる。株主至上主義は、ノーベル賞経済学者であるミルトン・フリードマン─私の経済学博士課程時代の師匠だ─が打ち出した概念だった。
フリードマンの思想が大ヒットしたため、すべてのビジネススクールが学生たちに『常に利益を上げることだけを考えよ』と教え込んだ。これは、かなり壊滅的な流れだった。
 ⇒それでは、これからの新しいビジネスはどうあるべきか。「新しい世界観では、ビジネスも、単に株主利益のためのものではなくなる」。新しい時代における最高の会社とは、自分たちは社会のため、人のために活動しているとの姿勢を明確にし、それこそを目的とする。例えば、水不足のような環境問題であったり、過剰な森林伐採であったりといったことへの対処に全力を尽くす。そんな企業が増え始めた時、この国に再び偉大さを取り戻すチャンスが芽生えてくるのではないか」とコトラーは言う。(続く)


2020.12.15 アメリカンドリームの功罪(3)
 ・最後にコトラーが重要性を強調する「勝つための7つのPを紹介しておこう。
マーケティングミックスの4P
4P=Product(製品) Price(価格) Plaice(流通) Promotion(プロモーション)
+プラス
企業が存在するうえでの3P
3P=Profit(利益) People(人) Planet(地球)
 ・「企業は存在するうえでのパーパス、目的を最初から持つべきだ。目的は3つにまとめられる。3つの『P』(Profit、People、Planet)からなる。利益、人、そして地球だ。利益のためだけではだめだ。人と地球のためという目的が企業価値を高める。これにマーケティングミックスの4P(製品、価格、流通、プロモーション)を合わせ、ビジネスで勝つための幅広い方法を考えるべきだ」
 ⇒今日のブログに、私の独創性と意見はどこにもない。小声をあげて読んで脳トレを楽しんでいる。「企業は存在するうえでのパーパス、目的を最初から持つべきなのだ」。企業のパーパス・目的探しの旅はまだまだ続くだろう」とひとり合点している。


2020.12.17 豊かになれば子どもが減る。なぜ(1)
・歴史を遡ってみると、1949年の日本の合計特殊出生率は4.32でした。当時は「ベビーブーム」で、特に出生率が高い時期だったのですが、この70年間で1人の女性が生涯に生む子ども数は3人も減ったわけです。これが少子化と呼ばれる現象で、日本に限ったことではなく、すべての先進国で観察されています。米国の場合、1人の女性が生涯に生む子ども数は19世紀初頭で約7人でしたが、現在では約2人です。
豊かになると子どもが減るという傾向が見られるわけですが、この傾向は現在の先進国と途上国の比較でも観察されます。最も裕福な国々の出生率は1~2、最も貧しい国々では5~7といったところです。
豊かになるほど子どもが少なくなるのは、なぜでしょうか。どうしてこのような関係が生じ、それは悪いことなのでしょうか。豊かになるとともに当然に起きる現象であれば、そんなに非難されることではないかもしれません。また、豊かになったから子どもが少なくなった、というだけでなく、子どもが少なくなったから豊かになった、という可能性も考えられるので、問題は複雑です。
この連載では少子化の背景にある家計の選択と、その選択がもたらす影響について、経済学の分野で得られた知見を紹介します。
もちろん、子どもを何人持つかは家計が完全にコントロールできることではありません。しかし、望む子ども数と実現する子ども数には強い相関があり、子どもの数は偶然の産物というより選択の結果であると考えられます。そうであれば、インセンティブに基づいて考えるという経済学の手法が適用できます。(日経 やさしい経済学 京都大学准教授 安井大真稿 12/10 以下同じ)
 ⇒合計特殊出生率は、1人の女性が生涯に生む子ども数の近似とされる指標です。2019年の日本の合計特殊出生率は1.36でした。移民を考えない場合、人口が減らないためには1人の女性が約2.1人の子どもを生む必要があります。
 ・それでは、なぜ豊かになれば子どもが減るのか。少子化の背景にある家計の選択と、その選択がもたらす影響について、経済学の分野で得られた知見で説明すると以下の通りとなります。
経済学で子ども数の選択を考える場合、通常の財の消費選択を考えるときと同様の枠組みを用いますが、子ども数の選択に特有の性質がいくつかあります。
1つ目は、子どもの数(専門用語で「量」といいます)が多ければいいというだけでなく、一人一人の幸せ(専門用語で「質」といいます)を望み、そのために何らかの形で資源を投入するということです。典型的には、教育という形で行われます。何を幸せと感じるかは子どもによって違うでしょうが、親は高所得が子どもの幸せにつながると考え、所得の源泉となる人的資本への投資、すなわち教育を行います。ほかには金融資産や不動産を与えるといった形があります。
2つ目は、すべての子どもをある程度同等に扱うということです。量と質の両方を重視する財はほかにもあります。親は子ども全員の幸せを願い、そのために資源を投入します。
3つ目は、お金だけでなく時間がかかるということです。出産・育児など、子どもが成長する過程で親が費やす時間は膨大です。
以上の3つの性質が組み合わさることで、子ども数の選択を巡る少し不思議な傾向が説明できます。それは裕福な家計ほど子どもが少ないという傾向です。これはよく考えてみると不思議です。子どもは一般的に望ましい存在のはずだからです。望ましいものであれば、予算に余裕がある家計ほどたくさん購入します。同じように考えれば、裕福な家計ほど子どもが多くなるのが自然ではないでしょうか。(日経・経済教室 12/11)
 ⇒経済学の知見で考えると、裕福な家計ほど子どもが多くならない理由は次の通りです。
・親は子どもの「量」と「質」の両方を望むので、自分が置かれた状況次第で、量を優先することも、質を優先することもあります。自分の子どもはすべて同等に扱うとすれば「子どもの費用=一人一人の質×量」という式が成り立つので、一人一人の質を低くすれば、低い費用で量を増やすことができます。一方、量を減らせば、低い費用で一人一人の質を高めることができるのです。
どのようなタイプの家計がどちらを優先するかを考える場合、子育てには時間がかかるという点がポイントになります。質を高めることに比べ、量を増やすことは、より時間が必要な活動です。子どもを大学に進学させることは(親にとっては)金銭的な費用が中心ですが、子どもが小さいときの育児には多くの時間を使います。量を増やすと逸失所得で測る機会費用が大きくなります。所得が高い人ほどそれは高額になるので、子どもを増やすことをためらいます。もともと予算に余裕がある上に、子ども数が少ないとなれば、一人一人の質を高めるための支出は大きくなります。
つまり、所得が高いと「質」を優先し、所得が低いと「量」を優先しがちになり、望ましい存在であっても、所得が高くなるほど子どもが少なくなります。(日経・やさしい経済学2020/12/16 )
 ⇒親が自分の子どもはすべて同等に扱うのが多数だと思いますが、最近のように50%近い子どもが、授業料等に多額の費用が掛かる大学進学を考えるようになりますと子どもの数は少なくなる傾向が強くなります。


2020.12.18 豊かになれば子どもが減る。なぜ(2)
・次に、家計の自由な選択に任せていて大丈夫なのかを考えてみます。
子ども数の選択に限らないことですが、家計の選択が社会的に望ましい基準から乖離する一因は、家計の選択において内部化されない効果(外部効果)が存在するためです。多すぎるか少なすぎるかは、どちらの方向の外部効果が大きいかによります。
「多すぎる」という結論になる外部効果としては、環境への影響があります。人が増えると環境に負荷がかかりますが、自分の子どもが環境にかける負荷は考慮しないので、家計が選択する子ども数は多すぎることになります。
「少なすぎる」という結論になる外部効果としては、技術進歩への影響があります。人が増えると技術進歩に貢献する人材も増えますが、自分の子どもが技術進歩のスピードに与える影響は考慮しないため、家計が選択する子ども数は少なすぎるということになります。
外部効果によって家計の選択が非効率になるのはよく知られた話です。ここでは子どもが過少になる可能性に関する、一風変わった理論を紹介します。
親は子どもを手塩にかけて育てますが、子どもに対する請求権を持たないために起きる非効率です。子どもはいずれ社会に出て働き手になります。親としては「いくらかでも返してくれれば、もっと子どもを増やすのに」と考えるかもしれません。しかし、それは実現が難しいことです。老後の面倒をみてもらうことは確実ではなく、子どもに借金を残すこともあまり現実的ではないからです。
この話は親の都合だけを考えていて、見返りを求められる子どもの視点が欠けていると思われるかもしれません。しかし、その子どもが親の立場となり同じことを考えるとすれば、すべての世代が子どもに見返りを求めることにより、みんながもっと幸せになることは可能でしょう。現状よりも多い子ども数のもとで、すべての世代がもっと幸せになるとすれば、現状の子ども数は過少であるといえます。(日経・やさしい経済学 京都大学准教授 安井大真稿12.17)
⇒難しい経済用語が続きますが、さらっと読み飛ばせば「なるほどそうなのか」と納得できることばかりです。
高齢者の世代までは、子(は鎹(かすがい)。子は授かりもの。親は子に見返りを期待せずとも子の親孝行は当たりまえ。十分考えて子の数を決めたことはない。


2020.12.19 有効な少子化対策探る
  今年は、新型コロナの影響もあって新生児が記録的に少ない年になりそうだ。
親が子どもの数をどのように考えるかについて、京都大学准教授の安井大真氏(12月11日付やさしい経済学)が、経済学の視点から3つの性質を挙げる。1つ目は、子どもの数が多ければいいというだけでなく、一人一人の幸せを望み、そのために何らかの形(教育や金融資産等)で親が子どもに資源を投入するという性質である。2つ目は、すべての子どもをある程度同等に扱うという性質である。3つ目は、親は子どものためにお金だけでなく時間もかけるという性質である。子どもが増えるほど子どものために割く時間は増える。
以上の性質が組み合わさることで、子ども数の選択を巡る少し不思議な傾向が説明できるという。それは裕福な家計ほど子どもが少ないという傾向である。これは、まさに日本だけでなく先進国で現れている傾向である。(日経・経済論壇・慶応義塾大学教授 土居丈朗稿から)
⇒毎日、日経紙等の経済記事からブログを書いている。今日の「日経・経済論壇」はうれしくなる。なぜなら、私も土居丈朗先生と同じ記事を読み、関心をもってブログを書いたからだ。
 私は新聞記事のフレーズを紹介し、若干の意見を付すことをブログのルールにしているが、土居丈朗先生は、原文を短く要約され、次に関連する経済論からも紹介されている。
・東京都中央区で、合計特殊出生率が2008~12年と比較して、13~15年に0.29ポイント上昇した点に注目するのは、法政大学教授の小黒一正氏(週刊ダイヤモンド12月19日号)。この時期に出生率が増加した上位50区市町村のうち、東京都内の区市が5つも入っていた。若い男女が出会いを求めて東京などの都市部に集まり、結婚相手を見つけた後に、どこに住まうかがポイントとなる。
都市再生特区の政策も相まって、都心4区にファミリー向けマンションの供給が増加し、若年人口も増加した。そして、その都心部で、出生率が上昇した。こうした事実は、今後都市部で出生率を上げられる方策を示唆している。
 ⇒私にも大阪都心のファミリー向けタワマンに住む甥がいるので気づいていた。小中学校も都心にあり、学童数も多いと聞いている。
過半数に近い若者が、高校卒業と同時に地方から都会の大学等に進学して、都会に就職、結婚して、都会に居を構える現在、「若い男女が出会いを求めて東京などの都市部に集まり、結婚相手を見つけた後に、どこに住まうかがポイントとなる」が、その選択に、「やっぱり都会だね。1戸建ては無理だが、ファミリー向けマンションなら何とかなる」。これは十分あり得る選択だ。
ただ、アフターコロナにテレワークが定着すれば、地方都市での居住が選択肢になることも増えるだろう。そうなれば、地方都市の少子・高齢・消滅が遠のくことになる。
いま、地方都市に若者を呼び寄せる仕組みづくり政策が求められているのだ。
※「少子化対策・予算を増やしてこそ」(朝日・社説 12/17)も併せお読みください。


2020.12.21 子どもへの請求権と子育て費用
  子どもへの請求権という問題は、各家計で解決するのは難しいでしょう。家族の問題を契約で解決するケースもありますが、当事者(子ども)が生まれてくる前では事前に契約を交わすわけにもいきません。
各家計での解決が困難なときは政府の出番です。この問題に対しては、子ども数に関連付けた賦課方式の年金給付が1つの解決策となります。積立方式と異なり、賦課方式の年金は、勤労世代から退職世代に移転を行う仕組みです。子どもが多いほどたくさんの給付を受け取ることができるようにすれば、自分の子どもへの請求権があるのと同じような状況を作れます。請求権がないために子どもが過少になってしまう問題を解決できるのです。
・一般的に賦課方式の年金では、自分が養育していない子どもにも給付の財源を求めることになり、制度自体が子ども数の選択に関する外部効果をつくり出します。(日経・やさしい経済学 京都大学准教授 安井大真稿 /12/18から)
⇒親が子どもに対する請求権を持たないことによる少子化を避けるために「子どもが多いほどたくさんの給付を受け取ることができるようにする方法」が必要になります。親が子に対する請求権の問題を世代間の負担で解決するのです。これが賦課方式による年金給付です。
・賦課方式の年金を利用するよりも簡単な方法で、同じような効果が期待できる政策もあります。出産や育児への補助金を公債の発行と組み合わせて行い、公債の償還を子ども世代への課税によって行うという政策です。子どもへの請求権がないために子ども数が過少になるという問題を解決する上では、子ども数に関連付けた年金給付と同じような効果があります。
ただし、ここで紹介したような政策が有効であるケースは限定的であることに注意してください。子どもに対する思いやりが強い親は、子どもから対価を受け取ってまで、子ども数を増やしたいとは考えないかもしれません。むしろ「現状の子どもにもっと多くの財産を残したい」と考えるなら、これらの政策は有効ではありません。
そのような場合、そもそも子ども数が過少になっていないので、政策の実施は正当化できません。また、たとえ政策を実施したとしても、子ども世代から親世代への移転は、各家計における親から子どもへの贈与や遺産によって効果が打ち消されることになります。
 ⇒すんなり読めばその通りなのですが、この方法では「有効であるケースが限定的である」ことに加え、世代間の負担調整が問題です。
菅内閣は、すべての子育て世帯を社会全体で支える理念で「全世代社会保障の改革方針」を閣議決定しましたが、出産や育児への補助金を公債の発行と組み合わせて行うわけでもなく、財源が安定していない。予算の中でやりくりするのではなんとも心もとない。(朝日・社説12/17参照)
ただ、子どもへの請求権という問題に政府の出番はなく、各家計で解決することが本筋だとも言い切れない。


2020.12.22 2022年度予算案への評価と懸念
  政府が2021年度予算案を閣議決定した。一般会計の総額は当初予算で過去最高の106兆円超となり、新規国債の発行で4割を賄う。コロナ禍の克服と成長基盤の強化に焦点を当てたのはいいが、財政規律の緩みは隠せない。
政府は20年度第3次補正予算案も含めた「15カ月予算」との位置づけで、コロナの感染防止と経済の回復を後押しする。一連の予算で医療体制の拡充や企業・家計の支援を急ぎ、グリーン化やデジタル化を促すのは妥当だ。
だが賢い支出を積み上げたと胸を張れる内容だろうか。15カ月予算の中に、首をかしげたくなるものが紛れているのは確かだ。(日経12/22)
⇒政府は21日、2021年度予算案を閣議決定した。一般会計の総額が106兆6097億円となる。前年度から約3兆9千億円増え、9年連続で過去最大を更新した。100兆円を超えるのは3年連続。新型コロナウイルスの影響で税収は落ち込み、国の借金である国債の新規発行額は当初予算案としては11年ぶりに増える。予算の約4割を借金に頼ることになり、財政状況が一層厳しくなる。
今日の日刊紙5社の社説から各社の意見のポイントを一覧しよう。
・財政規律の緩みを隠せぬ来年度予算案 日経
・来年度予算案 財政規律のたが外れた 朝日
・過去最大の予算案 コロナに乗じた野放図さ 毎日
・来年度予算案 財政悪化の現実忘れるな 産経
・政府予算案/「非常事態」の認識はあるのか 巨費を死蔵させるな 財政再建の意思示せ 神戸新聞
各社の社説の大見出しは、財政規律(日経、朝日)、財政悪化(産経)、コロナに乗じた野放図さ(毎日)財政再建(神戸)と予算案に批判的意見が続いている。
 これほど日刊紙各社の意見が揃うことは珍しい。菅政権への提灯記事が見当たらないのだ。社説子の良識を評価したい。
2022年度予算案のポイントを一覧しよう。
①20年度第3次補正予算案も含めた「15カ月予算」との位置づけであること。「15ヵ月予算」の総額は約112兆円となり、前年度の「15ヵ月予算」の総額約106兆円を16兆円ふえる計算になる。
②一般会計の総額106兆6097億円。歳入では、税収は11年ぶりの減で57兆4480億円、その他収入5兆5647億円、国債発行は11年ぶりの増で43兆円5970億円。予算の約4割を新たな借金で賄う借金頼みの財政が深刻化した。
一方、歳出は9年連続で過去最大106兆6097億円、社会保障費は過去最大35兆8421億円、予備費はコロナ対応の5兆円で過去最大5兆5000憶円。新型ウイルス感染症への対応に2020年度第3次補正予算と合わせて対策費を確保する。ワクチンの接種体制を整えるほか、逼迫する医療提供体制を強化するなど2年目を迎えるコロナ対策の充実を図る。(朝日、日経12/22参照)
・多くの問題をはらむのはコロナ対策の予備費である。20~21年度の合計で10兆円を確保し、その使途を政府の判断に委ねる。病床や医療人材の確保などに充てるのならともかく、不要不急のカネをばらまくのでは困る。(日経・社説12/22)
 ・来年度末の国債発行残高は1千兆円に迫る見通しだ。日本銀行による国債の大量購入という異例の政策に頼って、次世代に借金のツケを回し続けるのは、あまりに無責任である。
 25年度に国と地方の基礎的財政収支を黒字化する目標は有名無実となってしまった。優先度の低い事業はやめ、必要な事業の財源をきちんと確保する。そんな基本を忘れていては、財政の健全化など望むべくもない。(朝日・社説12/22)
 ・感染拡大が長引けば、再び歳出圧力が強まりかねない。査定の甘い補正で、予算の増大を招く事態には注意が要る。政府は、借金頼みの歳出増が持続可能ではないことを、肝に銘じるべきだ。(読売・社説12/22)
 ・消費税は今年度、個別の税収で初めて最大になる。コロナ禍でも国民に負担を求めている以上、政府は財政の無駄を省き、健全化の道筋を示す責任がある。
 予算案は年明けの通常国会に提出される。予算審議は国会の最大の責務だ。政府に財政の将来像を明らかにするよう求めるべきだ。(毎日・社説12/22)
 ・国の歳出はリーマン・ショックで一気に拡大した後も元の水準に戻ることはなく、景気回復が続く中でも増加の一途をたどった。その中でのコロナ禍である。
 いったん膨らんだ予算を元に戻すのは難しいのが現実だ。だからこそ、平時に戻ったときの具体的な対応について、国民に明示する必要がある。(産経・主張12/22)
 ・コロナ禍は、国民生活や企業活動を大きく変えようとしている。次代へのツケを減らし、新たな社会構造を見据えた財政再建の道筋を、菅政権は描きださなければならない。(神戸新聞・社説12/22)
 ⇒その他、地方の貴重な一般財源となる地方交付税や地方創生臨時交付金の詳細が気になる。今後の国会審議を見守りたい。


2020.12.24 デジタル政府・自治体システムの仕様統一を画餅にしないために
  今度こそ絵に描いた餅にしない覚悟が要る。菅義偉政権がデジタル政府の実現に向けた基本方針と実行計画をまとめた。来年9月に新設するデジタル庁に権限を集め、民間の人材を登用して利用者本位のシステムを構築するのは歓迎だ。あとは官民の力を結集し、一日も早く実現するだけである。
デジタル政府の柱は3つある。(1)手続きのデジタル化で利用者のストレスをなくす(2)政府と自治体の業務効率化でコストを減らす(3)データの利用で新たなビジネスを生み出す――というものだ。(日経・社説 12/24から)
基本方針は「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」を目標に掲げた。デジタル化がセーフティーネットの充実につながることを前面に出し、抵抗感を和らげようとしたのは評価できる。
実行計画では、まずプッシュ型行政の基盤システムを2022年度までにつくるとした。コロナ禍のような緊急時に、家計や企業を素早く支援するためである。
マイナンバーカードを支援の窓口と位置づけたことは、カードの普及を後押ししよう。カード運用機関の改革で使い勝手を根本から見直す作業も急ぐべきだ。(日経・社説 12/24から)
 ⇒新型コロナウイルス禍で露呈したデジタル対応の遅れの原因を、政府が自ら分析し、菅義偉政権は「デジタル政府の実現に向けた基本方針と実行計画」を定めた。今日の日経・社説による説明に何の違和感もない。問題は実現の可能性とスピードだ。
・政府と自治体のシステムは25年度までにすべてクラウドに乗せ、情報連携でつなぐとの道筋を示した。データは府省と自治体がクラウド上で分散管理し、利便性と安全性を高めるとしたのは妥当だ。
クラウド化は府省や自治体によって異なる業務のやり方を統一することが前提になる。この業務改革のスピードがデジタル政府の早期実現を左右しよう。
業務改革には行政実務とデジタル事情の双方に通じた人材が必要だ。デジタル庁は官民を挙げてこうした人材を集め、改革の実行をできるだけ前倒しすべきだ。
⇒ここまでの手順はすでに公表されていたので唐突感はない。問題はIT人材だ。日本のIT(情報技術)人材がIT産業に偏りすぎており、ITを活用する側のユーザー企業や行政機関などに所属するIT人材が大きく不足していることだ。
・行政のデジタル化が進むと公的データが増える。これを安心して使える仕組みづくりも急ぎたい。
データ戦略として公的情報のデータベース群を整備し、民間が活用しやすくする。同時に個人情報の扱いを統一し、保護体制を国際水準に引き上げる。自分の情報がいつ何に使われたか、いつでも確認できるようにするのは当然だ。
デジタル後進国からの脱却に向けた手立てはそろった。あとは実行あるのみである。
 ⇒社説子による文末のまとめにも違和感はない。政府が率先してシステムづくりを急ぐことに期待している。
デジタル政府の実現と同時に検討すべき課題は約1700ある地方自治体の情報システムの仕様を統一化だ。「政府と自治体のシステムを25年度までにすべてクラウドに乗せ、情報連携でつなぐ」ためにどのような課題があるのだろうか。(以下、日経 12/3参照)
 現在、① 住民情報などを管理する行政システムは「地方自治」のもと、自治体がそれぞれITベンダーに発注している。② 人口10万人以上の自治体の83%が業務ソフトを独自開発しているか、カスタマイズして、異なる仕様のシステムが全国で乱立しているため、③今後は仕様をどこまで統一するかが課題となる。
私は、自治体行政と学校教育で著しくIT人材が不足している問題を「今後どのようにして解決するのか」。デジタル政府実現と自治体システムの仕様統一成功の要諦はこの1点にあると考えている。今度こそ絵に描いた餅にしない覚悟が要るのだ。


2020.12.25 四字熟語で2020年を振り返る
  春先、首相の会見で慌ただしく始まった臨時休校。「児宅待機(じたくたいき)」で子どもも、仕事を休めぬ親もとまどった。コロナ、コロナで明け暮れた1年を、住友生命が募った「創作四字熟語」で振り返る(朝日・天声人語12/24から)
 ⇒毎年末に楽しみにしている「創作四字熟語」、元の四字熟語の漢字と意味と読み方をどれだけ正確に思い出せるか。説明なしで脳内リハ・脳トレの開始です。
 最優秀作品1編:医師奮診(獅子奮迅)
 優秀作品10編:収束渇望(就職活動)、妖姿願霊(容姿端麗)、全面口覆(前面降伏)、出発振興(出発進行)、薬家争鳴(百家争鳴)、将棋聖聡(王位継承)、自由香望(自由奔放)、父継三冠(父兄参観)、頻出毀滅(神出鬼没)、
・31回目の今年は過去最多の2万2千編が寄せられた。照る日も降る日もマスクなしでは外出しづらい「全面口覆(ぜんめんこうふく)」が日常に。没個性の口元に飽き、趣向を凝らした「創意口布(そういくふ)」を楽しむ人も増えた。
 ・巣ごもり生活を少しでも快適にしようと、だれもが「巣居工夫(そういくふう)」に努めた。出かけた先でも平熱を確かめ、「検温無事(けんおんぶじ)」でホッとする毎日。かたや、楽しみにしていた祭りや催しが津々浦々で中止される「多止祭催(たしさいさい)」には寂しさも覚える
・飲食業界は営業自粛の波でいまも四苦八苦が続く。隣の席とは2メートルの間隔を空ける「一席二長(いっせきにちょう)」が奨励された。代わりに広まったのが「画伝飲酔(がでんいんすい)」ことオンライン飲み会。人と人との接し方が一変した年だった
・コロナ以外のできごとも多々。政界では前首相が在職歴代最長の「記録更晋(きろくこうしん)」のすぐ後に退陣し、後任は臥薪嘗胆(がしんしょうたん)ならぬ「菅新相誕(すがしんしょうたん)。
 ⇒以下、入選作品40編から私選
「「吉松阪決」(起承転結)、「常時携袋」(常時携帯)「感染掌握」(勧善懲悪)
「注目知事」(注目記事)、「周囲換気」(注意喚起)、「持帰商創」(時期尚早)、「散勤交代」(参勤交代)
・不安と疲労に耐えて治療の最前線に立ち続ける医療従事者のみなさんの「医心献身(いしんけんしん)」には、どれだけ感謝しても足りない。製薬大手がワクチン開発にしのぎを削る「薬家争鳴(やっかそうめい)」のさなか、日本での接種はいつ始まるのか。どうか来年は心穏やかに過ごせますように。
 ⇒締めくくりは「医心献身」の医療従事者に感謝したい。来年は心穏やかに過ごせますように早期のワクチン開始に期待している。


2020.12.28 年末のご挨拶3題
 1 年末、年始の業務のお知らせ
 2020年も残すところあと僅かになりました。私どもの事務所は本日の午前中で仕事納め、来年の仕事始めは1月5日(火)、通常通り業務を開始します。
 本年中に賜りましたご厚情に厚くお礼申し上げますとともに来年もよろしくお願いいたし上げます。
 日本の官公庁は12月28日から1月3日までを休日とし、原則として執務を行わないものとしており12月28日を御用納めとしていますので今年の御用納めは12月28日(月)、来年の御用始めは1月4日(月)となります。
 Ⅱ 年末に思う
絆、ふれあい、癒やし……。耳に心地よい、こういう言葉が増えたのはいつごろからだろう。大きな災害のときの心あたたまる物語を描くときなど、メディアとしてもつい頼りたくなる表現である。行政も多用するから、各地で「ふれあいセンター」のたぐいに出合う。
そう唱えると、とてももっともらしい。しかし、ほんとうに苦しんできた人々の肉声はちょっと違うはずだ。たとえば、阪神大震災の被災者支援を続ける神戸市のNPO法人「よろず相談室」代表、牧秀一さんがまとめた「希望を握りしめて」(能美舎)。18世帯26人が、震災とその後の人生を語る生々しい証言集である。(日経・春秋 12・28日から)
 ⇒コロナで明け、コロナに暮れる2020年、国内で新型コロナウイルスの感染が確認された「感染者21万8358人、死者3247人」(26日午後11時半現在)。
本年はコロナ禍で被害を受けた人々以外にも、7月3日から7月31日にかけて、熊本県を中心に九州や中部地方など日本各地で発生した「令和2年7月豪雨」で被害を受け、未だ仮設住宅で暮らす人も多い。
 新聞紙上にもネット上にも被害者救済に向け「絆、ふれあい、癒やし」などの言葉があふれている。「そう唱えると、とてももっともらしい。しかし、ほんとうに苦しんできた人々の肉声はちょっと違うはずだ」。
いま求められているのは、コロナや災害で被害を受けた人々へ、目線を下げて、苦しんできた人々の肉声を聞いて心の底から「傾聴、受容、共感」を得て行動することだろう。この場合、大切なことは、上から目線や、蔑みは絶対にあってはならないと言うことだ。

Ⅲ ロータリークラブ退会のご挨拶
1982(昭57)年6月、同業の先輩会員土井康次郎先生のお誘いにより、小野加東ロータリークラブに入会させていただき、爾来38年間在席、本年12月末を以て退会することになりました。
クラブ奉仕、職業奉仕、社会奉仕、国際奉仕、青少年奉仕の五大部門の奉仕活動、さらに理事、幹事、会長、会計監査、記念誌編集の経験を通して、学び、実践した経験と多くの友人は私の生涯の宝物になりました。
退会に際し、これまでのクラブライフの思い出をロータリー機関紙等への投稿文を順に掲載させていただきます。
「人生夢浪漫・日々是感謝」をもって、私のクラブ退会のご挨拶とさせていただきます。長い間お世話になりました。

Ⅰ ロータリーの友から
① 地球の危機を救おう 
 私たちのクラブでは、今回のRIテーマ「ロータリーの夢を追い続けよう」と、その夢の実現に向けて、社会奉仕委員会の事業として、次のような趣旨で、RI会長に対し提言を行いました。以下はその一部、要旨です。
① 周知のように、われわれの住む地球は、いまや、さまざまな重大な環境問題に直面しております。温室効果ガス(主として二酸化炭素)による地球温暖化、フロンガスによるオゾン層破壊と紫外線の増加、それに伴う皮膚がんの誘発、さらには熱帯雨林の大規模破壊のために引き起こされる降雨量や気候の激変等々、枚挙にいとまがないありさまです。
② 97年1月12日に京都で国際会議が開かれ温室効果ガス規制について協議されましたが、何ら結論が得られず不成功に終わった事実は、まことに残念なことです。
③ 今後も、人類が石油・石炭をエネルギー源として使用を続けるかぎり、二酸化炭素の排出を規制したり、減少させたりすることは、とうてい不可能と考えられます。いかなる国も、その発生源となる自国の工業発展を抑制し、また車の使用を減らすことなど、できるはずがないからです。
④ といはいえ、現状のまま二酸化炭素が増え続けるならば、それにともなって酸素不足となり、近い将来、地上には、あらゆる生物は生存できなくなるだろうといわれています。かかる事態は、子々孫々のために、いかにしても防がなければなりません。
⑤ その対策の一つとして地球の緑化があります。地球の全陸地の四分の一は広大な砂漠であって、ここに植林して大森林化すれば、その森林の営む光合成によって、大量の二酸化炭素を酸素に変えることができます。これこそが、大気中の二酸化炭素を減らす唯一の方法だと信じられます。
鳥取大学の遠山征雄教授らは、それが可能であることを立証し、長年、砂漠での植林に努めておられます。
⑥ 今日、地球上のロータリアンの数は120万人であります。全会員が力を合わせ、これに協力し、自ら植林に協力し、自ら植林に参加、あるいは資金的に支援を行うならば、砂漠の緑化は急速に進むでありましょう。
全ロータリアンよ、団結してこの非常事態に当たりましょう。そうするならば、必ずや地球を救うことができると確信します。これがわがクラブが提唱する「地球の危機を救う」ための“夢の実現”であります。(西村勝彦 第2680地区 兵庫県・税理士) ロータリーの友・友愛の広場 1999(平11)年1月号

② ロータリーの夢実現に向けて提案 
1998年7月、レイシーRI会長は「ロータリー夢委員会」を設立した。委員会には全世界から2000件ほどの”夢“が寄せられ、小野クラブからも「砂漠に植林、砂漠の緑化」の”夢“を提案した。
同委員会は、RI理事会とR財団管理委員会に、4分野をカバーする7勧告を行い、25の夢(具体的内容は不明)を検討事項として取り上げたという(ロータリーの友・199年6月号)。4分野の第1番は「世界に将来的影響を及ぼすであろうロータリープロジェクト」である。7勧告の番は「ロータリーが環境および代替エネルギー源の問題にあらためて一層の関心を集中するもの。
真島太郎という1人のロータリアンの着眼(個人レベル)に始まり、小野クラブからの提案(クラブレベル)としてRIに投げかけた(世界レベル)私どもの夢が、今後どうなるか?どうやら夢委員会の検討事項に接近来ているし、わが第2680地区の米谷ガバナーは、2001年規定審議会への提案を検討されている。ロータリー夢実現の風が吹き始めた。
それでは、提案クラブの責任として何をなすべきか。重要なことは、ロータリーの社会奉仕の実践における「継続性の問題(Problem of Continuity)だ。1999-2000年度のラビッツアーRI会長も「ロータリー2000年:活動はー堅実、信望、持続」と言ってこのことを問いかけている。
当クラブの提案が線香花火に終わることのないよう、一層地道に勉強し、社会奉仕の具体例として、この「砂漠に植林、砂漠の緑化」提案をあらゆるチャネルを通して提案し続けることが、クラブに課せられた課題ではないかと考える。ロータリーの夢実現に向けてさらなる展開を期待する。(西村勝彦 第2680地区・兵庫県・税理士) ロータリーの友 2000(平12)年2月号 談話室

③ 地方自治体の監査 
 地方自治体の監査委員は、自治体の監査を通して自治体のマネジメント(経営・管理)とガバナンス(統治・監視)のあり方に影響を及ぼしている。
 私は兵庫県加東市の代表監査委員を務めているが、前年の決算審査講評において、自治体のマネジメントについて「業務の有効性と効率性(最少経費で最大の効果)を目的として、首長が組織マネジメントである内部統制を構築することが大切である。首長のリーダーシップにより、職員の意識を変革し、地方自治体を取り巻くさまざまなリスクに対して、自律的に対応可能な体制を整備して不祥事が発生しない強い体制(仕組み)をつくらなければならない」と述べた。
 本年の決算審査講評では自治体ガバナンスと監査について「地方自治体のガバナンスは、 ①議会制度、②関連法規、③職員(公務員)の三つの要素が十分機能することによってその成果を上げることができる。選挙により選ばれた議員が自治体のガバナンス機能を発揮する。優れたガバナンスを可能とする関連法規の完備徹底遵守。さらに自治体職員による適正な行政執行の三つが機能して初めてよいガバナンスが可能となる」と述べた。
ところで、監査委員やその事務局職員による自治体監査によるガバナンスは、第29次地方制度調査会報告において指摘された通り監査委員の専門性と独立性により、監査委員監査が実質的な外部監査機能を発揮することで可能となる」。
 しかしながら、現実の自治体監査委員監査は法制度において、その選任方法、議会選出委員、事務局員のあり方などにおいて外見的独立性が必ずしも確保されていない。このような状況の中ではあるが、私は自治体監査委員として、現行法の枠内でできる限りのガバナンス機能を発揮することを心がけてきた。 以上の経緯を経て、任期中最後となる本年の決算審査意見書の文末に「自治体マネジメントとガバナンス」に対する思いを次のように書いた。
「今後とも引き続き、自主財源の確保と、施策の『選択と集中』により、公共施設マネジメントの推進、諸経費の節減、行政の簡素化と効率化に努められたい。
最後に、信頼性の高い市の行財政運営を推進するために、業務の有効性と効率性を図ることを目的として内部統制を構築し、さらに自治体ガバナンスを可能とする関連法規の整備運用と徹底遵守により効率的でよい統治を目指されることを期待する」。かくて私の暑い夏は終わった。(西村勝彦 第2680地区 兵庫県・税理士) ロータリーの友 2013(平25)年12月号 友愛の広場

④ 海外クラブメーキャップの思い出 
1982(昭和57) 年に小野加東RCに入会後、何度も国際大会や海外旅行に出かけています。記憶に残った 2つの海外クラブメークアップを紹介しましょう。
1つ目は初めて海外のクラブでメークアップした時のこと。古くからの友人が、サンフランシスコ州立大学に留学していたため、2 人で西海岸の都市を旅行しようという話になり、年末年始に 2 週間旅行しました。その際、世界で 2 番目に誕生したサンフランシスコRCの例会に出席し、バナー交換も果たしました。会場は大きなホテルの宴会場で、ここはパーティー会場かと思わせるにぎわい。ビジター紹介の後、「日本語の話せる方はいますか?」と英語で呼び掛けてみましたが、会場はシーン。残念に思っていると、例会後に住友銀行サンフランシスコ支店長の会員が席まで来られ、名刺交換をして安堵。しばし歓談をしました。初めての海外クラブは何もかも緊張の連続でした。1983( 昭和58)年のことです。
2つ目は 2003(平成15)年、友人夫婦と共にロシアに旅行した際、サンクトペテルブルク・ネバRCを訪れた時のこと。私は紹介されて英語でスピーチしました。ここはロシア、 何でもしゃべろうと勇気百倍。「私のポリオ体験とポリオ撲滅」をベースに、あらかじめ準備した原稿でスピーチしました。日本ではこんな話をしたこともありません。驚いたことに、元会長で当時サンクトペテルブルク大学准教授のイリナ・リブシーさんが一区切りごとにロシア語に通訳をしてくれていて、おかげで大きな拍手をもらい、本当にうれしかった。私の海外クラブメークアップ体験は全て楽しい思い出です。(西村勝彦・ロータリーの友」2018(平成30)年4月号 特集・メークアップのすすめ

⑤ 私とポリオ
ポリオワクチン接種の成果により、2000年に根絶宣言をした日本では、ポリオは忘れられた存在になり、現在の整形外科の教科書には、ポリオの病名はありません。
私は昭和19(1944)年の夏、2歳半の時、三重県下で大流行した脊髄性小児麻痺(ポリオ)にかかりました。当時、父は津の33連隊の職業軍人でしたから、陸軍病院で診断、若干の治療を受けた後、京都大学病院に3ヵ月余り入院しました。
戦時下にもかかわらず、十分な治療と両親による看病の甲斐あって、大分よくなりましたが、足の方はあまり丈夫にならないまま就学年齢を迎え、1年の就学延期して小学校へ入学。この時、松葉杖では将来困るであろうというので、今の一本杖に変えさせられています。
3年生になってからは、父が神戸で買ってきてくれた子ども用自転車で通学。さらに中学2年生の時に大阪市立大学整形外科で脚長差を調整する手術を受け、後に補装具をつけて歩くようになり、また一時は杖なしで歩いていたのですが、体に不自然な力がかかりつかれるものですから、やめてしましました。
中学3年生になってから、補助エンジンのついた自転車、いわゆるバイクに乗るようになりました。その後、乗用車に乗るようになり、すでに75歳になりました。
28歳で帰郷後、税理士事務所を開業。青年会議所、ロータリークラブの皆さまとの長いお付き合いがあって、仲間の皆さまからいつもお誘いいただき、何回も海外旅行などを楽しむことができました。
これまでの人生を、いつも いつも私の周りの「良き理解者」に助けられて生きてきたことと、その方たちのおかげで幸せな人生を送ることができたことに感謝しています。(西村勝彦 第2680地区 兵庫県・税理士・2019(平29)年12月号 特集 END POLIO NOW)

Ⅱ THE ROTARIANから
 ⑥ Opinion  Let’s turn deserts into forests
KATUHIKO NISHIMURA 1998-99 president,
The Rotary Club of ONO Japan
 It is generally accepted that there are many serious global environmental problems. namely global warming caused by the emission of greenhouse gases (including carbon dioxide),the destruction of the ozone layer, and the destruction of tropical rain forests.
 An international meeting on ways to restrict the emission of greenhouse gases took place last year in Kyoto, Japan, but the meeting ended unsuccess fully. The countries participating in the United Nations sponsored event reached no real decisions, and left many problems unresolved.
 It is impossible ,I think ,to decrease or restrict the emission of carbon dioxide in the future, as long as people use petroleum and coal as energy sources. It is clear that no country can or will stop or restrict the development of it's industry or the use of motor vehicles, which increase the level of carbon dioxide in the air.
 Studies from Tokyo University researchers estimate that Japan's annual emission of carbon dioxide is about 10metric tons(11.02U,S.tons)per person .If this holds true in the other countries, and if the Earth's population continues to rise ,then the problem of carbon dioxide emissions and the resulting effects on global warming will only worsen over time.
Such conditions must be avoided by all human beings for the sake of future generations.
 On the other hand, one fourth of the world's land mass consists of enormous deserts ;the Shara,Gobi,Rub'A1KhaLi,Kalahari,and others.
 If people could plant enough trees to transform these deserts into forests ,then the through photosynthesis, would convert carbon dioxide into oxygen at astonishing rates.
 If the world's 1,2milion Rotarians and more than 29,000 Rotary clubs helped plant these forests or financially assisted in such a effort, the greening of the world's deserts would progress rapidly.
Of all the world's organizations, only Rotary can undertakes such a task, and we must accomplish it as soon as possible.
(THE ROTARIAN/OCTOBER/1998)

Ⅲ ROTARY=NO-TOMOから
⑦ Let all Rotarians all over the world save the globe
Katsuhiko Nishimura (Ono)
It is generally accepted that there are many important global environmental problems, namely, global warming caused by the emission of greenhouse gases (including carbon dioxide gas), the destruction of the ozone layer by Freon gas causing an increase of ultraviolet rays which produce human cutaneous cancer, the destruction of tropical rain forests which bring rain to the earth and regulate the global climate, etc.
An international meeting was held to restrict the emission of greenhouse gases last year in Kyoto, Japan, but no real decision was reached, and the meeting ended unsuccessfully leaving many problems unresolved. It is impossible, we think, to decrease or restrict the emission of C02 gas in the future whilst human beings use petroleum and coal as energy. Because it is clear that no country of the world can stop or restrict the development of its industry or the use of motorcars which increase the level of C02 in the air.
It is estimated, according to studies from Tokyo University, that the emission of C02 gases of every Japa nese person is 10 tons a year on average at present, and the population of the world will reach seven thousand million in the year 2050. So, the emission of C02 gas after 2050 a year will be 70 X 109 tons on the supposition that each human being will emit 10 tons of C02 gas a year on average. Moreover, it means a loss of 57 X 109 tons of 02 from the earth, because C02 is a chemical compound of C (carbon) and O, (oxygen) and molecular weights of C02 and 02 are 44 and 36 respectively (70 x 36/44 57).
 Thus, if the C02 content continues to rise with a loss of 02 in the air from now on, no living individual will be able to live on earth in the near future. Such conditions must be avoided by all human beings for the sake of future generations.
On the other hand, one fourth of the world's land mass is enormous wide deserts; the Sahara, Gobi, Great Victoria, Rub* al Khali, Kalahari and so on.
If human beings plant trees in these deserts to transform them into huge forests, then those forests will be able to convert C02 into 02 with the help of photosynthesis by sunshine. And this is the only way, we believe, to decrease the amount of C02 in the atmosphere!
By the way, it has been clarified by Dr. Masao Toyama, assistant professor of Tottori University and a head of Green Hat Foundation (nongovernmental organization), that it is not difficult to plant in deserts. In fact, he has been planting in the world's deserts for a long time with members of Green Hat Foundation
Now, there are 29,113 Rotary clubs and 1,201,595 Rotarians in the world according to Rotary reports. If all of those Rotarians plant in the world's deserts by themselves or assist finan cially, the greening of the world's deserts will progress rapidly and as a result the content of C02 in the atmosphere will decrease through photo synthesis created by huge forests from all over the world. And thereafter, global pollution by C02 gas will completely disappear.
Except for Rotary, does any country or organization plant in the world's deserts to convert them into huge green forests? "There is no such organization at the present time, and the Rotary club is the most suitable to carry out such work!" we believe. And, it must be done as soon and as thoroughly as possible! (Certified Tax Accountant)
The writer is President of the Rotary Club of Ono (D-2680) for 1998-99 ROTARY-NO-TOMO ROTARY-IN-JAPAN Winter 1998

 Ⅳ 最後に 私のブログから
 緑化進む、クブチ砂漠の現況
 深刻な砂漠化に悩まされてきた中国では、さらなる砂漠化を止めようと緑化事業を進めてきた。そのモデルケースとなっている内モンゴル自治区のクブチ砂漠を訪ねた。
・クブチ砂漠は総面積1万8600平方キロメートル。中国で7番目に大きい。北京から西に約800キロに位置し、首都に最も近い砂漠でもある。1980年代に温暖化や過密な放牧が原因で砂漠が広がり、黄砂の被害も深刻になってきたため、政府や企業が緑化事業を本格化させた。国連環境計画の報告書によると、同砂漠では約30 年間に5千平方キロメートル以上の緑化に成功したとされる。
 2004年に亡くなった遠山正瑛・鳥取大名誉教授は「日本沙漠緑化実践協会」を1991年に設立。亡くなる直前までクブチ砂漠を中心に中国の砂漠緑化に尽力した。これまでに延べ1万3 千人のボランティアが関わり、430万本以上の苗木を植え、遠山さんの遺志は今も受け継がれている。
 砂漠化への対応は世界的な課題だ。国土の約4分の1が砂漠と言われる中国での取り組みが注目される。(朝日新聞・機動特派員・竹花徹朗稿 2019/04/14から)
 ⇒朝日新聞「世界発-2019」にクブチ砂漠の緑化運動とその成果が6枚の現地写真とともに大きく掲載されている。
小野加東ロータリークラブでは1998年、「砂漠緑化運動」を提案した。私はこの運動に直接かかわることはなかったが、当時会長であったため「国際ロータリー夢委員会」に提言した。
この提言が「Let all Rotarians all over the world save the globe 」としてROTARY-NO-TOMO ROTARY-IN-JAPAN Winter 1998 として記載され、引き続き「Opinion:Let's turn deserts into forests」としてTHE ROTARIAN/OCTOBER/1998のOpinionに掲載された。
1999年会長であった田村公平さんは、真島太郎会員らとともに内モンゴル自治区のクブチ砂漠で植林体験を実施、引き続き遠山正瑛教授のご子息遠山征雄先生を招聘して講演会を実施、以後「小野加東発緑の協力隊」を組織して地元住民とともに砂漠緑化実践運動に取り組んだ。
 この運動から20年後の今日の朝日新聞に「砂漠緑化」の成果が写真入りで大きく掲載された。小野加東ロータリークラブの真島太郎会員、田村公平会長のお二人の努力が実を結びうれしい。(私のブログ 2019.04.14から)


2020,12.29 年末に思うⅡ
  新型コロナの感染に歯止めがかからず、国内の死者は3千人を超えて増え続けている。
このウイルスは、通常の見舞いはもちろん、愛する人の最期に立ち会い、静かにみとることすら困難にする。春に志村けんさんや岡江久美子さんが亡くなったとき、遺族が語ったその切なさは、社会に大きな衝撃をもって受け止められた。
 治療に最善を尽くすことに加え、患者の尊厳を守り、家族の気持ちに寄り添うことが、医療現場の大きな課題のひとつになった。ガラス越しの対面やインターホン、スマホを使っての会話などの工夫がされるようになり、救われる思いをした人も少なくなかっただろう。
 ・専門家たちが心配するのは「悲嘆反応の複雑化」だ。突然の死は「あいまいな喪失」となり、十分に看病できなかった悔いや無念が遺族にのしかかる。いまは平静に見えても、時間をおいて苦痛が強く現れるのではないかという懸念である。
 ⇒毎年、年賀状を差し上げている私の親戚、知人、友人の中にコロナ感染や災害で亡くなった人はいない。そのため昨日のブログでは「いま求められているのは、コロナや災害で被害を受けた人々へ、目線を下げて、苦しんできた人々の肉声を聞いて心の底から「傾聴、受容、共感」を得て行動することだろう。この場合、大切なことは、上から目線や、蔑みは絶対にあってはならないと言うことだ」と述べた。この気持ちに偽りはない
 ところが、数日前に投函した年賀状には、「ブログを書き丸7年が経ちました。今年も不定期に投稿を続けます。『人生夢浪漫 乗り越えられない試練はない』『日々是感謝』を生きる指針にして来年は傘寿を迎えます」と添書を入れた。
 自分の生きる願望を優先していれた添書ではあるが、コロナ感染者や大災害被害者のことを思えば、なんと不用意な言葉を入れたことかと申し訳なく思う。
 今さら覆水を盆に返すようなことはできないが、「時を戻そう」(今年の流行語大賞候補・漫才コンビ「ぺこぱ」の台詞 朝日天声人語12/29参照)。
ブログの文章があらぬ方向に展開したときには最初からやり直すことが必要だ。そんな忠告である。


2020.12.31 2020回顧 コロナ感染拡大
  新型コロナウイルスによる感染症はあっという間に世界に広がった。病原体はすぐ特定されたが拡散を止められず、感染者は増え続ける。治療薬やワクチンの研究が進む一方、ウイルスの新たな変異や後遺症なども報告された。今後は科学的な知見に基づく素早い対応が一層必要だ。
・新型コロナウイルスの流行によって、日本の様々な課題が浮き彫りになった。一つは司令塔の不在だ。PCR検査の拡充などで目の当たりになった。
4月に安倍晋三前首相がPCR検査能力を1日2万件に上げると表明し、5月中旬に達成後、新たな目標が示されない状態が続いた。政府関係者は「国に検査戦略を立てる担当者がいなかった。民間検査会社も需要が見込めず、投資に踏み切れなかったのだろう」と振り返る。
検査が必要な人の相談を受け、医療機関に紹介する役割を担った保健所も人員不足で業務がパンク。相談電話がつながらず、症状を訴えても保健所が「検査は不要」と判断して断る事例が相次いだ。
春の「第1波」で深刻だった病床逼迫も再び問題になった。国は7月、都道府県に病床確保計画の策定を求め、感染状況(フェーズ)に応じて病床を増減する想定だった。
・秋以降、感染拡大した北海道や大阪府では患者受け入れが難しくなった。病院などで「院内クラスター」が相次いだほか、感染症に精通した医師、看護師ら医療スタッフの確保難で病床を計画通りに増やせない医療機関も少なくない。(日経 12/30から)
 ⇒2020新型コロナウイルス感染拡大と政府の対応を振り返ってみよう。
① 1月7日:新型ウイルスを中国の専門家グループが検出し、9日には中国政府が公表。23にちから武漢市は都市封鎖に
② 16日:国内発の新型ウイルス患者を確認。厚生労働省発表。中国武漢から帰国後の肺炎の症状
③ 29日:コロナ感染が広がった武漢から206人帰国。
④ 2月5日:横浜港に停泊中のクルーズ船でダイヤモンド・プリンセス号でコロナ集団感染者確認
⑤ 13日:新型コロナで国内発の死者、厚労省が発表
⑥ 17日:政府の専門家会議が新型コロナの相談・受信目安を提示
⑦ 3月11日:新型コロナをパンデミックに 世界保健機関が認定
⑧ 13日:新型コロナ対応の特別措置法成立
⑨ 4月1日:全世帯に布マスク2枚。「アベノアスク」とも呼ばれた
⑩ 7日:コロナ拡大で緊急事態宣言
⑪ 24日:全校で休校
⑫ 30日:コロナ対策などを盛り込んだ補正予算成立
⑬ 5月25日:全国で緊急事態宣言解除
⑭ 6月12日:コロナ追加対策を盛り込んだ2次補正予算成立
⑮ 7月22日:政府の観光支援の目玉Go TOトラベル開始
⑯ 9月16日:菅内閣が成立
⑰ 11月9日:世界の新型コロナ感染者が5千万人を超える
⑱ 12月25日:新型コロナウイルスの変異型を国内で初確認(データは朝日12・30参照)
 ※兵庫県内では、2月28日:県と県教委が2週間の休校要請を決定、多くの学校は春休みを経て4月の緊急事態宣言で5月末まで休校が続く。

・「コロナ」という言葉を使った記事を検索すると、2020年は本紙の朝夕刊だけで2万9千件余にのぼる。19年はわずか24件だ。本来はそれくらいしか登場しない語句で、1989年以降の30年間でも855件。その名を持つウイルスが、今年は世界に襲いかかった。
日経・春秋12/31から)
 ⇒コロナで明け、コロナに暮れる2020年の年末。北播磨の朝は1面の雪景色に温かい冬の太陽が照りつけている。
 本年中の新型コロナウイルス感染拡大を振りかえり、新型コロナウイルス関連に限って要約し、政府や自治体の対応を検証して思うことは、感染症の専門家による提言は必ずしもエビデンスに基づく統一した知見ばかりではなかった。
一方、政治家による政治判断は、希望的観測に基づき感染拡大が過小に評価されており、結果として感染対策が批判され、後手に回ることが多かったのではないか。
・きょうで、そんな(コロナ禍の)悪夢の1年が暮れる。相変わらず未来は見えないが、新年はウイルスの誕生から足かけ3年。夜明け前がいちばん暗いと胸に言い聞かせたいものだ。危うさを秘めながらも株価は年間16%上がった。そこには数年先への期待がこもっていよう。どんな時代になるにせよ、戦いの「戦後」は必ずやってくる。
・「コロナ」なる言葉は、なにもなかった昔の語感には戻れまい。しかし、それでも「コロナ後」という言葉にうんと伸びやかな雰囲気のただよう未来を、やはり夢見るとしよう。歴史を顧みれば戦後日本の多くの制度は、じつは戦時下にスタートしている。コロナ下で生まれるさまざまな挑戦も、歴史をつくるに違いない。
 ⇒コロナ前とは異なるコロナ後の生活や社会に「うんと伸びやかな雰囲気のただよう未来を、やはり夢見るとしよう。歴史を顧みれば戦後日本の多くの制度は、じつは戦時下にスタートしている。コロナ下で生まれるさまざまな挑戦も新しい歴史」をつくるに違いない。
戦前生まれの私たち老夫婦には、いまさら大きな挑戦はできないが、来年は、子や孫の挑戦に期待してお年玉の準備をしている。

 傍白
 私は、本日を以て所属する小野加東ロータリークラブを退会いたしました。
Fb小野加東ロータリークラブのフレンドの皆さん、本日が私の最後の投稿日となりました。
 会員の皆さまのご健勝とご多幸をお祈り申し上げ、コロナ後のますますのご活躍をご期待申し上げます。
 所属クラブ退会後の私のブログは以下に掲載しています
 http://k-nishimura-office.la.coocan.jp/ 



2020.11.01 冬を迎えるコロナ対策の知恵

  新型コロナウイルスの1日当たりの感染者数が、欧州を中心とした先進国で急増している。5月以降、インドやブラジルといった新興・途上国に感染の中心が移っていたが、10月下旬になって再び先進国における感染者数が上回る事態となった。世界保健機関(WHO)はこれから冬を迎える北半球に対して「重大局面にある」と警戒を呼びかけている。
 ・欧州では経済活動の再開にともなって8月から徐々に感染者数が増加し、10月に入って一気に加速した。1日の感染者数でみると、すでに4月のピーク時の約6倍に達している。感染者が1日に3万5千人を超えるフランスを筆頭に、英国やイタリア、ベルギーなどで最近の顕著な増加がみられる。3カ月前と比べると、50倍の急増となっている国もある。
 ・新興・途上国では1日当たりの感染者数が8月以降、20万人前後で横ばいが続く。大部分を占めてきたインドとブラジルではともに感染が減速傾向にある。(朝日11/01
 ⇒北半球の先進国・日本では、感染者がもともと少ないこともありWHOの「我々は流行の重大局面にある」と言う警鐘に関心が薄い。感染拡大防止策をつづけながら、経済活動の継続緩和が続いている。
 コロナ対策に100%の正解はないが、感染拡大防止策を続けながら経済活動を続けた場合のGDP(国内総生産)成長率のマイナスは、大和総研によると6.1%にあると言う。
 コロナ禍による経済活動悪化の影響は深刻であり、感染防止策と経済活動再開・継続のバランスをどのように考えるのか。国民の命か生活か?この難しい判断を迫られる政府にも100%正解はない。専門家の知見と政府や政治家による「コロナ対策か経済活動か」の判断は「バランス」の取り方以外に解はない。
 はっきりしていることは「マスク、ソーシアルディスタンス確保など感染防止対策をしながら、生活を守る国民の知恵が重要」だと言うことだろう。
 傍白
 欧州で1日当たりの感染者数が急増した国は、① フランス(25.824人)、②英国(21.627人)、③ イタリア(15.934人)、④ スペイン(15853人)、⑤ ドイツ(9861人)であった。(日経11/01

2020.11.02 デジタル行政の死角・現場知らず

 行政のデジタル化が菅義偉政権の中心的な政策として動き始めた。コロナ禍で表面化した後進性を克服するにはどうしたらいいか。利用者が「オンライン手続きは便利だ」と実感することを最優先すべきだ。民の創意を生かし、現場知らずという死角をなくさないといけない。
 いま霞が関で一番ホットな部署といえば、内閣官房IT総合戦略室だ。菅政権の発足で各省庁から呼び集められた約50人が、デジタル改革関連法案の準備室に詰めている。
 これと別にIT室は、デジタル人材を10人ほど民間から公募した。デジタル庁の発足時には「審議官級のポスト」に就くと目されており、業界ではどの会社が人を出すかが注目されている。
 ただデジタル化はあくまで手段だ。自治体などでの手続きで国民が利便性を感じることで、目的が達成される。(日経・核心論説主幹 原田 亮介稿11/02から)
 ⇒電子政府ランキングで日本の順位は毎年低迷し2020年は14位であったことは語りつくされている。
 菅首相がまだ官房長官だった8月上旬、朝食会のメンバーの一人だったグラファーのCEO石井大地氏は菅首相に行政手続きのオンライン化で助言した。
 ・石井氏はこう語った。「まず自治体の行政手続きのオンライン化を義務化する。何年までに何%という数値目標を定める。現場を持たない国には優れたサービスはつくれません。自治体の創意を奨励すべきです」。過去に学ぶモデルにあげたのが、民間と自治体の創意で市場を生んだ「ふるさと納税」の仕組みだ。生みの親は菅首相である。
 ・日本で行政手続きに費やす時間を人件費換算すると「事業者だけで5兆~10兆円」という。そこに切り込むグラファーは自治体の窓口業務のオンライン化に価格破壊をもたらした。コロナ禍で混雑を避けたい自治体が増え、100件以上の商談が進行中だ。
 財政難の自治体が、少ない公務員数で多くの業務をこなすためにも、デジタル化は避けて通れない。大阪府四條畷市もその一つだ。171月に外務官僚から市長に転じた東修平氏は32歳で、いまも全国で最年少の市長だ。
 最初に手をつけたのが、全部局の業務量と人員のヒアリング。役割を終えた政策はとりやめ、速やかに利便性があがり業務量を減らせる仕事からデジタル化を始めた。
 「四條畷市もグラファーと組み、スマホ申請で住民票を郵送するサービスを始めた。マイナンバーカードで本人認証をする仕組みだ。今後、転出証明などでも同様のサービスを提供する準備をしている。
 東市長は「住民サービスのノウハウは自治体に蓄積している。霞が関は自分たちが筋道をつけようと考えるが、国は権限と財源の移譲によって支えてほしい」と話す。
 ここまでは、全国最年少の辣腕市長による「地方の人口55.526人の合併小規模自治体の現場業務のデジタル化に民の知識を生かした事例」の最前線だ。
 この日経・核心のご意見を読み、地方の小規模自治体の首長や議員にどれほどのインパクトを与えただろうかと思う。
 記事の内容が理解できない自治体関係者はいないが、「所詮、無理難題・実行不可能・霞ヶ丘の指導と予算を待てばよい」のあきらめが聞こえるように思う。
 菅首相に倣い、首長が率先垂範してIT専門人材の採用とデジタル化推進の討議を開始しようではないか。なんでも最初に現場を知り、専門家の意見を聞く菅首相の政治姿勢を見習いたいものだ。
 傍白
 人口55.526人の小規模自治体の現場業務のデジタル化推進に倣い、IT専門人材の採用により行政のデジタル化を一気に進めたい。

2020.11.03 行政のデジタル化推進・国と地方の連携

 政府は自治体ごとに条例で定める個人情報保護のルールを法律で統一する。先進自治体には不満も残るが、個人情報保護とデータ活用の両立は国の競争力にかかわる課題だ。デジタル時代の新しい国と地方の関係を考える機会にしたい。
 個人情報保護は情報公開制度とともに自治体が国に先行してきた。配慮を要する個人情報にLGBT(性的少数者)を含めたり、データの外部提供に審議会の承認を要件としたりするなど、独自ルールで国より厳しく規制する自治体が多い。半面、全く規定のない団体もある。
 統一の目的は2つだ。バラバラな規制がデータの流通を妨げている状況の改善が一つ。もう一つは規定のない団体がある保護体制の穴を埋め、欧州連合の一般データ保護規則(GDPR)など国際的な保護水準に合わせることだ。(日経・社説11/02から)
 ⇒自治体の現場業務デジタル化推進の1丁目1番地の個人情報保護について現在自治体ごとに条例で定めるケースと規定のない団体がある。そこで「政府は(欧州連合の一般データ保護規則(GDPR)など国際的な保護水準に合わせ個人情報保護のルールを法律で統一する」と言う。
 ・全国共通ルールは法律で規定、自治体は必要最小限の独自ルールを条例で追加できる。必要最小限に該当するかどうかは国と相談し、条例で追加すれば国に届け出る。LGBT規定のような独自ルールを抑制的に認めつつ、それを国や企業が把握しやすい仕組みであり、評価できる。
 個人を特定できないよう加工することに自治体は慎重だ。匿名にしても特定されやすいとの懸念が根強いためで、法律はまず都道府県と政令市に加工情報の利用募集を義務付ける。匿名加工はビッグデータの利用拡大に欠かせず、対象を広げていくべきだ。
 ⇒全国共通ルールの制定とその運用に特段の異議はない。その際、重要なことは「個人を特定できないよう加工する技術とその範囲」だ。匿名にしてもなお特定されやすい懸念があるようでは困る。
 ・個人情報保護は行政のデジタル化と密接な関係がある。保護の水準が一定でなければ、国と自治体とのデータ連携や自治体同士の広域連携の支障になる。共通ルールの法制化は、行政サービスの水準を落とさないためにも必要な措置だと認識したい。
 ・政府は自治体の情報システムも5年以内に統一する方針だ。住民記録、税、社会保障などの様式やシステムの標準化も国主導で進む。行政のデジタル化は国と地方の関係にどんな変化をもたらすのか、注視したい。
 ⇒行政のデジタル化推進に際して重要なことは、政府の情報システムと地方自治体の情報システムの連携に弊害が無いようにするため「行政実務の標準化」が前提になる。
 この作業は国主導で進み、地方はこれを受け入れることになる。この作業のため地方自治体に一定の業務水準が求められる。
 傍白1
 地方の小規模自治体の現場業務のデジタル化推進のため、早急にIT専門人材の採用が求められる。いまから政府の自治体の情報システム統一化方針に従い、行政実務のデジタル化技術を磨き、自治体行政のデジタル化を一気に進めたい。
 傍白2
 菅政権が掲げる地方自治体の業務システムの統一は自治体業務の効率を上げ、住民の利便性を高める。現在、地方自治体の住民記録や地方税などで使われるシステムは自治体ごとに異なる。具体的には採用する専門ソフト運営会社が異なるため、政府が業務システムを統一化すれば、現在採用しているソフトの更新を待つか、運営会社を変更しなければならないことになる。ただ、この作業に必要な人材や、ソフト更新は新規ソフト購入コストを国は負担するのか、各自治体が負担するのか。IT専門人材の採用では解決できない課題がある。

2020.11.04  認め印全廃 登記は実印

 ほとんどの行政手続きからハンコが消える。認め印によるものは全廃し、住民票の写しの請求や転入・転出届、婚姻届などから押印がなくなる方向だ。残るのは登録した実印によるごく一部の手続きとなる。「脱ハンコ」が達成できても、本来の目標である手続きの簡素化やデジタル化は難しい。(朝日11/04から)
 ⇒「河野太郎行政改革相が各省庁に報告を求めたところ、ハンコがいる行政手続き約1470099%について「廃止する」と回答があった。認め印でもできる約12400については、すべてなくす。年内にも政省令を改正し、法改正が必要なものは来年の通常国会での成立をめざす」と言う。
 政府がハンコをなくす方向で検討しているのは、① 法務省:市区町村への住民票の写しの請求、② 国交省:自動車の車検の使用者欄、③ 内閣府:児童手当の受給資格を確認する書類、④ 財務省:年末調整や税の確定申告書など。
 特段の異論はない。だが、ハンコをなくすことと行政手続きがオンラインでできることは必ずしも結びつかない。各省庁や自治体が行政手続きを見直さないかぎり手続きのオンライン化は進まないのだ。
 ・印鑑証明の制度は維持される。土地の所有権を移転する際の不動産登記や、会社をつくるといった商業・法人登記の申請では、実印がいままで通りいる(必要)。法務省は「財産価値の高い不動産や企業の信用にかかわる手続きでは、厳格な本人確認が必要だ」という。
 ほかにも相続税申告における遺産分割協議書など、いまは数千ある実印や印鑑証明が必要な手続きは80ほどに絞り込む。
 また、法務省は婚姻・離婚届については、署名は残す。同省の担当者は「他人による『なりすまし』などがあった場合、婚姻取り消しを求める裁判の証拠となる署名は残しておく必要がある」と説明する。
 ⇒日本人はサインの代わりに「ハンコ・印鑑(個人または法人の氏名が彫刻されたスタンプ)」を押すことに慣れているのでデジタル化が一気に進むことに戸惑う国民や自治体関係者は多い。
 日本のハンコの歴史は中国から日本に送られたとされる「漢委奴国王」の金印が日本最古のものとして有名。その後長く続いているが、印鑑登録制度が市町村の事務となったのは明治時代。
 ハンコには、自治体に印鑑登録した実印のほか拇印、認印、銀行印、訂正印などのほか公務で使用する公印や専門職業人の職印、個人の蔵書印などがある。
 大正生まれの私の父は、陸軍職業軍人、銀行、信用組合勤務など生涯サラリーマンだったが、没後これらのハンコが2030個あった。使用目的に応じて使い分け、使用目的や昇格、役職に合わせて新しいハンコを作成したようだ。ハンコは父の自尊心の分身であったのかも知れない大切なものであったようだ。
 本年に入りコロナ禍によりテレワークが一気に普及し紙文書への捺印のためだけに出社を余儀なくされる社員が現れ、押印の慣習、慣行がネガティブに喧伝された。
 ・全国の自治体でも見直しが相次ぎ脱ハンコの流れは強まるが、マイナンバーカードは普及しておらず、窓口に行かなければならない手続きは多い。書類の様式や記入法なども役所や自治体ごとにバラバラで、統一のめどは立っていない。
 ⇒コロナ禍の中で、印鑑証明の制度(印鑑届、署名押印、記名押印の実務とその法的効果)は維持されることになったが、長く続いた日本のハンコ文化を一挙に排せず「行政手続きのケースバイケースで廃止と存続の総合的検討」が行われることを期待したい。



2020.11.05 米大統領選2020

 ①アメリカの大統領選挙は各州で有権者の投票の結果選出される選挙人により選ばれます。
 ②投票できるのは18歳以上のアメリカ国民ですが、実際に投票するためには事前に居住地の選挙管理委員会に有権者として登録する必要があります。
 ③大統領選挙の勝敗は有権者の得票数で決まるのではなく、投票結果によってそれぞれの候補者が獲得する選挙人の総数で決まります。
 ④選挙人は有権者の代表に位置づけられ、全米であわせて538人いますが、各州に人口に応じて割りふられていて、各候補者は州単位でこの選挙人を奪い合います。

 ⑤ただ全米50州のうち48州と首都ワシントンは、その州に割りふられた選挙人を投票結果に応じてそれぞれの候補者が分け合うのではなく、勝者が総取りする方式をとっています。
 ⑥アメリカ大統領選挙では事実上、共和党、民主党の2大政党の候補者が争いますが、各州のこれまでの傾向をみると大きく共和党が強い州と民主党が強い州、そして支持率がきっ抗する州にわかれます。
 ⑦今回の場合、ペンシルベニア、フロリダ、ノースカロライナ、ミシガン、ウィスコンシン、アリゾナの6州が激戦州として注目されていますが、いずれも勝者総取りの方式を採用しており、これらの州でトランプ大統領、バイデン前副大統領のどちらが勝利するかが選挙結果を左右するとみられています。
 ⑧この選挙人の勝者総取り方式の結果、全米での有権者の得票数が多かったとしても、選挙人の数では少ないという結果になることもあり、前回、4年前の選挙では民主党のクリントン氏が全米の得票数では200万票以上多かったものの、選挙人の数では激戦州を次々に制したトランプ氏が74人上回り、トランプ氏の当選となりました。(NHK NEWS WEB 2020/11//4)
 ※18世紀の建国当時は交通や通信が未発達で、有権者が大統領候補を詳しく知るのが難しかった。そこで各州のエリートが選挙人となり、彼らの良識により国のトップを選ぶことにした。(以下、朝日11/05
 新大統領就任までのスケジュール
 113日:全米50州と首都ワシントンの有権者が投票
 128日:各州はこの日までに結果を確定させる必要がある。
 14日:各州の選挙人が大統領候補に投票
 202116日:当選の宣言
       20日:新大統領の就任式
 ※全選挙人538人の過半数270人以上得た候補が当選する。(以下、日経11/05
 期日前投票が約1億人を超え過去最高
 米大統領選で投票の翌日を迎えても勝者が決まらないのは2000年以来
 ・全米50州で共和党か民主党の地盤で「無風」とされるのは35州と首都ワシントンだ。両党の勢力が拮抗する激戦州でトランプ氏は南部フロリダや中西部オハイオなどを、バイデン氏は中西部ミネソタ州を制した。残る9州のうち、共和党地盤の南部ジョージアと西部アリゾナでトランプ氏は接戦を強いられている。
 特に重要なのはラストベルト(さびた工業地帯)にある東部ペンシルベニア、中西部ミシガン、同ウィスコンシンの3州だ。16年大統領選で白人労働者層の支持を集めたトランプ氏がいずれも制し、民主党候補のクリントン元国務長官を破る原動力となった。
 超大国の指導者選びは世界の民主主義のあり方にも影響を及ぼす。再選をめざすトランプ氏は米国民の分断も辞さず、4年ぶりの政権奪還を狙うバイデン氏と激しい攻防となった。トランプ政権の4年を総括する選挙に有権者の関心は高く、専門家は投票率が66.9%1900年以来の高水準と推定する。
 ⇒ここまでは高校世界史の知識で新聞のななめ読み、私の意見はどこにもない。
 移民国家アメリカは、共和政の連邦国家として成立。イギリス植民地支配からの解放を実現、王や君主が存在しなかったため連邦共和制で大統領制。激戦の渦中で問われているのは、民意と開票作業の正確性である。粛々と念入りに開票作業が進むことを祈りたい。

2020.11.06 問われている民主主義の真価

 まれにみる激戦となった2020年の米大統領選挙は、民主主義というしくみが織りなす明と暗をくっきりと示した。
 トランプ大統領による型破りの治世への信任投票。「人生で最も重要な選挙だ」と語る人が至る所にいた。新型コロナウイルスの感染防止で増えた期日前投票は1億人が利用し、10時間待ちの列もできた。投票日も含めた投票率はジョン・F・ケネディ大統領が当選した1960年を上回り66%超と120年ぶりの高水準になったもようだ。危機が叫ばれる民主主義の土台をなす選挙への高い関心は光明といえる。
 その一方で、ルールを堂々とゆがめ、壊そうと試みる人がいる。米国、そして世界の民主主義を率いるはずのトランプ氏自身だ。強引な振る舞いは民主主義の暗部ともなりつつある。
 開票が進む州の選挙不正を訴え、法廷闘争を次々としかけるトランプ陣営には、過半数の選挙人獲得に近づくバイデン陣営への焦りがにじむ。アリゾナ州ではトランプ氏の支持者が開票所の周囲を取り囲んだ。投票を終えた米国に、民主主義の今後を揺るがす危険な兆候があらわれている。(日経11/06から)
 ⇒在ニューヨーク日本国総領事館から在米「在留届への電子アドレス登録者、「緊急メール/総領事館からのお知らせ」登録者、外務省海外旅行登録「たびレジ」登録者に連日「大統領選挙に関するニューヨーク市等の治安情勢について配信されている。以前にニューヨーク・マンハッタンへ旅行の際、登録していたので毎日配信がある。トランプ、バイデン両候補者の支持者が街頭で小競り合いがあるので気が抜けない。
 大統領選が終盤になると同時に民主主義の仕組みがフィーバーして全米で混乱が起きている。いま問われているのは同盟国アメリカのトランプでもバイデンでもない「民主主義の真価」である。
 今後、新大統領就任までのスケジュールに従って、① 113日:全米50州と首都ワシントンの有権者が投票。② 128日:各州はこの日までに結果を確定させる必要がある。③ 14日:各州の選挙人が大統領候補に投票。④ 202116日:当選の宣言、⑤ 20日:新大統領の就任式が粛々と行われることを祈っている。
 ・敗者への温かなまなざしや気配り。選挙後の和解への大切なカギとなるだろう。4年ごとに敵味方に分かれて争うような殺伐とした国になってほしくない。(日経・春秋11/06
 ⇒私がアメリカ大統領に期待するのは「世界最高の民主政治家」たることだ。異例尽くしの激戦で問われているのは、民主主義の真価を問う念入りな開票作業とその正当性の確保だ。

2020.11.08 バイデン氏勝利宣言 抄訳

 米大統領選で当選を確実にした民主党候補のジョー・バイデン前副大統領は7日夜(日本時間8日午前)、デラウェア州ウィルミントンで支持者の前で演説した。米大統領選での「明らかで納得のいく勝利」を宣言すると同時に、「分断ではなく結束を目指す大統領になる」と語った。全文は以下の通り。(日経速報 11/8 14:22から)
 ⇒昼のNHKニュースでも放映されていた。明日は新聞休刊日なので全文は明後日の日刊各紙に掲載されるであろう。以下抄訳を掲載する。
 ・米国の魂を建て直す
 米国人たちよ。このダンスパーティーに私を招いてくれた米国人、デラウェアの人たちよ。国民が声を上げ、我々を明らかな、納得できる勝利に導いてくれた。大統領選の歴史上、最も多くの票を得た。7400万票だ。
 ・米国の魂を建て直す
 米国人たちよ。このダンスパーティーに私を招いてくれた米国人、デラウェアの人たちよ。国民が声を上げ、我々を明らかな、納得できる勝利に導いてくれた。大統領選の歴史上、最も多くの票を得た。7400万票だ。
 私は驚きを隠せない。今晩、我々はこの国、町、あらゆる場所に、世界に広がる、ほとばしる希望の喜びを目にしている。明日への新たな信念と、より良き日を迎える希望だ。あなたが私に与えてくれた信頼と自信を謙虚に受け止める。 
 分断させようとするのではなく、結束させる大統領になることを誓う。赤い州や青い州ではなく、ただ米国だけを見ることを誓う。
 ・新型コロナを制御
 今や選挙戦は終わった。人々の意志は何か。私たちの使命は何か。私は、米国民が私たちに、品位と公正の力を導くことを求めたと信じている。私たちの時代の大きな戦いのなかで、科学と希望の力を導くことを求めた。ウイルスを制御し、繁栄を築き、あなたたちの家族の健康を守るために戦う。
 この国の人種的平等を達成し、構造的な人種差別を根絶するために戦う。環境を守るために戦う。品位を回復し、民主主義を守り、この国のすべての人に公正な機会を与えるために戦う。
 私たちの仕事は新型コロナを制御することから始まる。ウイルスを制御下に置くまでは、経済を修復し、活力を取り戻すことはできない。孫をこの手に抱いたり、誕生日や結婚式、卒業、あらゆる人生で最も貴重な瞬間を味わうことはできない。
 ・党派を超え協力を
 この厳しい悪夢の時代に今ここで終わりを告げよう。民主党員と共和党員が互いの協力を拒否したのは、われわれの制御が及ばない不思議な力によるものではない。全ては決断であり、私たちの選択に尽きる。私たちは協力することを選択できる。それが米国人から託された使命の一部であると私は信じている。私は手を取り合うことを選ぶ。議会にその選択を共にするよう呼びかける。
 これは米国民から私たちに与えた使命だと確信している。彼らの利益のために協力することを望んでおり、それが私の選択だ。私は議会、民主党員、共和党員に対して、私と同じ選択をとることを呼びかけていく。
 ・可能性の国に
 私は常に、米国を一言で定義できると信じてきた。「可能性」だ。米国では全ての人が夢をかなえる機会が与えられるべきだ。この国の可能性を信じ、常に先を見据えている。自由で公正な米国、尊厳と敬意を持って雇用を創り出す米国、ガンやアルツハイマーなどの病気を治す米国、誰も置き去りにしない米国、決して諦めない米国に向かっていく。素晴らしい国で素晴らしい人々がいる。これが米国だ。私たちが力を合わせれば、不可能なことなどない。
 心を込め、しっかりとした足取りで、米国とお互いを信じ、国への愛と正義への渇望を持って、私たちが目指す国を作り上げよう。国は団結し、強くなり、そして癒やされる。子どもの頃、祖父に言われた。「ジョー、信念を貫け」。祖母が生きていたときは、「ジョー、信念を広めよ」と。米国に神のご加護を。神が私たちを守ってくださいますように。ありがとう。(米州総局=白岩ひおな、野村優子、大島有美子稿)
 ⇒日米の国と社会のなりたちと国民性の違いを考えながら、混乱と分断ばかりが目立つ米大統領選を見ていた。
 米大統領選で問われているのは民主主義の真価であったはずだ。私はバイデン氏勝利宣言を読み、ただ何となく精神的に安堵している。(続く)

2020.11.09 バイデン政権に期待する

 バイデン政権の誕生は、もちろん民主党にとって喜ばしいことではあるが、一方で議会選挙のほうは満足のいく結果とはならなかった。上院では共和党にから議席を奪還することに失敗、下院でも過半数は維持したものの、2年前よりも議席を減らしている。
 この状態では企業増税など、共和党の反発の強い法案を成立させることはできないし、ましてや現在9名で、そのうち事実上6名が保守派となっている最高裁判所判事の定員を増やし、リベラル派が多数を取るという計画など、議題に乗せることもできないだろう。
 民主党がまず取り得る戦略は、2年後の中間選挙で上下両院を制し、さまざまな政策を実行に移すということになるだろう。
 そもそもなぜ民主党は議会選挙でも有利とされながら、今回思うような結果を残せなかったのだろう。それはやはり「トランプ効果」ともいえる、ドナルド・トランプ大統領の圧倒的なカリスマ性や影響力に押されてしまった結果ということになるのではないか。(会社四季報ONLINE 松本 英毅稿 11/06 06:15から)
 ・米大統領選で民主党候補のバイデン前副大統領が当選を確実にしたが「米大統領選と同時に行われた連邦議会の上下両院選を巡り、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)など複数の米メディアは4日、下院は民主党が過半数を維持する見通しだと伝えた」(讀賣新聞2020/11/06 00:05 )。
 ・バイデン政権にとって、新型コロナの感染拡大によって疲弊した経済を立て直すことが喫緊の課題であることは間違いない。従って、増税になりがちな民主党の政策実施はトーンダウンして先送りする可能性が高いだろう。
 ・バイデン氏は「気候変動は深刻な脅威」と断じ、環境・インフラに4年で2兆ドル(約210兆円)を投じる公約を掲げた。太陽光など再生可能エネルギーへの設備投資を促し、電力部門で35年までに二酸化炭素(CO2)排出ゼロをめざす。全米に充電設備を50万カ所設けるなどして、ガソリン車から電気自動車への移行を後押しする。(日経2020/11/8 23:00
 ・米大統領選で民主党候補のバイデン前副大統領が当選を確実にしたことで、米国のエネルギー・環境政策は一変する。太陽光や風力発電の促進で2050年までに温暖化ガスの排出ゼロをめざし、現政権が離脱した温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」に211月にも復帰する。国際社会の脱炭素の流れが加速し、企業も対応を迫られるだけでなく、バイデン氏の国際協調路線の象徴となる。(日経2020/11/8 23:00
 ・週明け9日の東京株式市場は、米大統領選で民主党のバイデン元副大統領の当選が確実となったことを好感し、買い注文が優勢となった。
 終値は前週末比51461銭高の2483984銭。東証株価指数(TOPIX)は23.41ポイント高の1681.90。出来高は約122787万株だった。(KYOD  11/9 13:24配信)
 ⇒バイデン政権発足による施策の第1番は現在の株価をとにかく維持することであり、当面は市場に不評とされる増税や規制強化などの政策を打ち出すことはないだろう。
 その他、米メディア各社が伝える① コロナ対策、② 経済政策、③ 環境政策を見る限り、日本の菅首相とは相性がよい。
 バイデン政権による対日外交政策や、トランプ政権でぎすぎすした米中関係など懸念はあるが、バイデン政権発足に「自国だけでなく世界に目を向けてほしいと期待している。

2020.11.10 バイデン政権移行に期待

 【ワシントン=永沢毅】米大統領選で当選を確実にした民主党のジョー・バイデン前副大統領(77)は8日、政権移行に向けた準備を加速した。脱炭素社会をめざし、現政権が離脱した温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」に復帰する。同盟国軽視が目立ったトランプ政権の外交路線を改め、国際協調を重視する方針に大転換する。
 バイデン氏は9日、政権移行に備えたウェブサイトで、医療専門家で構成する新型コロナウイルス対策チームを発足したと発表した。8日には同サイトで、政権の4つの重点課題として新型コロナ、経済再生、人種、気候変動を掲げた。「バイデン政権」が正式発足すれば、トランプ政権が破棄や脱退を表明した多国間の枠組みや国際機関に相次ぎ復帰する。(日経11.10 から)
 具体的には2021120日の大統領就任初日にパリ協定への復帰を宣言。イラン核合意や世界保健機関(WHO)への復帰も準備する。
 ⇒米大統領選の投票日から就任式までの今後の主な日程は1214日:選挙人投票、202113日:審議会招集、6日:連邦議会が投票結果確認、20日:新大統領就任式へと進む。
 すんなりと敗北を認めていないトランプ米大統領にも残された勝利の可能性はあるが、バイデン氏への政権移行が粛々と進むだろうと思われる。
 日経紙によるとバイデン政権の主な政策は次の通り。
 ① IT(情報技術:急進左派が主張する巨大企業の分割論までは踏み込まず。
 ② 税制:低所得者層に減税する一方、高所得者・大企業には増税
 ③ 雇用:製造業支援に7000億ドル投資。1500万人の雇用創出と主張
 ④ 通商:環太平洋経済協定(TPP)など新規貿易協定に慎重。トランプ大統領が中国製品に課した制裁関税見直しも
 ⑤ 環境:環境・インフラ部門に4年間で過去最大規模の2兆ドル投資。パリ協定への復帰を宣言。石油業界に逆風。
 ⑥ 新型コロナ:大統領就任初日から制御を最優先。全米でマスク着用を義務化。「制御するまで経済は立て直せない。
 ⑦ 人種:教育や就業機会の平等化。警察改革の推進
 ・バイデン氏は選挙公約で国際協調主義を掲げた。トランプ政権が離脱を決めた(1)気候変動に関するパリ協定(2)イランとの核合意(3)世界保健機関(WHO)などの国際機関――への復帰に動くとみられている。
 世界はコロナ禍とそれに伴う経済活動の落ち込みに直面している。両立は容易ではないが、そのなかで市場経済と自由貿易を守り抜く。バイデン氏にはこの戦いの先頭に立ってもらいたい。
 協調姿勢をめぐり、日本の政界には、中国や北朝鮮への米国の圧力が弱まり、日本が不利益を被るのではないかと懸念する声がある。米世論は党派を問わず、嫌中感が高まっており、バイデン氏が対中融和に軌道修正するとは考えにくいが、気候変動対策などで協力を模索する可能性はある。
 重要なのは、バイデン政権の対中政策に一喜一憂することではない。同盟重視の姿勢を上手に利用して日米の絆を揺るぎないものにしていく。安倍晋三前首相や菅義偉首相が掲げてきた「自由で開かれたアジア太平洋」の実現には明らかに好環境である。
 トランプ政権は在日米軍駐留経費の日本負担を増やすように求めてきた。バイデン政権になれば交渉が楽になるなどと考えるべきではない。日本として世界平和にどんな貢献ができるかを考え、提案する。そのことなしに「沖縄県の尖閣諸島は日米安全保障条約の適用範囲内か」ばかり尋ねる日米関係では長続きしまい。(今日の日経・社説から)
 ⇒日刊紙休刊明けの日経紙の記事と社説を読みながら安堵している。アメリカは奇妙な国だ。大統領が変われば、上院と下院の構成が調節弁になり右政権から左政権に政策転換する。
 この度のバイデン新大統領選出と上下院議会のねじれは、日本の針路に光明を与えているように思える。

2020.11.11 日米同盟関係のあり方
 
 米大統領選で民主党のバイデン氏が勝利を宣言した。日本は新政権との関係構築を迫られる。
 焦点の一つが、日米安全保障条約に基づく同盟関係のあり方だ。
 折しも「思いやり予算」といわれる在日米軍駐留経費の交渉が日米間で本格化する。トランプ大統領は日本に巨額の負担を求める構えを示していたが、政権交代が確実になり態度を変えざるを得ないだろう。
 「米国第一」を掲げ圧力をかけ続けたトランプ氏と対照的に、バイデン氏は同盟国との協調を重視する姿勢を見せている。日本に大幅な負担増は求めないとみられる。
 ただ、米兵などの犯罪で米国の裁判権が優先される地位協定の問題など、日米間には古くて新しい懸案も山積している。菅政権は腰を据えてそれらの解決を求めるべきだ。(神戸新聞・社説 11/11から)
  ⇒恥ずかしながら、日米安全保障条約に基づく同盟関係のあり方に関する基本的理解がない。外務省のHpから、にわか勉強の体たらくだ。
 「日米同盟と日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約(昭和35年条約第6号)は、日本国とアメリカ合衆国の安全保障のため、日本本土にアメリカ軍(在日米軍)が駐留することなどを定めた二国間条約のことである。
 いわゆる日米同盟の根幹を成す条約であり、条約には「日米地位協定」が付属している。ただし、日本において日米関係を「同盟」と表現するのが一般化したのは、1980年代になってからのことである」。(Wikipedia
 ここまで予備知識を得てさらに読み進もう。
 ・思いやり予算は、米軍基地の光熱費や従業員の労務費、離発着訓練の離島への移転費などで、2020年度予算では1993億円に上る。
 地位協定は、在日米軍の維持経費は全て米側負担と定めている。だが、特別協定を結ぶなどの形で、かなりの部分を日本が支出してきた。
 5年を期限とする現在の特別協定が2年度末で期限切れとなるため、両国政府は週内に次の協定に向けた実務者交渉を正式に始める。トランプ氏が年間80億ドル(約8400億円)の負担を求めているとの証言もあり難航が予想されたが、新大統領誕生で風向きは変わるだろう。
 それ以外にも日本は在沖縄海兵隊のグアム移転経費などを負担している。米軍関係経費全体では、20年度予算で6千億円に迫る額となる。
 米国防総省の発表によると、日本は米軍駐留経費の75%を負担しており、韓国の40 %、ドイツの33%を上回る。他の同盟国以上に肩代わりしているのが実情である。
 ここまで読に進んで、それでは日本は今後どう対応すべきなのか。私には分からないが神戸新聞・社説子の意見は次のとおりだ。
 ・そもそも地位協定にない思いやり予算は1978年度に始まった。対日貿易赤字を背景にした米側の要求に応じた結果とされる。同盟関係悪化を懸念した日本の意向で協定改定を避けた経緯が最近、米国の公文書で確認された。
 米国で新政権が発足するこの機会を捉えて、これまでの曖昧な形を改め、負担と日米双方の責任を明確にしなければならない。同時に、全国知事会も求めているように、地位協定の抜本的な見直しを菅政権から強く提起すべきである。
 軍事力を誇示する中国との関係を考えても、日米同盟が安全保障の基軸であることは確かだ。安保を取引材料としたトランプ政権と比べ、バイデン政権とはより冷静に話し合えるだろう。足元の懸案を解消してこそ、同盟への国民の信頼は増す。
 ⇒ここまで読み終えて初めて社説子の「日米同盟と負担/懸案解決へ着実な交渉を」の基礎理解と主張のフレームワークが分かる思いだ。今後のバイデン政権と菅政権との今後の話し合いを注視したい。
 ※高校・現代社会のレベル以下の知識でブログを投稿することを恥ずかしく思う。

2020.11.12 菅首相とバイデン氏 日米同盟強化 

 菅義偉首相は12日午前、米大統領選で当選を確実にした民主党のバイデン前副大統領と電話で15分間協議した。新型コロナウイルス対策や気候変動問題など国際社会共通の課題で連携していくことで一致した。日本防衛の義務を定めた日米安全保障条約5条が沖縄県・尖閣諸島の防衛に適用されることも確認した。
 首相は日米同盟に関し「厳しさを増す日本周辺地域、国際社会の平和と繁栄にとって不可欠で、一層の強化が必要だ」と強調した。
 バイデン氏の政権移行チームによると、バイデン氏は「新たな分野で日米同盟を強化したい」と答え、協力拡大に意欲をみせた。
 日米安保条約5条の尖閣防衛への適用についても「深くコミットする」と確約した。日本側の説明ではバイデン氏側から言及したという。
 首相は大統領選を踏まえ、バイデン氏に祝意を直接伝えた。2021120日の大統領就任式後の2月ごろをめざす自らの訪米では「できる限り早い時期に一緒に会おう」との考えを共有した。
 ・首相は協議後、首相官邸で記者団に「バイデン氏とともに日米同盟の強化に向けた取り組みを進めていくうえで大変有意義だった」と語った。
 ・首相はバイデン氏との個人的な信頼関係を築くため、訪米時の首脳会談に向けた準備を進める。南シナ海や東シナ海での中国の海洋進出や、北朝鮮の核・ミサイル開発への対処についても認識を擦り合わせていく。(日経 11/12 10:37更新)
 ⇒(日米安保条約5条を巡っては14年に来日した当時のオバマ大統領が、米大統領として初めて尖閣防衛への適用を明言したが)、バイデン氏は尖閣諸島(沖縄県石垣市)について、米国の日本防衛義務を定めた日米安全保障条約第5条の適用範囲であるとの見解を示した。(産経新聞 11/12() 9:21配信)
 ・首相はバイデン氏との個人的な信頼関係を築くため、訪米時の首脳会談に向けた準備を進める。南シナ海や東シナ海での中国の海洋進出や、北朝鮮の核・ミサイル開発への対処についても認識を擦り合わせていく。
 ⇒バイデン次期対要領は10日、欧州の首脳と相次いで電話で協議し、外交委面での活動を本格化させた。記者会見では「米国が戻ってきた」と語り、「米国第1」を掲げたトランプ政権下で緊張が生じた、同盟国との連携を強化すると表明した。(朝日11/12
 ⇒日経、産経、朝日の3本の新聞記事を読み安堵している。2021120日の大統領就任式後の2月ごろに実現すると見込まれるであろう菅首相の訪米に、安倍・トランプ関係を超える菅・バイデンの親密な関係を構築を期待したい。

2020.11.13 まともな米国、世界の支柱に

 決戦の後も「2つの米国」は不変だ。米大統領選挙で当選を確実にしたバイデン前副大統領を英国やドイツ、フランスの首脳が電話で祝福した10日。トランプ大統領の腹心であるポンペオ国務長官は「政権2期目へ円滑に移行する」と素っ気なく話した。公正な選挙を世界に呼び掛ける「米国の顔」の信じられない言葉だった。(日経・Deep Insight 11/12から)
 ・現職が再選に失敗すれば1992年のブッシュ大統領(第41代)以来になる。屈辱を嫌い、民主主義の原則を自分に有利にねじ曲げる異端のリーダーには、やがて「史上最悪」の大統領という称号がつくかもしれない。
 騒乱をよそに、バイデン氏は冷静沈着なリーダー像を印象づけようとしている。米メディアがペンシルベニア州の制覇で「バイデン氏当確」を伝えた7日の夜。デラウェア州ウィルミントンでの勝利宣言は「大統領らしさ」を意識した言葉をちりばめていた。
 ⇒約15分の演説で注目したのは4つの理念だ。
 第1は「「Unity(結束)」:「分断させるのではなく、結束させると誓う」「赤い州の青い州もない。合衆国の大統領だ」と述べ、トランプ氏に投票した有権者に対しても、敵視をやめて結束するよう呼び掛けた。
 2は「Diversity(多様性)」:「史上最も幅広く多様な連合が支えに」「米国を代表する選挙戦を求め、実現した」と述べ、アジア系の黒人女性であるハリス上院議員を副大統領候補に据え、組閣でも男女や人種のバランスをこれまで以上に重視するとみられている。3は「Possibility(可能性)」:「全ての人が夢をかなえる機会を」「尊厳と敬意をもち、雇用を創りだす」と述べ、米経済のしなやかさと力強さ、変革力で夢を実現し、雇用を創出するという。トランプ政権が背を向けた地球温暖化対策を強化し、新たな投資や雇用を創り出そうとする構想はここにつながる。
 4は「Decency(品格)」:「ウイルスを制御し、繁栄を築く」「構造的な人種差別の根絶へ戦う」と述べ、科学の知見を生かした疫病(の克服とともに、白人警官の黒人暴行死事件を機に高まる人種差別の根絶へ戦う。
 ・トランプ氏と対照的な「まともさ」で勝負したバイデン氏。温暖化を危惧する若者層、大統領の品格を憂える人々、そして傷ついた国際協調の復活を期待する世界の支持がじわじわと集まっている。
 ・トランプ氏の乱世でぽっかり開いた穴を埋めるのは容易ではない。それでもバイデン氏は初心を貫くべきだ。任期4年で完遂できなくても、分断の修復は次の世代に着実に引き継ぐ必要がある。「まともな米国」は真の意味で世界の支柱となる。我々はトランプ時代に、それを痛いほど学んだ。
 ⇒日経の本社コメンテーター・菅野幹雄氏による2098文字の長文「バイデン氏は初志を貫け まともな米国、世界の支柱に」を読み、私流に要約した。
 トランプ氏と対照的な「まともさ」で勝負したバイデン氏に、特に期待する政策や意見はないが、大国アメリカの次期大統領の「まともな識見」に期待している。

2020.11.16  RCEP・関税91%段階撤廃

 日中韓など15カ国が、東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)協定に署名した。成長著しいアジア地域に巨大な自由貿易圏を築く意義は大きい。
 ただインドの離脱やルール面の甘さなどが禍根を残す恐れもある。参加国の拡大や協定の深掘りをはじめ、RCEPをより大きく育てる努力を続けてほしい。(日経・社説11/16から)
 ⇒複数の国や地域の間で、モノやサービスの貿易を円滑にするための取り決めを「自由貿易協定」という。輸出入にかかる関税を引き下げたり撤廃したりすることで、農産品や工業品を安定的に取引したり、企業が海外で活動したりしやすくする。
 東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)のように多くの国・地域にまたがる場合は大型自由貿易協定(FTA)と呼ばれる。
 狭義のFTAでは関税が主な交渉分野となるが、知的財産の保護や電子商取引の円滑化などより広い分野で貿易のルールを定める場合は経済連携協定(EPA)とも呼ばれる。日本は2002年のシンガポールをはじめ、20の協定を結んだ。環太平洋経済連携協定(TPP)やRCEPEPAに位置付けられる(日経・きょうのことば 11/16/)。
 RCEPの参加国はASEAN10か国(インドネシア、カンボジア、タイ,フイリピン、ミャンマー、ラオス)ほか日中韓、豪州、ニュージーランドの計15か国、人口は22.6憶人・世界全体の30%、名目GDPは25.9兆ドル・世界全体の29%)。今回、不参加のインドはいつでも参加できると特別に規定した。発効時期は未定だが、日本政府は協定案の国会承認など必要な手続きを来年中に終えたいとしている。
 ・だが経済の発展や人口の増加で存在感を増すインドが離脱し、RCEPの価値を減じたのは否めない。共産党の独裁を貫く中国の影響力が強まるのを避けるためにも、有力な民主主義国家であるインドの参加が欠かせなかった。
 大幅な関税自由化の打撃を恐れるインドに復帰を促すのは骨が折れるが、諦めるべきではない。「自由で開かれたインド太平洋」構想を推進する日本にも、粘り強く説得する責任がある。もちろんほかの参加国を募ってもいい。
 協定の内容にも不満が残る。日本の工業品輸出の関税撤廃率は91.5%で、11カ国が参加する環太平洋経済連携協定(TPP)の99.9%には及ばない。
 デジタル情報の自由な海外流通の確保を求めたり、企業に対する技術移転の要求を禁止したりするルールも設けたが、合意を優先して甘くなったといわざるを得ない。中国の異質な国家資本主義の修正を迫るには力不足だろう。
 こうしたRCEPの改善も今後の課題だ。関税自由化の水準を引き上げ、より厳格な経済ルールを整備する不断の努力が要る。
 自国第一の米トランプ政権が保護主義を世界的に拡散する一方で、日本はTPPや欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)を発効させてきた。その功績は国際的にも高く評価されている。
 来年1月にバイデン新政権が発足しても、米国の保護主義圧力は根強く、TPPへの早期復帰も期待しにくい。今回のRCEPにとどまらず、自由貿易圏のさらなる拡大・深化を目指す努力を日本が主導してほしい。
 ⇒最後は今日の日経・社説からの引用。現在、RCEPにはインドが参加していない。TPPには米国が参加していない。いずれも米中対立がその根底にある。日経・社説子の主張は「RCEPを日本主導で大きく育てたい」にある。なるほどと納得しながらブログを書いている。

2020.11.17  温暖化ガス2割削減 日経SDGs調査

 日本経済新聞社は国内731社について、国連の「持続可能な開発目標への取り組みを格付けする「SDGs経営調査」をまとめた。2019年度の温暖化ガス排出を前年度比で減らした企業は4割にのぼり、オムロンなど約20社で削減幅が2割に達した。新型コロナウイルス下でも7割が雇用を維持するなど社会貢献を重視する企業が増えている。
 菅義偉首相は10月末、温暖化ガスの排出量を50年までに実質ゼロにする目標を掲げた。調査で自社で直接排出する温暖化ガスについて尋ねたところ、19年度の排出量を前年度より減らした企業は全体の42%で、約20社が2割以上の削減となった。(日経・11/17から)
 SDGs 「Sustainable Development Goals」(持続可能な開発目標)の頭文字から取った略語で、国際社会が協働して地球規模で取り組むべき目標がまとめられている。20159月の国連サミットで採択され、先進国を含む世界全体で2030年までの達成を目指す。15年までのミレニアム開発目標(MDGs)の後継目標と位置づけられる。
 ・「誰一人取り残さない」という理念の下、経済や社会、環境などの分野における17のゴール(目標)と、関連する169の具体策などで構成する。日本政府は19年末にSDGs指針を改定し、「あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現」「生物多様性、森林、海洋等の環境の保全」などを優先して取り組むべき課題にあげている。(日経・きょうのことば11/17
 SDGsの主な目標と関連する分野は以下の通り。
 ① 環境:エネルギーをみんなにそしてクリーンに。気候変動に具体的な対策を、海の豊かさを守ろう、陸の豊かさも守ろう。
 ② 経済:働き甲斐も経済成長も、産業と技術革新の基盤をつくろう、住み続けられるまちづくりを、つくる責任つかう責任。
 ③ 社会:貧困をなくそう、飢餓をゼロに、すべての人に健康と福祉を、質の高い教育をみんなに。
 169の具体的なターゲットについては専門書に拠らなければならいが、温暖化ガス排出を削減するための企業の取組、上位39社のランキングが掲載されている。
 ・総合格付けで2年連続トップに立ったリコーは供給網と一体となって30年までにCO2排出量を20%減らす目標を掲げる。取引額の大きいサプライヤー企業350社向けにCO2削減を促す説明会を設けている。
 雇用もSDGsの重要テーマだ。今年は新型コロナの感染拡大でサービス業などは大規模な人員削減を余儀なくされている。調査ではコロナ下での雇用方針について、全体の69%が「非正規を含めて維持を最優先する」と答えた。新卒採用についても6割が「維持する」と回答した。
 ⇒温暖化ガスの排出量を50年までに実質ゼロにするためのSDGs推進、短期的には国民生活に直接結びつかないが、私は「森林、海洋等の環境の保全」に関心がある、
 大規模なSDGs投資を実施する企業には税制優遇措置の創設を要望したい。
 コロナ禍を生き抜くことで精一杯の現在、国際社会が協働して地球規模で取り組むべき目標 SDGsについて。この程度の知識は知っておきたいものだ。

2020.11.18 CO2吸収・地下貯留 

 日米豪と東南アジア諸国連合(ASEAN)各国が、温暖化ガス削減に向けた新たな手法で連携する。二酸化炭素(CO2)を地下に埋め大気中への排出を減らす事業で協力する。アジアで排出されたCO2を現地で貯留した分は、日本での排出分と相殺できる。日本は温暖化ガス排出「実質ゼロ」を実現する有力手段になるとみて推進する。
 欧州などで温暖化ガス排出を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を目標にする動きが広がっている。日本も菅義偉首相が10月、2050年の実現を表明した。(日経・11/18
 CCUS:火力発電所などから排出されるガスから二酸化炭素(CO2)を分離して回収・貯留する技術は「CCScarbon dioxide capture and storage)」と呼ばれる。CO2を大気中に出さず温暖化対策に役立てられる。回収・貯留だけでなく、CO2を有効利用(utilization)することも加えた技術がCCUSだ。世界で約60件のプロジェクトが進行中で、約20件が稼働している。(日経・きょうのことば11/18
 2018年度,世界のCO2排出量は113800万トン。このうち森林などへの吸収量は5590万トン(環境省、回収量は炭素量で試算)。つまり、森林や土壌、海洋などによるCO2吸収量は全排出量の4.9%だ。
 ・実質ゼロの実現にはCO2の排出量を森林が吸収する量などと同等に抑える必要がある。再生可能エネルギーの拡大や水素の活用を進めても、鉄鋼や化学など産業によっては排出が続き完全に均衡させるのは難しい。
 「実質ゼロ」の取り組みは「北米では既に一部で実用化されており、欧州では各国から集めたCO2を北海に埋める実証実験が始まっている。
 日本のエネルギー政策は再生エネの拡大を進める一方、一定割合で火力発電も使い続ける方針だ。アジアでも火力発電などに頼る国が多い。現地で排出されたCO2の地下貯留に協力すれば、その分を自国で排出した量と相殺できる排出権取引の国際ルールがあり、実質的に日本のCO2排出量を削減できる。
 ・実用化では回収や貯留の効率を高める技術開発に加え、コスト低減が課題になる。現行の技術では1トンあたり約7千円かかるとみられる。国内は大規模な地下貯留の候補地が少なくアジアで事業を拡大してコストを下げられるかがカギになる。
 CO2の回収・貯留(ccs)の流れは、① 発電所や製油所、化学プラントなど多くの工業設備から排出されるCO2を地下に貯留するため、② 化学品や高機能膜などを使って吸収・分離し、③ 井戸を通してCO2を通さない地層以下のすきまの多い砂岩などの層に封入する設備が必要になる。
 ・貯留場所はCO2が地上に漏れ出す恐れが小さい油田やガス田などの貯留層が主に使われる。CO2に高い圧力をかけて地下に送り込み、地下にたまっている原油をより多く取り出せるようにする手段として使われる場合もある。
 ・実用化では回収や貯留の効率を高める技術開発に加え、コスト低減が課題になる。現行の技術では1トンあたり約7千円かかるとみられる。国内は大規模な地下貯留の候補地が少なくアジアで事業を拡大してコストを下げられるかがカギになる。
 ⇒素人のにわか勉強の知識では難解だが新鮮である。暖化ガス排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルの有力手段として、従前からの森林緑化などに併せ、CO2地下貯留の早期実用化に期待がかかる。

2020.11.19 統治制度の違いを考える

 4年に1度のアメリカ大統領選挙は、統治制度の違いを学ぶ絶好の機会でもある。来年の共通テストや各大学の入試などでも、出題される可能性がある。2018年の大学入試センター試験で出題された政治・経済の問題から、東進ハイスクール公民科の清水雅博講師に解説してもらった。(朝日・探求 明日へのLessonから)
 ⇒最初に2018年の大学入試センター試験で出題された政治・経済の問題(第1問の問4)を解いてみよう。
 問:アメリカとイギリスの政治制度について述べた次の文章中の空欄「ア~ウ」の組み合わせとして正しいものを下の(1)~(3)のうちから一つ選べ。
 アメリカでは、大統領は連邦議会の議員の選挙とは別に公選され、議会に議席をもたない。大統領は、議会が可決した法案に対する拒否権と、議会への「ア」権とをもつが、議会の解散権をもたない。また議会は、大統領に対して「イ」を行う権限をもたない。
 これに対しイギリスでは、下院(庶民院)の多数派から首相が任命されて内閣を組織する。伝統的に、下院は内閣に対する「イ」権を持ち、これに対抗して内閣は下院を解散することができるとされてきた。
 こうしてみると、アメリカでは、イギリスよりも立法府と行政府との間の権力分立が「ウ」である。
 (1)ア教書送付 イ弾劾 ウ厳格 (2)ア教書送付 イ弾劾 ウ緩やか (3)ア教書送付 イ不信任決議 ウ厳格 (4)ア教書送付 イ不信任決議 ウ緩やか (5)ア法案提出 イ弾劾 ウ厳格 (6)ア法案提出 イ弾劾 ウ緩やか (7)ア法案提出 イ不信任決議 ウ厳格 (8)ア法案提出 イ不信任決議 ウ緩やか
 ⇒最初に、これは高校卒業程度の教養の範囲であることを理解しておきたい。
 ・各国の政治制度の問題は次のように解くのが一般的です。「米国は大統領の権限が強く、三権分立が厳格。大統領は議会に法案提出できず、議会は大統領に不信任決議ができない」。ただこれだと解答は出せても、深い理解ができません。なぜこのような仕組みかを考えると、人生に関わる問いになってきます。
 まず、行政を誰がコントロールするかが大きく違います。米国は英国議会から不利益課税された苦い歴史から独立を勝ち取って、自由と民主主義を獲得した国ですから、議会への不信感がある。だから議会に立法権だけを与え、大統領には行政の強いリーダーシップを期待しました。その正当化のためにも、大統領は国民が選ぶ制度が導入されました。
 原点をたどれば、米国は厳格な三権分立を説いたモンテスキューの思想が元です。一方、英国の議院内閣制は「市民政府二論」で立法府優位の三権分立を説いたジョン・ロックの思想が元になっています。英国は市民革命で英雄たちがいたから、議院内閣制が良かった。だから議会が行政の長である首相を選び、議会が内閣をコントロールして不信任できるわけです。議会を信頼した制度なので、国民の参加は薄くなります。
 日本も議院内閣制を採り入れていますが、議会は信頼されているでしょうか。国民も議会に信託しっぱなしでは、制度上、民主主義が名ばかりになって形骸化してしまいます。
 ⇒米英日の統治制度の違いを考える時に重要なことは、その国のなりたちとその歴史を知ることがあります。
 アメリカの大統領選では国民が直接候補者に票を投じるのではなく、全50州と首都ワシントンDCの計51地域に割り振られた「選挙人(538人)」を選び、その選挙人が後日、地域を代表して投票するのです。そして、メーン州とネブラスカ州を除き、その地域で1票でも多く獲得した方に全ての選挙人が投票する「勝者総取り」方式を採用しています
 民主党と共和党の代表を選ぶ予備選・党員集会が1月から、11月に本選があり、翌年1月に就任式。丸1年、大統領を選ぶお祭りをやっているようなものです。勝者総取り方式は最後の最後にどんでん返しも起きます。歴史的背景のある制度で、見直しの機運もありますが、民主主義を楽しむ遊び心も感じられます。
 日本は政治を楽しんでいません。例えば学校の授業と政治は相性が悪いと思われていますが、政治を学ばないと主権者が育ちません。
 民主主義を楽しみながら、どうあるべきかを考える。これからの国民に大事なことだと思います。(談)
 ⇒予備校講師によるわかりやすい説明だとは思いますが、「米大統領選、民主主義への遊び心」「もろさゆえトランプ支持」という二つの大見出しには「なるほど」と思う一方、違和感もあります。
 私は、国のなりたちから考えると、米国は他民族の移民国家で、今なお白人優位、黒人差別の人種差別が根強いことが国民の間に分断を招いているのではないかと思います。
 傍白
 正しい解答例は(3)。順に「教書送付」「不信任決議」「厳格」です。これは高校生レベルの問題ですから、私は脳トレのつもりで読んでいます。

2020.11.20 コロナ感染者数過去最多

 国内で新型コロナウイルスに感染した人の数が過去最多となる中、菅総理大臣は参議院本会議で「最大限警戒すべき状況にある」として、先を見据えて医療提供体制の整備を進めるとともに、地方自治体とも緊密に連携しながら万全の対策を講じていく考えを示しました。
 ・菅総理大臣は「新規陽性者数が全国で2000人を超え、過去最多となるなど、最大限警戒すべき状況にある。感染拡大地域に職員を派遣し、病床確保に向けた調整などを行っており、早め早めに医療提供体制の整備を進めていく。国民の命と健康を守るという強い決意のもとに、地方自治体とも緊密に連携しつつ、万全の対策を講じていく」と述べました。(NHK NEWS WB 11/20 1159分から)
 ・田村厚生労働大臣は、21日からの3連休について、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、外出する際はマスクを着用するなど感染防止策を徹底するよう呼びかけました
 ・そのうえで、21日からの3連休について「人が集うリスクの高い場所に行かないことや、しっかりと防護をすれば、リスクは一定程度低減できる。感染拡大する場面をどう防ぎ、そういう場面に遭遇しても、マスクなどでリスクを低減できるよう、協力をお願いしたい」と述べ、感染防止策を徹底するよう呼びかけました。
 さらに、田村大臣は「食事をする時に会話をすることで飛まつが飛散し、長時間になるほどリスクは高まっていくので、食事の際もマスクなどをしっかり着用してほしい」と述べました。(NHK NEWS WB 11/20  1151分)

 ・新型コロナウイルスの感染拡大が勢いを増している。きのう、全国の新規感染者は2千人を超え、2日続けて過去最多を更新した。兵庫県は最多の132人が報告され、3日連続で3桁となった。
 ・県の対策協議会座長の荒川創一・神戸大大学院客員教授は「今が分岐点」と指摘する。このままでは医療崩壊を招きかねないからだ。
 ・夜間救急で発熱患者の受け入れ先や重症化したコロナ患者の転院先がなかなか見つからないといった混乱も県内各地で起きている。
 県は18日現在、コロナ感染者用に671の病床を確保しており、使用率は5割に満たない。
 しかしこの数字だけを見て「余裕がある」ととらえるのは禁物だ。連日100人ペースで入院者が増え続ければ、早晩、病床は足りなくなる。県は病床数を拡充する方針だが、医師や看護師、検査技師などの医療人材も並行して手当てしなければ治療は行えない。
 経済を回すことは確かに必要だ。しかし感染拡大で国民の健康や生命を守る医療が崩壊するような事態を招けば、社会機能も維持できず、経済どころではなくなってしまう。
 コロナ感染拡大が過去最多になった。そのことを政府は認識した上で、感染拡大の抑え込みにあらゆる手段を駆使しなければならない。(神戸新聞・社説 11/20
 ⇒コロナ感染拡大第3波が猛威を振るっている。いま考えなければならないことは、①「マスク、ソーシアルディスタンス確保など感染防止対策をしながら、個人生活を守る知恵が重要」だと言うことと、② コロナ禍による感染防止策と経済活動再開・継続のバランスをどのように考えるのかにある。
 国民の命か生活か?この難しい判断を迫られる政府にも100%正解はないのだから・・。

2020.11.21  兵庫県:コロナ感染拡大特別期

 兵庫県は、県独自の警戒指標について、5段階の最高レベルを超える「拡大特別期」に引き上げたと発表した。(神戸新聞 11/20 20:44
 川柳風に言うなら「書くまいと思えど今日のコロナかな」。紙面に再びコロナが出張ってきて気のめいるこのごろ、できればしんどい話題は避けたいが、この数字はのっぴきならない。(神戸新聞・正平調11/21 )
 ⇒北播磨6市町に多い神戸新聞購読者ならだれもが読んでいる。「書くまいと思えど 書かずにおれないコロナかな」
 マスク、ソーシアルディスタンス確保など、しっかり感染防止対策を講じて行動しましょう。

2020,11.22  敗軍の将、兵を語る 北条鉄道、車両不足騒動

 20209月のダイヤ改正を機に、車両が不足しているとの報道が流れた。車両譲渡の申し出も寄せられたが、コスト面などで現状の体制を維持するこに。騒動が起きたいきさつを、会社の現状と合わせて振り返る。(敗軍の将、兵を語る 日経ビジネス2020/11/11/20)
 20209月、「北条鉄道が車両が足りず困っている」との報道がいろいろなメディアで流れました。鉄道会社が車両不足などと聞くと、経営危機や安全性への影響を連想された方もいたかもしれませんが、そうした事実はございません。関係者の皆には結果として余計な心配をおかけしてしまい、申し訳ありませんでした。
 一方で、経営環境がそれなりに厳しいことも確かですので、この場を借りて「車両不足騒動」が大きくなってしまったいきさつと、会社の現状をお話しさせていただきます。
 ⇒北条鉄道副社長・佐伯武彦氏は、1937年兵庫県加西市生まれ。61年兵庫県立姫路工業大学(現兵庫県立大)卒業、川崎重工業入社。副社長などを歴任し、2008年退職。11年、現加西市長である西村和平氏から要請を受け、北条鉄道の副社長として同鉄道の経営に辣腕を振い、駅舎整備、ボランティア駅長など沿線住民参加型のユニークな催しで地域活性化に入社以来9年間、(無報酬で働いて)取り組んでいる
 ・事の発端は、9月のダイヤ改正によって、増便したことでした。従来より5往復増発。具体的にはラッシュ時の朝3往復と、夜2往復をそれぞれ増便しました。これによりお客様の利便性は高まったのですが、同時に社内で「できることならもう1台、車両を確保できないか」という議論が出てきました。
 北条鉄道は現在、3車両を保有しています。実際に運行しているのは2車両で、残りの1つは予備車両として倉庫にあります。故障など不測の事態で今走っている列車が使えなくなった際には予備がなくなるため、もう1台あれば万全、との思いは以前から社員の誰もが持っていました。そんな状況で今回、117往復から22往復体制になったものですから、「やっぱりもう1台」との声が改めて高まったわけです
 地元のテレビ局などにこんな状況をお伝えしたところ、思いのほか大きく取り上げてくださり、「うちの車両を譲渡してもいい」といったお話まで頂きました。
 しかしながら、改めて検討すると譲渡された車両をここまで運ぶだけで500万~700万円のコストがかかることなどが判明し、結局、当分は今の体制を続けることにしました。ありがたい申し出を頂いた方には、お騒がせしましたとしか言いようがありません。
 ⇒同社は加西市が発行済み株式の36%を保有し、社長は加西市長。 20203月期決算は、営業収益が7942万円ながら1533万円の経常損失となり、赤字幅は縮小傾向にあるが、長年赤字経営が続いている。
 ・再生へ向けまず取り組んだのが、沿線住民に北条鉄道に関心を持ってもらうこと。考案したのが駅のトイレを最新式にすることです。会社には資金の余裕がないので、地域住民の方々に寄付を募りました。地域の人々に自分たちがこの鉄道を守っているという意識を持っていただくことで、将来の乗客増加につなげられるのではないかと考えたのです。
 寄付はなんとか集まり、地元建設業者の方々に「材料代は払うが、労賃は払えない」と理解してもらったうえで、工事をしてもらいました。全てがボランティア事業です。
 ・こうした活動が奏功し、乗客数も徐々に増加。長年の悲願だった「複線化」に着手することもできました。中間点の法華口駅で列車の行き違いができるようにしたのです。実は今回の増便は、この法華口駅の改修によって実現したものでした。
 ・こうした状況ですので、北条鉄道は依然として厳しい状況にはあるものの、少しずつ未来に向かって進んでいます。当面は車両を増やせそうにありませんが、やれることはまだあると思っており、これからも地域のために知恵を絞ってまいります。
 ⇒地元の大学を卒業後、川崎重工業入社。副社長などを歴任。退職後は勤務中の経験を活かし、ふるさと加西市の発展に無報酬で知恵を絞る佐伯武彦氏のご活躍を紹介した。
 同氏がなぜ敗軍のなのか。私には理解し難い。同氏の人生をうらやましく思うとともに、北条鉄道の今後の経営安定にエールを送りたい。

2020.11.23 全教員にデジタル指導力を

 政府はデジタル活用の能力を備えた小中高校の教員育成に乗り出す。授業でのICT(情報通信技術)活用法を各教科で示すとともに、来年度からICT関連企業OBらを学校に最大9千人派遣。将来は全教員が遠隔授業などを実施できるようにする。新型コロナウイルスの感染拡大も視野に入れ、世界的にみて大きく出遅れている指導力の底上げを急ぐ。
 文部科学省は教育のデジタル化に向け、ICT環境を整備する。小中学生全員に学習用端末を配る計画は3年前倒しして2020年度末に終える予定。24年度には教科書と同じ内容を端末で見られるデジタル教科書の全国での導入を目指す。
 並行して20年度からプログラミング教育を小中高で段階的に導入し、ソフト作成などを学べるようにする。デジタル人材育成には約100万人の小中高校の教員全員がICTや指導法に習熟する必要があるとみている。(日経・11/23から)
 ⇒日本が教員のデジタル活用力が各国に比べて見劣りする背景には、ICT環境の整備が進まず、教員が授業で経験を積めなかったことがある。 
 政府は「デジタル人材育成には約100万人の小中高校の教員全員がICTや指導法に習熟する必要があるとみている」。今後の主な流れは以下の通り。
 2020年度末:全小中学生に1台ずつ学習用端末を配備
 21年度:デジタル教育を順次拡大
 22年度:高校で「情報Ⅰ」必修化
 24年度:小学校でデジタル教科書本格導入
 ・(政府は)ICT関連の企業OBらを「GIGAスクールサポーター」とし、21年度から国公私立の小中高に派遣する費用を自治体に援助。最大9千人でノウハウ蓄積が必要な学校を支える計画で、経費を21年度予算案の概算要求に盛り込んだ。オンライン学習用の機器やソフトの使い方などを伝える。
 大学教員ら「ICT活用教育アドバイザー」も派遣し、年齢や学力に応じた個別指導法、効果的な端末の使い方などを助言する。教員の養成段階からデジタル関連の専門科目を履修させることも計画。教員の世代交代に合わせ、将来的に全教員がスキルを身につけられるようにする。
 2018年、経済協力開発機構(OECD各国学校へのアンケートによると、全国の約3万校の公立小中学校の構内ネットワーク通信環境で、端末への接続が十分整っているのは36.5%、回線速度が十分であったのは45.2%であった。
 学校教育デジタル化への対応は、基盤となる教員の指導力養成にICT活用は不可欠なのだ。全国のICT先進自治体のオンライン授業ばかりが脚光を浴び、その他の多くの学校では、教育のデジタル化が後回しになっている。
 教育のデジタル化が本格始動へは、教員・自治体の取り組み姿勢がカギになるのだ。
 ICT関連の企業OBらを「GIGAスクールサポーター」とし、21年度から国公私立の小中高に派遣する費用を自治体に援助。最大9千人でノウハウ蓄積が必要な学校を支える経費を21年度予算案の概算要求に盛り込んだ」政府の対応の早期実現に期待したい。

2020.11.24 きょうは十日夜

 きょう24日は旧暦で1010日にあたる。麦の種まきもおおむね終わり、木枯らしが枝を揺らして葉を落とす。初雪のたよりもちらほら聞こえてくる時分だ。豊作をつかさどった田の神さまが山に帰る日とされて、東北地方から関東にかけて「十日夜(とおかんや)」の行事がつたわる。
 ・兵庫県で育った民俗学者の柳田国男も、わらの束で同様の遊びをした思い出を著書「年中行事覚書」に残している。古くは各地で行われていたのだろう。地面をたたくのは、神さまが去った農地をモグラやネズミが荒らさぬように、との意味合いもあるとされる。この時期、ぐんと太るダイコンを励ます目的もあるらしい。
 ・食べ物が簡単に手に入る都会で、「十日夜」に昔の人々が込めた収穫への祈りは実感しにくい。でも、悪いものを追い出したいとの願いは今の方がきっと切実かもしれない。はやし言葉にはこんなバージョンもあるそうだ。「朝そば切りに昼だんご、よう飯食ったら……」。こう続けてみたい。「早くコロナをぶったたけ」(日経・春秋 11/24から)
 ⇒「十日夜」は、旧暦1010日に行われる収穫祭で、「刈上げ十日」などともいわれる。稲の刈り取りが終わって田の神が山に帰る日とされる。収穫を終えた田から案山子を引き揚げ庭先に飾る風習がある。
 日経・春秋子の3つのフレーズを読みながら考えている。まず、麦の種まき。北播磨地方では、何十年も前にほとんどすたれてしまったが、加東市の一部では「もち麦」が栽培されている。
 柳田国男もした思い出があるという藁の束で藁鉄砲をつくり地面をたたく行事を私は知らない。北播磨にはないのかも。
 都会に限らず、どんな田舎でも、金さえ出せば世界中の食べ物が簡単に手に入る現在、稲や野菜の収穫祭が、街ぐるみで行われることが無くなって久しい。
 はやし言葉にもいろいろなバージョンがあるそうだ。「朝そば切りに昼だんご、よう飯食ったら ぶったたけ」以外にも、「とおかんや、とおかんや とおかんやの、藁でっぽう 夕めし食って、ぶっ叩け」などがあるそうだ。

 日経・春秋子に続き、「とおかんや、とおかんやの藁でっぽう コロナワクチン遠しい。特効薬が待ち遠しい」。
 ワクチンも特効薬も、藁でっぽう打ちでは容易に実現しない難物だ。今日は、新型コロナワクチンの臨床試験、特効薬の治験専門の [やおろずの化学の神さま]にお祈りしよう。これなら私ひとりでもできる。

2020.11.25 日本の教育の現状と課題

 新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに期待が高まる少人数学級や、小中学生に1人1台の端末を配布する「GIGAスクール構想」――。今秋、OECD(経済協力開発機構)が公表した国際調査の結果から、日本の教育の現状と課題を探った。(朝日・教育 鎌田悠稿、11/14から)
 ⇒全教員にデジタル指導力を(私のブログ 11/23)で詳述した通り「政府はデジタル活用の能力を備えた小中高校の教員育成に乗り出す」。
 いま、なぜ、ICT(情報通信技術)教育のための前提となる小中高校の教員育成なのか、「それほど、日本は遅れているのか」と改めて認識した。
 ・OECDが19年に公表した調査からは、端末を使って教える側の課題が浮き彫りになった。調査結果によると、中学校の授業などで生徒にICT(情報通信技術)を「いつも」もしくは「頻繁に」使わせている教員の割合は、OECD平均が約50%だったのに対し、日本は20%以下。調査対象国では最低水準だった。
 別の調査では、学校長が教員がデジタル端末を授業に取り入れるための「十分なスキルがある」と答えた学校に所属する生徒の割合は、OECD平均65%だったのに対し、日本はとくに低い27%。「十分な時間がある」と答えた学校に所属する生徒の割合も、OECD平均が61%だったのに対し、日本はわずか12%だった。
 ⇒OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development経済協力開発機構)は、市場主義を原則とする欧州諸国、米国、日本などを含む34カ国の先進諸国によって構成されており、国際経済全般について協議することを目的とした国際機関で、「世界最大のシンクタンク」である。
 2019年OECDの調査報告を読み、なるほどと合点がいく。日本は先進国のデジタル教育後進国であり、その遠因は小中高校教員のICT教育の遅れにあるのだ。文科省が「井の中の蛙大海を知らず」であったと考えたくないが、文科省と財務省との予算獲得バトルが透けて見える思いがする。
 ・こうしたことから、文科省は教員の指導力向上を急ぐ。」の初年度となる21年度に向け、今年9月にはICTを活用した各教科ごとの授業例をまとめた。「録画機能を活用して、自分や友達のスピーチをよりよいものにする」(小学校国語)、「国内外のデータを加工して可視化したり、地図情報に統合したりして、深く分析する」(地理歴史)などの事例を紹介。教員向け動画を作成し、ユーチューブで公開している。
 ⇒コロナ禍で明らかになった日本の教員のデジタル活用の遅れ。11台、学習用端末をはすでに配備済、今後、教員の指導力向上が、急スピードで進むことを期待している。
 傍白
 ・OECDが9月に公表した2020年版の「図表でみる教育」によると、18年の日本の1クラスあたりの児童生徒数は、小学校27人、中学校32人。
 一方、OECD加盟国の平均は小学校21人、中学校23人だった。
 加盟準備中を含む38カ国のうち比較可能な国のなかでは、日本はいずれも2番目に多かった。小学校では日本、チリ、イスラエル、英国以外の国が25人以下だった。中学校では、コスタリカと日本だけが30人を超えた。
 ・教育現場からも教員の負担軽減につながるとして、少人数学級を求める声が高まっている。だが、教員の増加による財政圧迫を懸念する財務省は、少人数化による効果が実証されていないとして、認めないという立場をとっている。
 ⇒少子高齢化で児童・生徒が減少しているので北播磨6市町の1クラスあたりの児童生徒数は(調査未済で分からないが)、それほど多くはないと信じたい。

2020.11.27 ステージ4に移りつつある

 大阪府の吉村知事は、新型コロナウイルスの府内の感染状況について、緊急事態宣言の発出が視野に入る「ステージ4」に移りつつあるという認識を示しました。
 
そのうえで、この2〜3週間が重要だとして、集中的な取り組みで感染を抑え込んでいきたいという考えを示しました。(NHK 関西WEB11/26日・1642

 ・大阪府では26日までに、療養者数と1週間の感染者数の2指標がステージ4に達した。先週段階ではステージ3だったが、先行して感染が急拡大した北海道と同じステージに追いついてしまった。ステージ34で基準が同一(10%)の陽性率も大阪や愛知で基準を超え、市中感染の拡大を色濃く映す。
 なぜ感染が拡大し続けるのか。政府の新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は「(無防備な)人の接触を減らすという重要な対策が十分に共有されていなかった」と話す。(日経11/27付)
 ・兵庫県は27日、県内で103人の新型コロナウイルス感染を新たに確認したと発表した。県内の患者総数は5314 人になった。(神戸新聞NEXT11/27 15:00
 主な都市の「ステージ4」によると、大阪府は、①病床利用率47.5% 療養者数36.66人、陽性率11.8%、1週間の感染者数26.98人、感染者数の前週比1.45倍、感染者経路不明者の割合64.8%である。(日経11/27付)
 ※政府は現状の判断に用いる指標として6項目の指標を示し、各都道府県の6指標は発表されている。指標の項目が異なるため、分りやすい大阪府の指標を参考にした。
 ⇒主な都市の6指標の「ステージ4」によると、大阪府は、①病床利用率47.5% 療養者数36.66人、陽性率11.8%、1週間の感染者数26.98人、感染者数の前週比1.45倍、感染者経路不明者の割合64.8%である。
 ・萩生田光一文部科学相は27日の閣議後記者会見で、新型コロナウイルス感染症が拡大し、緊急事態宣言が発令された場合でも、全国一斉の休校は要請せず、来年1月の大学入学共通テストも実施する考えを示した。
 西村康稔経済再生担当相が26日に「(感染爆発の)ステージ4となれば緊急事態宣言が視野に入る」と発言したことを受けた。政府は今年2月末、全国一斉の休校を要請。休校は長い地域で3カ月に及び、学習遅れなどの問題が生じていた。
 萩生田氏は一斉休校について「学校設置者の判断だが、学びの保障や子どもの心身への影響の観点から、必要な場合に限定し、慎重にすべきだ」と強調した。(神戸新聞 11/27 10:15
 ⇒子を持つ親にとって一斉休校は最大の関心事だが、「政府による今年2月末の全国一斉休校のを要請は行わず「その判断は学校設置者の判断による」。
 専門家の意見やエビデ」ンスの基づき「地域の実情に応じて慎重にすべきだが、学校設置者にとってこの判断は超難題である。未完・投稿

2020.11.28 コロナ対策・医療危機迫る

 新型コロナウイルス対策を検討する政府の分科会が、感染が急速に拡大する「ステージ3」に当たる地域で今後3週間に集中的に対策を実施するよう提言した。「このままの状態だと、通常の医療で助けられる命を助けられなくなる事態に陥りかねない」と強い危機感を示している。
 兵庫県の感染状況も深刻化している。11月に入って新規感染者が100人を超える日が相次ぎ、確保病床の使用率も26日時点で約66%と高止まりが続く。
 今週初めの時点でステージ3の判断指標6項目のうち半分以上を満たす。時短要請などの感染拡大防止策とともに、医師や看護師らを確保し病床を増やす医療体制の整備が急がれる。
 分科会の尾身茂会長はきのうの国会審議で「個人の努力に頼るステージは過ぎた」とし、政府、自治体のさらなる対策強化を求めた。(神戸新聞・社説11/28
 ・兵庫県は「県内での感染急拡大を受け入院患者向けの病床を100床程度上積して750床程度を確保するため県内98病院に協力を依頼する文書を送ったと明らかにした。
 県によると、病床占有率は26日現在で66%(重症者用は28%)。県内の50病院が入院患者を受け入れている」。(朝日・はりま版11/28
 ・兵庫はこれまでで最も危険な状況だ。一定の比率で感染者が重症になるのは間違いなく、重症化しやすい70代以上の死亡率は国立感染症研究所の8月1カ月間のデータで8.1%に上る。これだけ高齢者の致死率が高い感染症はほとんど聞いたことがない」
 「特定の抗ウイルス薬とステロイド薬を組み合わせることで、ある程度の効果があることが知見として集まりつつある。特効薬までの道のりを山にたとえるなら4合目くらいだろうか。ただ、治癒後も倦怠感や頭痛が長期間続くという報告もあり、後遺症についてはまだ不明な点が多い」
 PCR検査を予防的に活用する話が一部で上がっているが、仮に陰性確認されても検査当日に限ったことであり、しかも検査は100%の精度ではない。検査は、症状が出た人や濃厚接触者に限るべきだ。(「兵庫は危機的状況の入り口」(神戸大病院の宮良高維感染制御部長談)
 ⇒神戸、朝日の新聞記事を併せ読み、北播磨6市町の具体的感染対策がよく見えないことが気にかかる。
 「専門家の指摘に真摯に耳を傾け、首相が自ら前面に出て、感染封じ込めに向けた踏み込んだ対策と国民に向けた強いメッセージを発する時だ」という神戸新聞社説子の意見に異存はない。公立病院を有する地方自治体の首長からも「住民に向けた強いメッセージを発する時」ではないだろうか。個人の努力に頼るステージは過ぎたのだ。

2020.11.29 気になる2021年大学入試

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国の有力大学が来年入試で選抜方式や日程を変更する検討を進めている。日本経済新聞が1011月に実施した学長アンケートでは、有力大154校の3割弱の42校が感染拡大時に入試の日程延期などを視野に入れる。感染拡大の「第3波」が年明けも収束しなければ、さらに多くの大学が対応を迫られそうだ。
 大学の一般選抜(旧一般入試)は11617日実施の大学入学共通テストで始まり、23月に各大学の個別の入試がある。文部科学省は共通テストを可能な限り実施する方針。個別の入試は各大学に任されている。(日経・11/29
 ⇒ウィズコロナの渦中で迎えるであろう来春の大学入試、受験生の子を持つ親や孫を持つ祖父母には気にかかる。
 2021年の主な大学入試の日程は以下の通り。
  116日、17日:大学入学共通テスト・本試験(第1日程)
     30日、31日:共通テスト・本試験(第2日程)
  21日~   :私立大の一般選抜
     13日、14日:共通テスト・特例追試
         25日:国公立大の前期日程
  312日~   :国公立大の後期日程
     22日    :国立大追試
 ここまでは決まった日程、気になるのは、中止するかどうかの判断や開始時間や場所等、各大学から受験生への周知だ。
 ・早稲田大は受験生が感染者と濃厚接触するなどし、入試を受けられない時に共通テストの成績で代替する特例措置を設けた。同措置を受けるには共通テストの受験が必要と高校生らに注意を呼びかけている。
 ・一般選抜に先駆けて合否が判明する「総合型選抜(旧AO入試)」や「学校推薦型選抜(旧推薦入試)」の合格枠を増やすとした大学も4校(2.6%)あった。
 「試験日を延期する」との回答は13校(8.4%)だった。明治大は「予定通りできなくなった場合の対応として考えている」と説明。関西大は「最終手段として延期の選択肢もある」とし、地域ごとの感染状況によっては全国28カ所の試験会場を主要都市のみに絞ることを検討している。
 ・年明けの入試シーズンも感染が収まらなければ個別試験の実施を懸念する声が高まる。
 特例の実施は容易ではない。特に多くの試験形式がある私立大は日程を延期すれば会場確保などの負担が増える。共通テストの成績で代替するとしても、私大のみを志願する受験生は出願していない可能性もある。
 ⇒アンケート結果も気になるが、受験生は志望校のHpなどでしっかり確認しておきたい。もちろん、家族や交友関係のコロナ対策も重要だ。
 18歳の若者にとって、大学入試は人生を左右する重要な入口になる。大学入試の公平性と感染防止策をどう両立させるかが問われている。
 傍白
 コロナ禍の影響で、全国の国公私立大のうち少なくとも190大学が、「経済的理由による退学・休学者」が今年度末に増えると予想していることが、朝日新聞と河合塾の共同調査「ひらく 日本の大学」でわかった。不況による学生の家計悪化が続き、今後、「経営が困難な大学が増加する」と予想する大学も回答者の8割を超えた。
 ・不況で家計が苦しくなり、学費を払えない学生が増えるとみる大学も多い。「退学・休学の増加」は緊急調査時の7月に9%だったが、今回は10月に15%、来年3月には30%に急増。特に、国公立より学費が高い私立大は35%に達する。(朝日11/29
 ⇒コロナで追いつめられる現役の大学生、コロナで経営状態に影響が出る大学が増える。大学生も大学も危機感を募らせているのだ。

2020.11.30 黒い象 感染症や気候変動リスク直視

 (黒い象は)いつかは起きるのが明白な問題を放置し、大きな被害が起こってしまう事態を指す。「エレファント(象)」は大きく、見逃しようがないリスクの意味。これに想定外の危機を示す「ブラックスワン(黒い白鳥)」という言葉を掛け合わせてある。
 ⇒日経紙は今日から「コロナと資本主義」を連載、第1回は「再生への道」。大見出しは「黒い象」向き合う株主 感染症や気候変動リスク直視」である。不勉強ながら、見出しの相互関係と記者の執筆意図が飲み込めなかった。
 ・米ジャーナリスト、トーマス・フリードマン氏が2016年の著書「遅刻してくれて、ありがとう」で地球温暖化などの問題を取り上げて「黒い象」だと指摘し、環境団体などの間でよく使われる表現となった。感染症の世界的流行に警鐘を鳴らす声は以前からあったため、新型コロナウイルスの感染拡大も「黒い象」だと見なされており、より広い層に知られる言葉となりつつある。

 米共和党のミット・ロムニー議員はこの表現を使ってトランプ政権の感染症対策の不十分さを批判した。(日経・きょうのことば11/30
 ⇒ここまで読んで分かったことは、「黒い象とは、いずれ起きると分かっている認知度の高いリスクであるにもかかわらず、無視され、被害の規模が大きくなる感染症や地球温暖化など」を言う。
 ・問題の根底には資本主義経済の構造がある。利潤を求める民間プレーヤーの自由な活動で成り立っているため、感染症のような投資のリターンが定量化しにくい問題だとコストをかけて対策を講じる誘因が働きにくい。「他の誰かが対策すればいい」というただ乗りの機運が強まり、お見合い状態に陥りやすい。
 ⇒ここまで予備知識を得た上で、書き出しのフレーズに戻って読み進もう。
 ・新型コロナウイルスの感染拡大で世界は深く傷ついた。死者数は140万人を超え、経済は大恐慌以来で最悪の状態に陥った。感染症対策の貧弱さも露呈した。そうしたなかでも苦難を乗り越えようとする動きが始まっている。資本主義を強く、しなやかに進化させることが再生への力となる。
 新型コロナウイルス用ワクチンが次々と完成に向かっている。米ファイザーはワクチンの緊急使用許可を申請し、近く接種が始まる見通しだ。米モデルナもワクチンの有効性を確認し、供給への手続きを急ぐ。
 ・感染症は突然変異や不意の収束など不確実性が強く、研究開発や設備投資が無駄になる恐れがあるからだ。株主は目先の業績拡大を求め、製薬業界では感染症事業の縮小が続いた。グローバル化の新たなリスクとして「感染症の世界的流行」を危惧する声が強まっていたが、誰も聞く耳を持たなかった。
 限界に気づき始めた株主たち。その延長線上にあるのが地球温暖化問題だ。猛暑や豪雨の世界的な頻発を目の当たりにしてそのリスクをもはや無視できなくなってきた。
 コロナ感染拡大を機に、迅速な開発を促す株主からの後押しで、長らく「冬の時代」が続いてきた感染症事業に大きな潮流の変化が起きている。地球温暖化問題についても同様、大きな潮流の変化が起きている。
  ここまで読了して初めて「黒い象 向き合う株主」の論理と執筆意図が飲み込める。資本主義は、営利主義第1の民間プレーヤーのシステムではないのだ。
 傍白
 ブラックスワンは、あり得ない事象、予期せぬ出来事をいうが、オーストラリアで黒いスワンが発見され、鳥類学者の常識が大きく覆されたことから、マーケットにおいて事前にほとんど予想できず、起きたときの衝撃が大きい事象のことをブラックスワン(Black Swan)と言うようになった。



020.09.01 強運の世襲政治家安倍晋三

 ・安倍首相もそう(世襲政治家)です。母方の祖父は元首相の岸信介、父は元外相の晋太郎。父方の祖父の安倍寛(かん)は、戦中の翼賛選挙を非推薦で勝ち抜いた気骨ある政治家でしたが、安倍首相は岸への思い入れが非常に強いらしい。
 といっても安倍首相は、もともと政治家への強い志はありませんでした。「安倍三代」というルポルタージュを書く際、幼少期から青年期、サラリーマン時代を知る人たちを多数取材しましたが、政治への志のようなものを聞いたという人はいませんでした。安倍家に生まれなければ、政治家になることさえなかったでしょう。(今日の朝日・耕論 青木理さん)
 ⇒きらびやかな政治家、安倍三代 安倍晋三首相は強運の宰相であった。安倍政権の歩みを振り返ってみよう。
 ① 安倍総理大臣は、14年前の平成18年、小泉総理大臣の後継を争う自民党総裁選挙で圧勝し、戦後最年少の52歳で総理大臣に就任し、第1次政権を発足させた。
 ② 翌年の参議院選挙で自民党が歴史的大敗を喫し、国会は衆参両院で多数派が異なる「ねじれ」状態に。
 ③ 持病の潰瘍性大腸炎が悪化するなどして、平成199月に辞任した。
 ④退陣から5年を経て、民主党政権だった8年前の平成24年、安倍総理大臣は再び自民党総裁に就任。12月の衆議院選挙で政権を奪還して、総理大臣の座に返り咲いた。
 ④ 第2次政権発足当初から安倍総理大臣は「経済再生」を最優先に掲げ、デフレからの脱却に向けて、「アベノミクス」を推進してきた。
 ⑤ 消費税をめぐっては、平成264月に税率を5%から8%に引き上げた後、個人消費の落ち込みなどを踏まえ10%への引き上げを2度延期。
 ⑥ 昨年10月、軽減税率を導入した上で、消費税率を10%に引き上げた。
 ⑦ 去年の皇位継承と「改元」に政権として取り組み、昨年430日に上皇さまが退位、51日、元号切り替え、天皇陛下が即位された。
 ⑧ 新元号の「令和」は、即位に先立つ41日に、菅官房長官が発表した。
 ⑨ 東京オリンピック・パラリンピックを招致す活動の先頭に立ち、東京開催を勝ち取った。大会は、新型コロナウイルスの影響で、来年7月に延期、引き続き「完全な形」での開催を目指すとしている。

 ⑩ 外交面では「地球儀を俯瞰する外交」を掲げこれまでの8年間で80の国と地域、のべ176の国と地域を訪問。(続く)

2020.09.02 強運の世襲政治家安倍晋三(続き)
 ⑪ 平成28年にはG7伊勢志摩サミット、去年6月には日本で初めてのG20大阪サミットを開催。
 ⑪ 伊勢志摩サミットの終了後当時のアメリカのオバマ大統領が現職大統領として初めて、被爆地・広島を訪問。安倍総理大臣も、現職の総理大臣として初めてハワイの真珠湾を訪れ、真珠湾攻撃の犠牲者を慰霊した。
 アメリカのトランプ大統領とは、平成28年の大統領就任前に各国の首脳の中でいち早く会談し個人的な信頼関係を構築。
 ⑫ ロシア外交も精力的に進め、プーチン大統領とは、第1次政権も含め通算で30回近く首脳会談を重ねた。
 ⑬ 北朝鮮情勢では、核・ミサイル開発の放棄や拉致問題など解決の道筋は見いだせない。韓国との間でも、慰安婦問題や太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題の影響もあり、関係が一層冷え込んでいる。
 ⑭ 経済外交では、TPP=環太平洋パートナーシップ協定の交渉を進め、離脱したアメリカを除く11か国が参加する形で、おととし(2018年)発効した。
 ⑮ 安全保障では、従来の政策を転換、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を限定的に容認する閣議決定をした上で、安全保障関連法を成立させた。
 憲法改正をめぐっては、国会の憲法審査会での議論が進まない中、残り1年あまりの自民党総裁任期中に国民投票の実施にこぎつけたい考えを示していた。

 ⑯ 「安倍1強」の政治情勢では、この8年間、衆・参あわせて6回の国政選挙で勝利し安倍1強政治の基礎を固めた。
 ⑰ 一昨年の自民党総裁選挙で、党則の改正で、3期目への立候補が可能になり、石破元幹事長を破って3選を果たした。
 ⑱ 「安倍1強」とも言われた政治情勢の中、昨年11月には、第1次政権とあわせた通算の在任期間が、桂太郎・元総理大臣を抜いて、憲政史上最長になり、824日には、連続の在任期間も、佐藤栄作・元総理大臣を抜いて最長となった。
 ⑲ 森友学園や加計学園の問題、「桜を見る会」をめぐる対応などにより、内閣支持率が低下した。

 ⑳ 本年に入ってからは、新型コロナウイルスへの対応が中心となり、チャーター機による中国・武漢からの邦人の帰国、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の乗客への対応などに当たり、4月には、特別措置法に基づく「緊急事態宣言」を発出、国民に外出自粛を要請し、コロナ時代の「新たな日常」をつくるため「3つの密」の回避などに取り組むよう呼びかけた。
 再び感染が拡大、個人消費の減少などにより、ことし4月から6月までのGDP=国内総生産が、リーマンショック後を超える最大の落ち込みとなるなど、経済も大きな打撃を受け、感染対策の推進と経済の立て直しをどう両立させるかが、大きな課題となっていた。(安倍政権のあゆみ NHK NEWS WEB 2020828日 参照)

 ・「安倍1強」といわれましたが、政権基盤は決して盤石ではありませんでした。野党を含め周りが総じて陥没した結果としての「1強」であって、「ほかにいないから」という消極的支持が目立った。その弱さを自覚していたからこそ、まつろわぬ者※を過剰なほど攻撃した。そうした姿勢が「戦後レジーム」との闘いに見えたとしても、当の本人が「戦後レジーム」の生み出した世襲エスタブリッシュメントなのは、皮肉な倒錯か。※従わない者の意
 ⇒安倍政権の歩みを読みかえしながら、有名政治家の家に生まれ育った強運の世襲の政治家3世安倍晋三首相は、「祖父・岸への敬慕に起因する右派イデオロギーはあったかもしれませんが、それも改憲運動を進める日本会議系の人たちに目をかけられ、育てられたからでしょう。リーダーとしては、みこしに乗るタイプなのだと思います」と言う青木理氏の意見に「なるほど、そうなのか」と感嘆することしきり。
 安倍政権は、「駕籠に乗る人担ぐ人そのまた草鞋を作る人」ならぬ「みこしに乗る人担ぐ人」。 強運のみこしに乗って安倍政権が成り立っていたのか。もちろん、それだけではないだろう。

 2020.09.03 自民総裁選と総理大臣指名選挙

 ①「自民党は、安倍総理大臣の後任を選ぶ総裁選挙について、今月8日に告示し、14日に両院議員総会を開いて投開票を行う日程を正式に決めた。
 総裁選は国会議員票394、地方票141の計535票で争う。
 ②自民党と立憲民主党の国会対策委員長が会談し、安倍総理大臣の後任を選ぶ自民党総裁選挙が今月14日に行われることを踏まえ、16日に臨時国会を召集し、その日のうちに総理大臣の指名選挙を行うことで合意した。
 ③ 新聞辞令によると、出馬表明した3氏の中で菅義偉官房長官が圧倒的多数で選出されるようだ。
 ④ 今回の総裁選は、7年8カ月続いた安倍政権の何を引き継ぎ、何を改めるのかが最大の争点となる。迷走が続いた国のコロナ対策を検証し、どう立て直すかも問われる。
 国民に向けた論戦の場を十分確保するのは政権党の責任である。選挙戦で政治姿勢を明らかにし、政策を競い合うべきだ。(神戸新聞・社説 09/02から)
 ⇒総裁選は緊急時の特例によることとなったため、地方票は47都道府県連に3票ずつの計141票に減り、国会議員票の比重が7割を超す。
 国会議員は早々と勝ち馬に乗ろうと画策する派閥の枠に縛られ、総裁選前から猟官運動に走る。短期間の選挙戦で政治姿勢を明らかにし、政策を競い合い、地方の声を政治に反映することができるのだろうか。

 2020.09.05 自民総裁選 菅義偉官房長官記者会見

 自民党総裁選への出馬を表明した菅義偉官房長官3日の記者会見で、地方金融機関について「再編も一つの選択肢になる」と明言した。「個々の銀行の経営判断」と断った上で、再編で競争力を高めるべきだと主張した。
 ・菅氏は官房長官として地銀の経営統合や合併を促す特例法の整備に取り組んだと説明した。「(特例法を)活用しながら経営基盤の強化を進めてほしい」と話した。
 ・フジテレビ番組では新型コロナウイルスへの対応後に経済政策に取り組む考えを示した。「雇用の確保や企業が営業を続けられる対応がいまは大事。メドがついたらどうするかという2段構えだ」と述べた。衆院解散に関しては「状況次第だ。新型コロナ感染が終焉(しゅうえん)を告げられるかどうか」と指摘した。(日経2020/9/3 18:30
 ⇒菅官房長官は9月2日午後5時から記者会見し「国難にあって政治の空白は決して許されず、一刻の猶予もない。国民が安心できる生活を1日も早く取り戻すために、なすべき事は何か、熟慮した。安倍総理大臣が全身全霊を傾けて進めてきた取り組みを継承し、さらに前に進めるために、持てる力をすべて尽くす覚悟だ」と立候補を表明、安倍政権を継承する姿勢を示していたが、3日「新型コロナウイルスへの対応後に経済政策に取り組む考えを示した。コロナ禍のいま必然のスケジュールであって新鮮さは感じられない。
 また、3日の記者会見では「地方銀行の再編も選択肢になる」と明言。日銀のマイナス金利政策で収益が大きく棄損されている地方銀行にとって、唐突感は免れないだろう。
 ・自民党総裁選への立候補を表明した菅義偉官房長官5日、日本経済新聞の単独インタビューに答えた。新型コロナウイルスへの対応で遅れが明らかになったデジタル行政を加速するため「デジタル庁」の創設を検討すると明言した。異次元の金融緩和をけん引した黒田東彦日銀総裁について「手腕を大変、評価している」と述べた。
 ・デジタル庁は各省にまたがるデジタル部局を集約する。「デジタルの関係はひとつのところですべてやる」と訴えた。課題として普及率が約2割にとどまっているマイナンバーカードの普及拡大などを挙げた。早急に具体策をとりまとめ、年内にも法改正する。
 コロナ禍の経済対策で雇用調整助成金のオンライン申請で不具合が続出した。行政手続きのオンライン化や脱ハンコといった課題解消にもあたる。
 異次元の金融緩和に関し「黒田氏を任命する時から関わってきた。私が継承したい」と話した。(日経・2020/9/5 14:00
 ⇒行政事務のオンライン申請ばかりでなく学校のオンライン授業など膨大な範囲にわたり各省にまたがるデジタル部局の集約は一内閣でできることではないが、これまでの遅れを早急に取り戻すことが必要だ
 コロナ禍で明らかになった諸問題と安倍1強政治がやり残した負の遺産、たとえば、① アベノミクスの3本の柱の最後の「成長政策」、特に成長戦略。② 金融政策と財政出動による巨額の国債と財政健全化政策、③ 官僚制度をゆがめている内閣人事局のあり方と改革、④ 憲法改正、⑤ 外交政策にどう向き合うのか。国民の関心は尽きない。
 唐突感のぬぐえなかった立候補表明直後から二階派はじめ党内7派閥のうち五つの派閥から支持を確保し、当選が有力となっている菅義偉官房長官、安倍政権の継承は容易ではない。
 傍白
 神戸新聞・社説は93日から3日にわたり「検証安倍政権」について厳しい意見を述べている。安倍政権の継承すべき政策と変更すべき政策についてよく検討したい。

 2020.09.06 菅氏 中小企業の足腰を強くする

 菅義偉官房長官は5日の日本経済新聞のインタビューで中小企業の統合・再編を促進すると表明した。中小の成長や効率化の阻害要因とも指摘される中小企業基本法の見直しに言及した。アベノミクスの継承と同時に、グローバル市場における日本経済の競争力強化に政策の照準を定める。(日経9/6
 自民党総裁選への出馬を表明した菅義偉官房長官のインタビューから、中小企業対策に関する発言要旨とポイントは以下の通り
 中小企業:中小企業は足腰を強くしないと立ちゆかなくなる。中小企業基本法で定める人数や資本金の定義などは見直した方がいい。中小企業の再編を必要ならできる形にしたい。足腰を強くする仕組みをつくる。最低賃金の引き上げは検討に値する。(日経9/6
 ⇒日本の中小企業は現在、小規模事業者を含め約358万社あり、企業全体の99.7%を占める。
 中小企業白書によると従業員1人あたりの付加価値額を示す「労働生産性」の中央値は大企業の585万円に比べ、中規模企業は326万円、小規模企業は174万円にとどまる。企業規模が小さくなればなるほど生産性が下がる傾向がある。
 日本生産性本部の調べでは日本の労働生産性は主要7カ国(G7)中、最も低く、米国と比べると約6割の水準にとどまる。経済協力開発機構(OECD)加盟国36カ国中でも21位と低迷する。中小企業の低生産性が日本経済の効率化の足かせとなっているといえる。
 少子高齢化により労働力はこの先、急速に低下する見通しだ。中小をテコ入れしなければ「地方の再生」といった目標も実現が難しくなる。
 ⇒日本の中小企業の労働生産性が低いことは今までに言い尽くされてきた。菅氏はこの問題解決のために「中小の再編を必要であればできるような形にしたい」と語る。合併などで企業規模を大きくすれば経営の効率化や生産性の向上、研究開発や投資の拡大などが図りやすくなる。一方、中小企業であることで税制優遇や補助金などが受けやすい面もある」と言う。
 菅氏の主張の論理展開に異存はないが、中小企業は大企業に比して人材育成やキャリア形成・能力開発の実施が容易ではない。ICT化も進んでいない。これが最大の弱点ではないだろうか。
 ・中小企業基本法は資本金または従業員数で大企業か中小かを区別する。従業員で見ると製造業は300人以下、卸売業・サービス業は100人以下、小売業は50人以下がそれぞれ中小に分類される。中小への手厚い優遇措置を受けるためあえて資本金や従業員数を増やさない例もあった。
 菅氏は小規模の利点を生んでいた同法の区分要件の改正を念頭に置く。従業員数の引き上げや資本金の撤廃などが選択肢になる。
 ⇒菅氏は、中小企業基本法に定める中小企業の要件を見直し、小規模なるが故の利点を生んでいた同法の区分要件の改正を念頭に置く。
 北播磨6市町に存在する中小企業の事業規模を考えると、従業員数と資本金で線引きすることに違和感がある。中小企業基本法に定める中小企業の要件を見直し従業員数や資本金以外の基準の導入、例えば、売上高、市場占拠率、ICTで代替できない「企業特殊的技能の価値評価」、「伝統技能人材の価値評価」などの導入などをも検討する必要があるのではないだろうか。

2020.9.07 公共DX「臨調」で進めよ

 安倍晋三首相が辞任を表明し、わずか1週間で菅義偉官房長官が次期首相のポストを射止める流れが強まっている。9月半ばに発足する新政権は何を最優先課題とすべきか。安倍政権を回顧すると、浮上するテーマがある。デジタル化を浸透させ、生産性向上の基盤を整えることだ。(日経・オピニオン・核心 論説主幹 原田 亮介稿 09/07から)
 ⇒次期新政権の最優先課題は何か。原点に戻って考えてみたい。
 最初に、「DXDigital transformation;デジタルインフォメーション)とは、高速インターネットやクラウドサービス、人工知能(AI)などのIT(情報技術)によってビジネスや生活の質を高めていくことをいう。
 企業においてはITを活用したビジネスモデルの変革や、それに伴う業務、組織、企業文化などの変革も指す。(日経・きょうのことば2020/6/4
 筆者は、DXはビジネスばかりではなく「行政のデジタル化を進めることが、国全体、日本経済全体に大きな効果を生む」と言う。
 ・(アベノミクスの3本の矢である)金融、財政に続く3本目の矢である成長戦略はことごとく掛け声倒れに終わった。「地方創生」「女性活躍」「一億総活躍」「働き方改革」など様々なキャッチフレーズが乱立したが、沈みゆく日本経済の最大の病根には手がつかなかった。公共のDXはコロナ禍で表面化したのは、日本社会の公共のデジタル化の遅れであった。
 ・特別定額給付金の支給では公的なIT(情報技術)インフラの貧弱さに多くの国民があきれた。「3密」防止なのに自治体の窓口は行列で混雑し、企業が進めるリモート勤務も、行政手続きの押印廃止やデジタル申請が進まないと尻すぼみになってしまう。
 筆者によると「行政のデジタル化を進めることが、国全体、日本経済全体に大きな効果を生む」。これは「行政手続きにかかる時間を人件費に換算すると、海外事例ではGDP12%にのぼる。大和総研も2年前のリポートで「何もしないと行政コストは6.2兆円もGDPを押し下げる」と試算している。ヤフーの川辺健太郎社長はツイッターで「公共部門のDX」を次期政権の重要な課題にあげた」という。それでは、その実現方法はどうするのか。
 ・大企業はすでにDXを加速している。中堅・中小企業も自らの改革に取り組まざるをえない。低賃金、長時間労働を前提にしたビジネスはコロナ禍で成り立たなくなる。
 ・公共DXの実現は、大きな機運を時のリーダーが作り出せるかどうかにかかっている。安倍首相は828日の辞任表明の記者会見で「IT分野の反省点が明らかになった。官の側では役所ごと、自治体ごとに取り組みが違っている」と述べた。省庁や自治体の縦割りと、それにつらなる既得権を持つ業界が障害だ。
 ・ある経済官庁の事務次官OBは「DXは政権が命運をかけてやるべき一大テーマ」と話す。抵抗を排し、実行力を担保するために「デジタル臨調」を立ち上げることを勧める。野党の総理経験者などもメンバーに入れ、オールジャパンの取り組みにすべきだという。経団連の名誉会長だった土光敏夫氏が会長を務め、1980年代に国鉄民営化などの行政改革を主導した「第2次臨時行政調査会(第2臨調)」を模したものだ。
 ⇒以上、筆者の主張のポイントを短くまとめた。これで分かる通り公共のDXは「とてつもない」難題だが、これが実現すれば「とてもない効果」を生むのだ。また、民間では、すでに実践されていることなのでその効果は実証済なのだ。
 これは、コロナ禍で分かった日本の公共最大の弱点だろう。いまこそ。公共DXの遅れを取り戻す好期なのだ。そのために「デジタル臨調を立ち上げ」実践につなげ早急に実践したい。公共部門に理系のDX技能を学んだ人材を採用し、彼らの活躍に期待したいと願う。未完・投稿
 傍白
 安倍首相の電撃辞任表明から始まる「歴代最長政権」の次にくるのは?
 危うさばかりが目立つ日本の将来。アフターコロナを見据えていま変わらなければ・・・。
 公共最大の弱点・公共DXはじめ、地方創生や中小企業政策にも心配りが求められる。再び安定政権ができるまでの混乱と長い道のりが見えてくる。

 2020.09.08 成長の女神 どこへ パクスなき世界 

 世界は変わった。新型コロナウイルスの危機は格差の拡大や民主主義の動揺といった世界の矛盾をあぶり出した。経済の停滞や人口減、大国の対立。将来のことと高をくくっていた課題も前倒しで現実となってきた。古代ローマの平和と秩序の女神「パクス」が消え、20世紀型の価値観の再構築を問われている。あなたはどんな未来をつくりますか
 ・危機は、成長の限界に直面する世界の現実を私たちに突きつけた。
 古代ローマ、19世紀の英国、そして20世紀の米国。世界の繁栄をけん引する存在が経済や政治に秩序をもたらし、人々の思想の枠組みまで左右してきた。ローマの女神にちなみ、それぞれの時代の平和と安定を「パクス」と呼ぶ。だが今、成長を紡ぐ女神がいない。(日経・09.0708から)
 ⇒日経紙が「パクスなき世界」を連載している。―(1)成長の女神 どこへ コロナで消えた「平和と秩序」、(2)「経済覇権150ねんぶり交代」07を読み解いてみたい。
 ラテン語Pax(パクス)は、古代ローマの人々は平和と秩序の女神をPax(パクス)と呼び「パクス・ロマーナ(ローマによる平和)」と評し、覇権国によって安定と繁栄をもたらす言葉となった。
 ⇒「パクス・ロマーナ」以後の世界の安定と繁栄の歴史を「高校世界史」レベルで思い出してみよう。
 15世紀から17世紀前半にかけて、ポルトガル・スペインを中心とするヨーロッパ諸国が地球規模の遠洋航海を実施して新航路・新大陸を発見し、積極的な海外進出を行った時代であり、世界史上に近代植民地体制の確立という転機をもたらし欧州列強の海外進出が始まった大航海時代。
 18世紀半ばから19世紀にかけて起こった一連の産業の変革と、それにともなう社会構造の変革・産業革命。綿織物の生産過程におけるさまざまな技術革新、製鉄業の成長、蒸気機関の開発による動力源の刷新が挙げられる。これによって工場制機械工業が成立し、また蒸気機関の交通機関への応用によって蒸気船や鉄道が発明されたことにより交通革命が起こった。
 19世紀半ば以降、植民地帝国を形成したイギリス、特にヴィクトリア女王の統治した時代、いわゆるヴィクトリア朝を、大英帝国を古代ローマ時代のパックス=ロマーナ(ローマの平和)になぞらえてパックス・ブリタニカと呼ぶ。
 ④米ソ冷戦期にはいると超大国米国の存在により世界平和が維持され、これをパクス・アメリカーナと呼ぶ。
 ⑤その後、米国を中心とする先進国の経済は衰退し、中国を中心とするアジア新興国が繁栄。世界経済の軸は150年ぶりに逆転米国中心から中国中心になった。
 そして2020年。新型コロナウイルスの危機が私たちに突きつけた現実は、パクスのいない世界で、格差や対立、不信や矛盾があぶり出され、世界の変化が加速している。
 ・国際通貨基金(IMF)によると、先進国全体の実質成長率は1980年代、90年代の年平均3%から201020年は同1%に沈む。低温経済が世界に広がり、格差への不満をテコに独裁や大衆迎合主義が民主主義をむしばむ。中国やロシアなど強権国家の台頭を許す隙が生じ「パクスなき世界」を混乱が覆う。
 経済成長の柱の一つは人口増だった。18世紀以降の産業革命は生産性を高め、19世紀初めにやっと10億人に届いた世界人口はその後125年で20億人に達した。第2次大戦後の60年代に世界の人口増加率は2%を超え、日本などが高成長した。
 すでに伸びは鈍り、今後の人口増の多くもアフリカが占める。世界人口は2100年の109億人を頂点に頭打ちとなる。コロナ禍はそんな転換期の人類を襲った。
 ⇒新型コロナ危機とその先にかなり起こると予想されるのは、「世界人口ゼロ成長へ」、「米中対立とリーダー不在」と「移動制限などによる経済収縮」の3点。
 では、今どうすればよいのか。多数の意見があり解は容易に見つからないが筆者のご意見を2点紹介して筆を置く。
 ・民間の自由な発想なしに技術革新は生まれず、成長を育む女神の背中はいっそう遠のく。(コロナ禍対策で)膨らんだ債務を平時の水準に軟着陸させることはいずれ各国共通の課題となる。そのとき問われるのは技術や制度を磨き直して少しでも生産性を高め、再配分が機能する成長の土台を築くことだ。
 ・「人類は歴史上、初めて同じ問題に立ち向かう」。ノーベル文学賞を受賞したトルコ人作家、オルハン・パムク氏はこう話す。私たちは世界中の成功や失敗を即座に比較できる現代を生きる。イデオロギーでは命を救えない。大国の時代は終わり、統治の賢さを地球規模で競うときにある。

2020.09.13 あなたは大都市で生活したいですか

 「経済発展は都市から始まる」。米国出身の女性ノンフィクション作家、ジェイン・ジェイコブズは都市を起点とする成長が国家全体に波及すると説いた。18世紀に始まった産業革命で都市にはヒトやモノ、カネが効率的に集まり、繁栄をけん引してきた。いま、この都市への集中による発展モデルが揺らいでいる。
 国連によると、1970年時点で145だった世界の人口100万人以上の都市は、2018年には548に増えた。1千万人以上のメガシティーも30を超える。
 新型コロナウイルスは人口1千万人以上の中国の武漢市で発生したとされ、ニューヨークやパリ、東京などを直撃した。人々が密集することを前提とした大都市のリスクが露呈した形だ。
 歴史的にも、都市の発達と感染症の関係は深い。14世紀に流行したペスト(黒死病)は欧州人口の3分の1を死に追いやった。約100年前にはスペイン風邪が4000万ともいわれる人々の命を奪った。
 これほどの犠牲を払っても経済効率を優先し、人々は都市での生活を選んできた。今や世界人口78億人のうち40億人以上が都市に住む。長谷川真理子・総合研究大学院大学長はこうした現状を「人類史上の異常な状態」と表現する。
 郊外に住む人々が都市の高層建築物の中で働く現在の都市モデルは、米国で20世紀に発展した。立ち並ぶ高層ビル群は経済成長の象徴とされ、世界の主要都市がこぞって取り入れてきた。新型コロナはこのモデルに疑問を投げかけた。建築家の隈研吾氏は「高層都市は時代遅れになった」と指摘する。(日経・パクスなき世界6 /9/12から)
 ⇒日経紙の連載「パクスなき世界」の最終回は「人口集中から知の集積へ 新たな「都市像」描けるか」と問いかけている。論理展開に違和感はない。私流に読み解いてみよう。
 ・人口分散のアイデアは古くからある。ルネサンスの巨匠、レオナルド・ダビンチも欧州のペスト禍を経験し、人口の密集を防ぐ都市像を描いた。感染症が流行するたび、都市のあり方を見直す機運は高まった。
 これまでとの決定的な違いはテクノロジーの存在だ。デジタル技術の発達で、どこにいても情報を自由にやりとりできる。狩猟、農耕、工業、情報という4つの社会に続き、仮想空間と現実空間が融合した「第5の社会」を迎えつつある。
 規模と効率を追求した都市の存在意義が問われている。新しい時代は、働く町も、国すらも選ばない世代が増えてくる。繁栄する力は人口の多さではなく、知をひき付ける求心力が左右する。知の集積が都市そして国家の競争力を決定づける。
 ⇒長い引用になったが、人類は18世紀半ばから19世紀にかけて起こった一連の産業革命による工場制機械工業の成立、蒸気機関の交通機関への応用による交通革命により、(犠牲を払っても経済効率を優先し)人々は都市での生活を選んだ。その結果「人類史上の異常な状態」ともいえる大都会への人口集中が起こった。
 大都会の過密を襲ったのは14世紀に流行したペスト、約100年前のスペイン風邪、2003年のSARS、そして2020年の新型コロナウイルス。「感染症が流行するたび、都市のあり方を見直す機運は高まった」が人口の地方分散の機運が高まることはなかった。
 都会には地方にはない高度の教育と雇用の機会と情報入手機会があり、さらに各種の利便快楽施設があるため、基礎教育を終えた若者がこぞって大都市に集まった。
 ところが、近年、デジタル技術の発達で、どこにいても情報を自由にやりとりできるようになり、必ずしも大都会に集中する必要がなくなった。そこで、筆者は「働く町も、国すらも選ばない世代が増えてくる。繁栄する力は人口の多さではなく、知をひき付ける求心力が左右する。知の集積が都市そして国家の競争力を決定づける」という。示唆に富む見解だ。
 人々が求める満足感や幸福感が拡大し、人々の生活では、オカネが回ること以外の多様な価値観が生まれ、多様性が圧倒的に重要になった。国籍も性別も価値観も異なる人と暮らすことで知識や情報が豊富になる。そんな時代がすでに来ているのだ。

2020.09.15 菅官房長官圧勝 安倍路線の継承の課題

 ・菅氏は国会議員票の約7割、地方票の約6割を獲得し、路線の修正や転換を訴えた岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長を大差で退けた。権力維持を優先する「派閥の論理」が幅広い議論を封じた格好だ。
 ・気がかりなのは、菅氏がどんな国を目指すのかが見えてこない点だ。
 ・力説する「縦割り行政、既得権益、前例主義の打破、規制改革」にしても、手段であって目的ではない。重要なのは、これによって何を成し遂げるのかである。
 菅氏は次期首相として、自らの政治姿勢と国のあり方を国民に向けて率直に語らねばならない。(神戸新聞・社説09/15から)
 ⇒神戸新聞社説子は、今日の社説に至るまでに連載で自社の意見を述べていた。いま一度読み直しておきたい。
 ・検証安倍政権 アベノミクス/カンフル剤頼みで弊害も(09/03
 ・検証安倍政権 改憲論議/前のめりの姿勢見直しを(09/04
 ・検証安倍政権 1強政治/負の遺産にどう向き合う(09/05
 ・検証安倍政権 ESG投資/問われる企業の長期戦略(09/06
 ・検証安倍政権 原発政策/問題先送りの責任は重い(09/07
 ・検証安倍政権 コロナ対応/危機管理能力に疑問符が(09/08
 ・総裁選スタート/安倍政治の総括が不可欠(09/09
 ・検証安倍政権 「女性活躍」/格差是正の視点に欠ける(09/10
 ・新総裁に菅氏/検証なき継承でいいのか(09/15
 自民党総裁選で圧勝した菅義偉官房長官、「安倍路線の継承」では何を継承し「どんな国を目指すのか」。党内7派閥のうち5派閥から支援を受けて圧倒的完勝。「地方出身・たたき上げ」「非世襲・無派閥」を金看板とするが、これから直ちに取り掛かる総裁としての党の役員人事と、総理大臣として閣僚人事では支援受けた派閥に縛られ、独自色を出すのは容易でない。
 神戸新聞社説子は「検証なき継承がもたらすのは、安定とは限らない。菅氏は、好転した経済指標を並べて経済政策アベノミクスの成果をアピールする姿勢に徹したが、地方や中小企業は果実が行き届いた実感を得られていない」と力説する。
 安倍政権が78か月の長期間維持した「1強政治」の検証を行い、その功罪に向き合い、方向転換をも含む新しい「菅政治の目指す日本の国家像」を示すことだ。最長任期1年の短期政権になるか、安倍政権に続く長期政権になるか、安定か、混沌かの分かれ目はこの一点にある。未完・投稿

2020.09.17 人口移動・働き手、地方めざす

 新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけにしたテレワークの定着が、都市から地方への人材供給を後押ししている。東京から北海道(沖縄県、長野県)などへの移住が増えている。また都市に住みながら地方の企業で仕事をする「オンライン就業」も広がってきた。世界的にみても人材の偏在が顕著な日本で、首都圏への一極集中が緩和する可能性がある。
 総務省の人口移動報告で7月、2013年に統計が現在の調査方法になってから初めての現象が起きた。東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)からの転出者が転入を上回り、1459人の転出超過になった。
 東京圏は長年、他の地域から人材を吸収してきた。通年では1996年から一貫して転入超過を記録し、2014年以降は景気拡大を受けて年間10万人を超えて推移した。だがコロナ禍で状況は一変。緊急事態宣言が発令された4月からは転入が細った。(日経09.16から)
 ⇒総務省の人口移動報告は、都道府県や市町村の境を越えて住所を移した人数の推移(20137月から外国人も加えて計算)をまとめた統計。
 ・ある地域に移り住んだ人を転入者、出て行った人を転出者と呼ぶ。転出が転入を上回るのが転出超過、その逆が転入超過だ。19年の通年では47都道府県のうち、転入超過は東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)など8都府県で、8割超の県が転出超過。都市への集中が続いていた。(日経・きょうのことば09/16
 ☆大阪圏では、2019.07:転出超過384人 2020.7:転入超過137人。 兵庫県では2019.07:転出超過3872020.7:転出超過387人。 神戸市では、2019.07:転出超過183人 2020.7:転出超過187人であった。
 ・東京都からの転出の6割を占めるのが2030歳代だ。テレワークの広がりもあって、「生活の質(クオリティー・オブ・ライフ、QOL)」を高めたいという若年層にとって地方移住のハードルは下がっている。
 ・「利用者の6割は2030歳代の現役世代で、これまで移住に踏み切りづらかったファミリー層の関心も高まっている」。人手不足に悩んでいた地方企業は人材獲得の好機とみている。
 ・全人口に占める東京圏の人口の割合は29%15年国連推計)。ニューヨーク(6%)やロンドン(13%)、上海(2%)など各国主要都市圏と比べても突出して高い。東京への人材の偏在と固定化は地方が衰退する要因だった。コロナを契機とした働く場所の多様化が、拡大の一途だった都市と地方の経済格差を緩和する一助になる可能性もある。
 2019年までは、高学歴の優秀な若い人材が東京に集まっていたが、コロナ禍によるテレワークの定着で、「働き手が地方をめざし都市と地方の人材格差が縮小している」と言う。
 地方にとって喜ばしい傾向ではあるが、北播磨6市町の人口移動に「転入超過」の傾向は見えない。少子化で自然増による人口増加が見込めない現在、他府県からの転入超過ばかりでなく、一部の地域では外国人労働者の転入超過が見られる。北播磨から「テレワークの定着やオンライン就業で若い働き手がめざす」アフターコロナの地方都市の魅力を発信しよう。

2020.09.19 内閣府副大臣に藤井比早之氏が就任

 新内閣発足に伴う副大臣、政務官人事で、兵庫からは自民党の藤井比早之衆院議員(兵庫4区)が内閣府副大臣に就任した。新政権が重要課題と位置づける行政改革とデジタル改革の担当で、「国民目線で規制改革、縦割り打破に全力を尽くす」と意気込みを語った。
 改革に向けた動きは、河野太郎行革担当相が設置した「縦割り110番」に意見が殺到するなど、早速出始めている。藤井氏は「現場で起こっている具体例を解決するために、しっかり務めたい」と強調した。 (神戸新聞9/19から)
 ⇒藤井比早之議員が行政改革とデジタル改革担当の内閣府副大臣に。私の期待は的中いたしました。
 ご就任おめでとうございます。北播磨加東から今後益々のご活躍をご祈念申し上げます。

2020.09.22 デジタル強国へスタート

 コロナ禍は人々の生活を変えるとともに、日本が抱える課題を浮き彫りにした。その一つが、デジタル技術の活用だ。デジタル化が進んでいれば、解決できた問題も多い。これまでも必要性は認識されてきたが、この20年の変革はおざなりだった。危機感をてこに加速できるか。新政権がまず立ち向かう課題となる。(武田 安恵他 2名稿 日経ビジネス記者ビジネス2020/9/20号参照)
 ⇒新内閣発足に伴う副大臣、政務官人事で北播磨出身の藤井比早之衆院議員が、内閣府副大臣に就任。河野太郎行政改革・国家公務員制度担当大臣、平井卓也デジタル改革担当大臣のもとで、「縦割り打破、行政改革、規制改革、デジタル化、デジタル庁新設、情報通信技術(IT)政策、マイナンバー制度、沖縄及び北方対策等担当に当たる。
 最初に確認しておきたい菅政権がめざすデジタル庁のイメージは、現在「複数の省庁に分かれている関連政策を取りまとめ、強力に進める体制として新設するところにある。
 具体的には、現在以下の「各省庁のデジタル関連の予算や権限、人材を集約一元化?して、来年度設置を目標としてデジタル庁設置をめざす」ことのようだ。
 ① 総務省:マイナンバーカード普及、自治体との連携、IT施策 
 ② 厚生労働省:健康保険証や医療のデジタル化
 ③ 経済産業省:民間のデジタル化支援・データ連携 

 ④ 文部科学省:教育のデジタル化
 ⑤ 警察庁:運転免許証のデジタル化 
 ⑥ 内閣官房:ITの総合戦略(朝日09/22参照)
 日本の「デジタル強国への道」は、「IT基本法(200年)」制定から「e-japan戦略(2001年)を経て間断なく進められ、20年を経て現在なお道半ばである。
 ここまでわかれば菅政権がめざす問題意識の深刻さと実現への意気込みは十分理解できる。ただ、省庁や関連業界の抵抗や懸念などデジタル化を阻む岩盤は途轍もなく固い。これをどのように解決していくのか。
 北播磨に住む住人の一人として、河野太郎大臣、平井卓也大臣のもとで藤井比早之内閣府副大臣が、菅新政権が最初に突き当たる関門「デジタル庁創設」が一歩も二歩も前進することを希求してやまない。
 傍白
 日本の公務員社会(官僚及び自治体職員)は、「文系支配の社会」が続いている。これを文系的人材と理系的人材がともに活躍できる社会に変えないと「デジタル強国」は実現しないのではないだろう。
 これからの公務員社会は、文系の行政知識の上にさらに高度のITスキルを持つ人材が重用されるだろう。

2020.09.23 菅印の行方・デジタル化のかぎ

 新たに発足した菅政権はどういう政策をどのように進めていくのか。首相が重視する「菅印」の主な政策について、菅氏のこだわりの背景や課題を検証しつつ、今後の行方を探る。
 2019年の1月初旬、菅氏は総務省や厚生労働省など省庁の幹部を急きょ集め、マイナンバーカードの普及策を考えて前進させるよう指示した。発行から3年たっても普及率が12%ほどの状況を、かなり気にしていたという。
 所管する総務省では、情報通信を担う旧郵政省系は前向きでも、地方自治体をみる旧自治省系は腰が重い。カードを健康保険証として使えるようにする作業も、厚生労働省の動きが鈍く、進んでいなかった。
 マイナンバーに限らず、省庁のデジタル化の取り組みの大半は、優先順位が低かった。そのつけはコロナ禍で、一気に噴き出す。
 一律10万円の給付では、窓口となる自治体と国のシステムの連携が悪く、オンライン申請をしても時間がかかった。医療や教育の現場でも、すぐにオンライン化への切り替えが進まない。さまざまな行政手続きで対面での確認やはんこを必要とし、「3密」回避の大きな障害になった。(朝日09/22))
 ⇒菅印の行方・全8回の第1回目は「デジタル化の敵は『言うこと聞かぬ省庁』3密も生んだ」。全国民周知の事柄ばかりで何も驚かない。さらに読み進んでみよう。
 ・こうした課題に、デジタル庁はどのような体制で、何に取り組むのか。「デジタル敗戦から立ち上がる」「既存の役所とは一線を画す」と強調する平井氏(平井卓也デジタル改革担当相)は、最新の知見を持つエンジニアなど、民間の人材も多く登用する考えだ。マイナンバーカードは使える行政サービスを広げる。省庁でばらばらのシステム調達をまとめ、医療や教育などあらゆる分野のデジタル化の予算を集約する。自治体のシステムの共通化を進める。そんな構想を描く。
 最大の課題は、それぞれの省庁に実行を迫る強い権限と予算、人材を集約できるかどうかだ。「横串を通す」作業は、関連する仕事と予算と定員の削減につながり、省庁や関連業界は強く抵抗する。
 政府のデジタル化の「司令塔」としてはIT総合戦略室があるが、「いまは予算がほとんどなく、単なるアドバイザー。省庁は言うことを聞かない」(内閣官房幹部)のが実態だ。新組織が二の舞いとなれば、実行力は乏しくなる。
 ・「デジタル化のかぎ」と位置づけるマイナンバーカードには、オンライン上で本人確認ができるICチップがついている。これを活用し、今後さまざまな情報とひもづけて使い道を広げていくと、便利にはなる。
 一方でカードを通じて情報が漏れるのではないか、政府があらゆる情報をのぞくのではないか、との懸念は強まる。情報漏れを防ぐ対策とともに、国民からの信頼を得る丁寧な説明が欠かせない。
 デジタル化に不慣れな人や使いこなせない人を、どう手助けするのか。高齢社会で新たな格差をつくらないためのきめ細かな対応も、求められる。(編集委員・伊藤裕香子)
  ⇒2000年「IT基本法から20年、おざなり改革に終始した「デジタル強国」の実現を一気呵成に進めたい菅政権の意気込みは理解できるが、さて結果はどう出るか。もちろん、私は省庁や関連業界の抵抗をかわし短期間で実現可能にすることを可能にする「平井構想」に期待している。
 永田町と霞が関を跋扈する特定分野で専門的知識などを背景に業界への利益誘導政策にかかわる属議員の抵抗が第1の関門になるのではと危惧が脳裏をよぎる。

2020.09.24 政府が検討中のデジタル政策

 政府は来年にも個人のマイナンバーと預貯金口座を連動させる。個人向けの給付の手続きなどをマイナンバーカードだけでできるようにする。義務付けはせず選択制にする見通し。菅義偉首相が掲げる行政デジタル化の切り札と位置づけ、来年1月召集の通常国会で法整備をめざす。(日経09/24
 ⇒政府が検討中のデジタル政策の予定は以下の通り。
 ① 9月23日:菅首相が関係閣僚会議を開き全閣僚にデジタル化の改革着手を指示
 9月中:デジタル庁設置準備室を設置
 12月:2021年度予算案閣議決定 デジタル改革の基本方針とりまとめ ・マイナンバーカードの普及策、オンライン診療、デジタル教育、国と地方のシステムと統一
 20211月:通常国会召集、関連予算・関連法案提出 ・IT基本法、内閣府設置法、マイナンバー関連法など整備
 ⑤ IT関連予算執行、関係法施行 ・オンライン診療、デジタル教育の恒久化に向けた運用変更 ・マイナンバーの口座連動導入 ・秋までにデジタル庁を設置
 ・新型コロナウイルス禍では政府が国民の生活を支援するため、1人当たり10万円の現金給付を決めた。地方自治体が振込先となる金融機関の口座番号の確認に追われ、給付に時間がかかった。
 このときの反省を踏まえ、マイナンバーと口座番号を連動させる法整備を急ぐことにした。
 国や地方からの給付だけでなく、幅広い金融サービスに使える案も将来的に検討する。例えば大規模な災害が発生して預金通帳やキャッシュカードを紛失した場合に、迅速に本人がお金を引き出せるようにする案などが浮上している。
 口座との連動は義務化せず、個人が選択できるようにする方向だ。すべてのマイナンバーを口座と連携させる案も検討したが「国が資産を把握するためではないか」との懸念が広がる恐れがあるため見送る方針だ。
 健康保険証や運転免許証など他の資格とマイナンバーの連動も進める。カードなしでもスマートフォンで本人の確認ができる仕組みも検討する。
 首相は23日のデジタル改革の関係閣僚会議で全閣僚に「マイナンバーカードの普及促進を一気に進め、各種給付の迅速化やスマホによる行政手続きのオンライン化をする」と指示した。
 ⇒安倍内閣で噴出した日本のデジタル政策の遅れを急ピッチで推進しようとする菅新内閣の意気込みがみなぎっている。
 私が最も危惧することは、地方自治体が政府の方針に対応できるかどうかにある。
 武田良太総務相は23日、報道各社のインタビューに応じ「年内に地方自治体のデジタル化を進める計画をつくると表明したが(朝日9/24)、自治体の事務作業が順調に進むかどうか。首相や担当相の掛け声倒れにならないか。
 ITやAIの専門人材がいない地方の自治体はたちまち行政事務が沈滞することにならないか。
 デジタル化は政府が法律をつくり、予算をつければ進展するわけではない。地方自治体の現状を理解した上で「デジタル政府構想」を進めてほしい。地方の悲鳴が聞こえるようだ

2020.09.26 5年で行政デジタル化 年内に工程表

 菅義偉首相は25日、首相官邸で開いた会議で、行政のデジタル化を今後5年で達成するよう各府省に指示した。「2025年度までに必要なデジタルトランスフォーメーション(DX)を完成するための工程表を省庁の縦割りを乗り越えて作成してほしい」と述べた。
 年内に工程表をつくる。自治体間のシステム統一やマイナンバー制度の改革が柱になる。
 政府は行政のデジタル化へ33項目の政策目標を掲げる。マイナンバーカード情報をスマートフォンに搭載する仕組みを検討する。運転免許証など様々な免許証や国家資格証のデジタル化とカードとの一本化もめざす。(日経9/26
 924日の記載で「(地方自治体の」デジタル化は政府が法律をつくり、予算をつければ進展するわけではない。地方自治体の現状を理解した上で「デジタル政府構想」を進めてほしい。地方の悲鳴が聞こえるようだ)と書いたが、政府が検討中のデジタル政策が早速動き出した。
 ・総務省が2021年度予算の概算要求で、国と地方行政のデジタル化を促すための施策に139.5億円を計上することがわかった。利用が広がっていないマイナンバーカードの普及促進には1451億円を計上する。菅政権が力を入れるデジタル化を加速させる方針だ。
 行政の効率化と、行政手続きのオンライン化による利便性の向上を図りたい考え。139.5億円には、各自治体の情報システムをそろえる標準化に4.1億円を計上。ネット上の安全性を高める施策には32.1 億円を充て、自治体の対策費を補助する。
 このほか、テレワークや遠隔教育・医療を後押しするため、次世代の高速移動通信方式「5G」基地局や光ファイバーなど情報通信基盤の整備に256.8億円を盛り込んだ。
 総務省の要求総額は16 8263億円で、20年度当初予算比で572億円(03%)増とした。(朝日日経9/26
 ⇒菅政権が具体的テーマを掲げて進める3つの主な政策 「① 携帯電話料金の引き下げ、② 地方銀行の再編促進、③ 政府のデジタル化」(日経ビジネス時事深層 20209.28号)が急スピードで進みだした。菅義偉首相は「年内に工程表の作成と21年度予算確保」を各府省に指示したのだ。
 地方自治体は、行政事務のデジタル化に悲鳴を上げている場合ではなくなった。国の方針に従い行政事務のすみやかなデジタル化にまい進されることを期待したいが、さて・・。

2020.09.27 デジタル化の課題と理念

 菅義偉首相が、政権の看板政策に位置づける「デジタル庁」新設について来年の通常国会に関連法案を提出するよう関係閣僚に指示した。
 ・ただ、デジタル化はあくまで手段に過ぎない。重要なのはその目的だ
 役所に行かなくてもスマホで各種の手続きができる-といったレベルにとどめず、社会情勢の変化に応じて国民生活を大きく向上させることを、理念として明示してもらいたい。
 デジタル庁が目指すのは、行政事務のデジタル化にとどまらない。経済産業省や総務省、文部科学省などに分かれているデジタル政策を一元化し、司令塔とする狙いがある。
 各省庁にすれば既得権益を奪われることにもなる。これを突破口に霞が関全体の改革につなげるのが首相の思惑だろう。
 重要なのは既存の政策の寄せ集めではなく、民間の発想や知恵を生かすことだ。
 ・デジタル化で施策の実行がスピードアップされる分、立案段階でも国民のニーズに迅速に対応できるよう各省庁の体質を刷新する必要がある。
 注視しなければならないのはデジタル化が持つ負の側面だ。
 政府はマイナンバーカードを国民に普及させるため、健康保険証や運転免許証としても使えるよう検討中だが、実現すれば行政に膨大な個人情報が蓄積されることになる。
 情報の流出や悪用に歯止めをかけるだけでなく、情報管理についての明確なルール作りが欠かせない。運用の透明性を高め、第三者がチェックできる仕組みを設けるべきだ。
 政府が掲げる利便性だけでなく、デジタル化は容易に国民の統制強化の手段になりうることも留意しておきたい。(神戸新聞・社説/09/27から)
 ⇒私は菅首相が政権の看板政策として進めるデジタル化について4回にわたり意見を書いてきた。今日はデジタル化への注文だ。
 今日の神戸新聞・社説のポイントは次の5点。
 ①デジタル化はあくまで手段に過ぎない。重要なのはその目的だ。
 ②デジタル化を突破口に霞が関全体の改革につなげるのが首相の思惑だろう。
 ③重要なのは既存の政策の寄せ集めではなく、民間の発想や知恵を生かすことだ。
 ④デジタル化で施策の実行がスピードアップされるが、情報の流出や悪用に歯止めをかけるだけでなく、情報管理についての明確なルール作りが欠かせない。運用の透明性を高め、第三者がチェックできる仕組みを設けるべきだ。 
 ⑤政府が掲げる利便性だけでなく、デジタル化は容易に国民の統制強化の手段になりうることも留意しておきたい。
 ①~③は、デジタル化はあくまでもツールであって目的ではない。本意は「デジタル化によって既存の政策を寄せ集めることではなく」、「民間の発想や知恵を生かして霞が関全体の改革につなげ」、各省庁、自治体ごとにバラバラの政策にデジタル化のツールを駆使して横串を差し、政策実行の統一化と効率化と国民生活の向上を図ることにある。
 ④~⑤はデジタル化の負の側面だ。情報の流出や悪用防止は当然のことであり、国民の統制強化の手段にすることなど論外だ。
 最後に私が強調しておきたいことは、菅政権が具体的テーマを掲げて進めるデジタル庁新設が「国民がデジタル化政策に期待する課題と理念を見失うことなく、順調に進展することだ」。

2020.09.28 スガノミクス成功の条件

 菅首相は自民党総裁選で「アベノミクスを引き継ぐ」と繰り返した。安倍政権が当初掲げた金融政策、財政政策、成長戦略という「3本の矢」。菅氏は最後の成長戦略、とりわけ潜在成長力を高める規制改革に重点を置いているようにみえる。
 それは無理もない。異次元緩和など財政・金融面の景気刺激策に依存しがちだった78カ月の安倍政権のもとで、金融緩和は限界に近いところまで進んだ。コロナ禍に対応した今春の財政出動により、2020年度の国の一般会計歳出は160兆円と前年度に比べ6割も膨張した。
 財政・金融政策をいくら繰り出しても、企業の生産性を高め潜在成長率を上げなければ、中長期的な成長力強化にはつながらない。アベノミクスがやり残した、最も難しい第3の矢の宿題を引き継いだのが菅政権ともいえるのだ。(日経・核心 解説委員長 藤井彰夫稿9/28から)
 ⇒菅政権が安倍政権から引き継いだ「安倍のミクス」の第1の矢「大胆な金融政策は成功したが2%の物価目標は未達に終わった。
 第2の矢「起動的な財政政策」はデフレ脱却には貢献したが限界に近いところまで進んだ。第3の矢である「成長戦略」ではTpp11発効や訪日客誘致では成功したが企業の生産性を高め潜在成長率を高めることができず、道半ばである。コロナ禍の渦中でアベノミクスを引き継ぎ、成果に結びつけることは容易でない。(日経・経済教室アベノミクスの総括㊤ 9/28伊藤隆敏稿参照)
 ・菅氏が掲げた「改革路線」を金融市場はひとまず歓迎しながらも、それが本物かどうか、日本の成長力が本当に高まるのかを注視している。
 構造改革の断行には強い逆風も吹く。コロナ禍が今後もたらす経済ショックの第2波だ。昨年末に2.2%だった完全失業率は7月には2.9%に上昇した。水準自体はまだ低いとはいえ「失業予備軍」といえる休業者は約220万人いる。バークレイズ証券は、休業者を加えた潜在失業率は7月は5.9%に達したとはじく。
 世界では欧米を中心に新型コロナの感染が再拡大し、今冬に向けて世界経済は再び下降する懸念がぬぐえない。
 ⇒菅政権が掲げる改革志向は、キャッチフレーズは「縦割りをぶち壊す」。こだわりの改革は具体的テーマを掲げて進める「携帯電話料金の引き下げ、 地方銀行の再編促進、 政府のデジタル化」の3点。わかりやすい政策であるが、問題は「新型コロナの感染が再拡大し、今冬に向けて世界経済は再び下降する懸念がぬぐえない」ことだ。
 ・菅首相も「まずコロナ対策に全力を挙げる」としているが、そのやり方が重要だ。
 企業に公的資金を流し、過剰になった雇用を維持する政策を続ければ、多額の過剰債務とゾンビ企業を生みかねない。そこに張り付く労働者のスキルアップにもつながらず、生産性も上がらない。
 ・コロナ対策を企業・雇用の固定化につながる企業延命策にするのではなく、成長力を高める構造改革につなげる。それは経済産業省、金融庁、厚生労働省、国土交通省など関係省庁の縦割りを打ち破って進める改革になる。
 ⇒筆者は文末において「コロナ対策と構造改革の融合―。それこそが「スガノミクス」成功の条件になるという。私には納得できる論理展開だ。
 菅首相がコロナ禍の重圧という経済状況の中で「スガノミクス」を成功に導くことは容易ではない。1日でも早いコロナ禍の収束を願う。

2020.09.29 菅政権に期待する地方創生

 安倍前政権は2014年、看板政策として「地方創生」を打ち出した。東京に集中する人の流れや経済活動を地方に分散させ、少子高齢化と人口減少に歯止めをかけるのが狙いだった。
 20年に東京圏の転入と転出を均衡にする」という目標を掲げたが、この6年間で首都圏への一極集中はむしろ加速した。(神戸新聞・社説 09/29から
 ⇒菅氏が総務省時代から官房長官時代を通じて自ら提案し、推進してきた政策は高邁な政治理念に基づく政策というより具体的でわかりやすい。
 第1は「ふるさと納税」第2は「インバウンド」、第3は「観光需要の喚起策「Go To トラベル」。その成果を検証するとそのほころびが目立つ。
 ・菅氏は、ことあるごとに「私自身が地方出身で、現場をよく知っている」と強調する。そんな菅首相に期待する地方関係者の声は多い。
  ・菅氏が総務相時代、省庁の反対を押し切って創設したと誇る「ふるさと納税」は、出身地を応援するという制度の趣旨から離れ、自治体間の返礼品競争が過熱した。
 ⇒ふるさと納税は高価な返礼品や換金性の高い返礼品による競争の過熱。特産品資源が豊かな地域とそうではない地域との不公平感。高所得者ほど多額の減税を享受できる不公平感が高まり「ふるさとに対する応援」という制度本来の主旨からの大きくかい離してしまった。
 ・訪日外国人客の増加を軸にした観光振興も菅氏の肝いりとされるが、新型コロナウイルス感染の拡大で、訪日客に過度に依存する地域経済のリスクも明らかになった。
 ⇒インバウンド政策は、菅官房長官が「『外国人観光客』という名の「短期移民」を招き、彼らにお金を落としてもらって成長に結びつけていくシナリオが最も効率的であり、現実的だ」。という小西美術工藝社・アトキンソン社長の意見に強く共感して始まった。
 狙い通り、非右日客数が12年の836万人から19年は約3.8倍の3188万人に拡大。訪日客の日本での消費額も約1兆円から4.8兆円に増えた。
 だが、新型コロナ感染拡大で一変した。Go To トラベル事業は、その実施時期を早まり東京などで感染が再拡大して批判を招いた。(朝日・菅印の行方⑥ 09/29参照)
 ・自治体同士が連帯して相互利益を目指す取り組みが、これからの持続可能な社会には欠かせない。国の権限や財源を自治体に移譲し、真の自立を後押しする「地方分権」の視点も取り戻さねばならない。
 コロナ禍で、若い世代に地方移住への関心が高まっている。一時的なものに終わらせないため、働きがいのある仕事の創出やリモートワークの支援、安心して子育てできる環境整備など具体策を急ぐべきだ。
 少子化対策や地域の活性化は複数の省庁にわたる施策が多い。こうした分野でこそ、縦割り行政を打破する突破力を発揮してもらいたい。
 ⇒今日の神戸新聞・社説子の意見に異論はない。ただ「自治体同士が連帯して相互利益を目指す取り組み」が容易に進まず、子育てや高齢者向け住民向けサービス競争が起こり「近隣自治体同士が半目して協調、連携が進まなかった。
 人口の都市集中を排し少子高齢化と人口減少に歯止めをかけるのが狙いだった「地方創生」が、近隣自治体間のゼロサムゲームの様相を呈している。地方創生の原点は「地方の協調、連携の仕組みづくり」にあることを忘れてはならない。

2020.09.30 コロナは人類に何もたらすのか

 昨年末に突如、中国で出現したとされる新型コロナウイルスは、その後あっという間に世界をのみこみ、初の死者の報告から9カ月弱で100万人以上の命を奪った。21世紀になって新たに現れた感染症の中で、死者数や拡大のスピードは突出している。一方で、感染した人の致死率は世界的に減少傾向にあり、日本でも治療法が改善しつつある。新型コロナは人類に何をもたらすのか。
 新型コロナの感染が最初に広がった中国湖北省の武漢で、初の死者が出たと発表されたのは今年1月。新型コロナはその後、急速なスピードで世界中に広がった。感染を防ぐために遺族が遺体さえ見られない状況が各地で続く。
 死者が世界最多の米国では、今年の死亡原因として新型コロナが交通事故や肺の病気を上回り、心疾患とがんに次いで3番目に多くなる可能性が高くなっている。世界中でワクチンや治療薬の開発が進むものの、流行がいつ収まるかは依然、見通せない状況だ。(朝日・笠原真、大部俊哉稿 9/30から)
 ・人類の歴史は感染症との戦いだった。戦争や自然災害に並び、現在まで感染症で大勢の死者が出続けている。
 ⇒過去の主な感染症、大戦、災害の世界の死者は以下の通り。
 14世紀:黒死病(ペスト)5000万人以上、②16世紀:天然痘 約5600万人、③191418年:第1次世界大戦 約2000万人、④191820年:スペイン風邪 5000万人以上、⑤第193945年:2次世界大戦 約6000万人~8000万人、⑥1981~:エイズ 約3270万人、⑦2019929日~新型コロナウイルス:100万人超す(米ジョンズ・ホプキンス大の集計)
 ・(大勢の死者を出してきた)感染症の流行は人間社会に変化をもたらす側面もあった。元国立感染症研究所室長で「人類と感染症の歴史」の著書がある加藤茂孝氏は「中世の欧州ではペストがきっかけで、近世へと向かう変化が起きた」と指摘する。
 ・人口も少なく、移動手段も限られていたペストの時代に比べ、現在は人や物、情報があっという間に世界を駆け回る。加藤氏は「中世に起きた1世紀分の変化が、コロナ禍の中では数年で起きるかもしれない」とみる。「リモートワークが急速に広がり、製造業では自動ロボット化が進む。産業構造はがらりと変わるだろう。政治的な面では自国優先主義がさらに加速するのではないか」と話す。
 ⇒グローバル化を背景に、急速に世界に広がり、静まる気配が見られない新型コロナは人類に何をもたらすか。超長期のスパンで、世界各国で何が起こるか。私には今のところ何も分からない。
 ただ、短期予測ならある程度可能である。コロナが収束して自粛要請が解かれたら何が起こるか。働き方は・・?学びは?旅行、飲食、観劇、スポーツなどの娯楽は・・?コミュニケーション手段は・・?




 2020.08.01 コロナ感染再拡大への対応

 新型コロナウイルスの感染再拡大が、勢いを増している。きのうの新規感染者は東京都で460人、兵庫県でも60人を超えて、過去最多を更新した。大阪府も200人以上となった。国内全体では1500人を上回っている。
 ・ここで勢いを抑え込まなければ、感染爆発を招き、医療崩壊の恐れも否定できない。政府や全国の各自治体は「正念場」と捉え、総力を挙げて対応を急がねばならない。
 ・では具体的に何をするのか。感染者の隔離には、数百の病床やホテルの客室を新たに確保せねばならない。必要なのは状況の定義づけより、感染者数の増加を抑抑え込むため先手 先手を打つことではないのか。
 ・体調が悪くてもPCR検査が直ちに受けられないという例は後を絶たない。安倍晋三首相が検査の「目詰まり」を指摘してから、2カ月以上が過ぎている。首相が言う「徹底的な検査」でいち早く感染者を割り出すための態勢を政府がつくり上げねば、封じ込めは難しい。(今日の神戸新聞・社説・「全国で感染拡大/「正念場」と捉え対応急げ」から)
 ・新型コロナウイルスの感染拡大が続いている。入院患者や重症者も増えており心配だ。リスクの高い地域や店舗に対する営業短縮や休業の要請はやむを得ない。政府は感染状況を正しく判断するための指標や、深刻さに応じた対策のあり方を早急に示すべきだ。
 ・爆発的な感染拡大を防ぐには、検査と隔離の徹底が欠かせない。唾液を使った簡便なPCR検査や、抗原検査の普及を急ぎたい。自動分析装置などの導入で検査費用を下げるとともに、保険適用の拡大も検討してはどうか。(今日の日経・社説・「メリハリのある対策で感染爆発を防げ」から)
 ・兵庫県は新型コロナウイルス感染者20人のうち、北播磨では、加西市のショッピングセンター「☆☆☆☆☆☆☆☆☆」の美容店「☆☆☆」でクラスターが発生したと明かした。31日までに店のスタッフ、その家族、客ら計12人の感染が判明しているという。その他、加東健康福祉事務所管内で1名の感染が分かった。※新聞記事には実名が記載されている(今日の朝日・はりま版から)
 ⇒私たちの住む北播磨6市町でもこれまでにも多数の感染者が報告されている。コロナ感染第2波の感染再拡大への警戒緩めず、正しく恐れて適切に行動し「マスクの着用、手洗い励行、3密や大声での会話を避け、一人ひとりの心がけが大きな感染防止効果を生むことを忘れないようにしたい。

2020.08.02 在宅勤務か テレワークか

 コロナ禍で、よく耳にするようになった「テレワーク」という言葉。同じように「リモートワーク」もよく耳にします。日本でできた造語のようにも聞こえますが、英語でも使われる言葉なのでしょうか。
 「テレワーク」はギリシャ語の「遠い」に由来するteleと、work(働く)を組み合わせたもの。1970年代から米国で使われ始めました。
 日本テレワーク協会によれば、「在宅勤務」と、勤務先以外の拠点で働く「サテライトオフィス(SO)勤務」、それに移動中やカフェなどでの「モバイルワーク」の三つの働き方を指す言葉だそうです。
 ・一方、同じ意味で「リモートワーク」と言う人も多いでしょう。実際、海外ではテレワーク以外の呼び名が主流だとか。米国人カウンセラーのステファン・ハリスさん(48)は「以前はテレワークが使われていたが、今はテレコミューティングが一般的」、英国人大学院生のサム・エブドンさん(26)もリモートワーキングなどを使う」といいます。(朝日 ことばサプリ8/1から)
 毎日、日刊紙の記事からテーマを選びブログを書いていると、最近「カタカナことば」がやたらと増えていると実感する。
 パソコンやスマホを活用して、オフィスに行かずに自宅で働く勤務形態を差すことばは「在宅勤務」で十分だ、これをサテライトオフィス(SO)で行ったり、移動中や出先でモバイルを活用して行う場合を「サテライト勤務」や「モバイルワーク」と「カタカナことば」でいう。英語圏ではテレコミューティングやリモートワーキングと言うようだ。
 今回のコロナ感染拡大を受け、政府や官公庁が「テレワーク」を推進してきたためテレワークなる呼び方が定着したようだ。
 大阪府下在住でテレワークを行う知人から聞いたことだが、会社にいないと見られない資料やデータがあること、パソコンの印刷機能使用が禁止されていること、上司や同僚との対面による意思疎通に苦労すること、社交の場や偶然の出会いなどもなくなることがあるため、業務の一部を在宅で行い、週2日、大阪市内の本社オフィスに勤務しているそうだ。それでも仕事と育児、仕事と介護の両立など容易でないと言う。
 コロナ対策で増加しているテレワークがどこまで定着するのか、不透明な要因も多いが、アフターコロナの新しい働き方であることは確かなようだ。
 運用方法の改善から勤務評価、さらに給与体系の変更まで多角的試行錯誤が続くだろう。
 傍白
 私はコロナ禍が始まった段階に、都会からの住民移動とその定着を意図して、平成の合併で使用しなくなった庁舎をサテライトオフィスに転用してはどうかとブログに書いたが、評価されることはなかった。
 加東市は加東市下滝野1269番地の2・旧滝野庁舎1階に「(トリックアートを主とした)アートで賑わいを創出し、地域の活性化を図ることを目的とし、芸術に触れあう機会を増やし、及び情報発信の拠点とするため、加東アート館を設置することを決めた。(加東市議会だより20208月 No54参照)

 2020.08.03 地域活性化の新たな潮流

 新型コロナウイルス感染症により、私たちの生活は大きく変わりつつあります。価値観の転換に伴い社会様式が変化する、パラダイムシフトが起きているといえるのかもしれません。地域活性化にも、これからの時代に即した新しい概念が求められます。(日経・やさしい経済学は8/3から)
 7/23から/8/3まで8回にわたり、関東学院大学准教授 牧瀬稔氏が「地域活性化の新たな潮流」について書いている。以下に要旨を紹介しよう。
 ①地域活性化はマジックワード(魔法の言葉)で期待を抱く人は多いが、極めてあいまいな言葉で、安易な使用には注意が必要。
 ②キーワードの一番は「定住人口」を増やすことを差す。しかし、人口の維持や増加は難しいのが現実です。まず、人口の「自然増」 は合計特殊出生率が低下する社会では不可能です。
 次に人口の「社会増」は、外国人の移民受け入れ以外で、日本人を対象として考えますと、自治体同士の「仁義なき戦いを繰り広げ、果てしない消耗戦」になります。
 ③自治体が次に注目したキーワードは「交流人口(観光客)です。しかし観光客やインバウンドが増加しても順風満帆ではありません。観光公害をはじめとする外部不経済が発生しました。
 一方では、何かに特化して、地域や顧客(リピーター)の創出、地域ブランでの構築で成功した自治体があります。
 ④多くの自治体が採用した手法に「企業誘致」があります。地域外からの企業の転入で雇用の拡大・増加で地域の賑わいが達成され、地域経済振興、税収増などのメリットが発生しました。
 企業誘致のリスクは、多額の補助金を出して企業誘致に成功しても、企業は景気の影響を受けやすく失業者が急増することもあります。以上の地域活性化の手段は、いずれも数字を重視した量的に測れる地域活性化です。
 2000年代半ばから広がった言葉に「シティプロモーション」があります。多義的に使われる言葉ですが、筆者は「都市・地域の売り込み」と捉えています。それは自治体の「営業活動」と言えるでしょう。動画の制作やロゴマークの作成に終わることなく、民間の思考や手法を自治体に移転する発想と考えるとよいでしょう。
 ⑥国は「「関係人口」という新しい概念を提示し、地域活性化に結びつけようとしています。総務省は関係人口を「長期的な定住人口や、短期的な交流人口でもない、地域や地域の人々と多様に関わる者」と定義しています。
 ⑦定住人口を呼び込み、交流人口をリピーターにする新しい潮流に「シビックプライド」があります。「都市に対する市民の誇り」という意味で使われます。 筆者はシビックプライドに関連して「活動人口」という概念を提起しています。
 たとえ、人口が減少しても、活動人口が一定数いれば地域は活性化します。
 ⑧これらの概念は、必ずしも量的に測れるものではありません。質的思考を伴う地域活性化を目指して言えるかもしれません。
 ・主観の地域活性化を成功させるには、地方自治体が関係者に対する説明責任を徹底しなければいけません。説明責任を果たすことで、行政と関係者が思考を「共有」でき、「共感」が生まれます。そして共感の先には「共創」があります。共創は主観の地域活性化の一形態ともいえます。
 日本は人口減少が進み、平均年齢も上昇しています。このような状況の下では、国や自治体は客観の地域活性化を生かしつつ、さらに主観の地域活性化を目指す施策も展開すべき時期にきていると考えます。(8/3
 ⇒人生の大半を北播磨の小さな自治体に住んでいるが、全国各地で起こっている「地域活性化の新たな潮流」を総括する筆者のご意見に違和感はない。今後とも地方自治体首長や自治体議会に期待することは多い。

 2020.08.04 大借金の行き着く先 そのとき日本は

 「今年の世界の公的債務は第2次大戦時を抜いて過去最大になる」。7月上旬、国際通貨基金(IMF)首席エコノミストのギータ・ゴピナート氏は東京大学と共催のウェブ会議でこう警告した。
 IMFの見通しでは2020年の先進国の公的債務残高は国内総生産(GDP)の128%でこれまでのピークの1946年を超す。コロナ禍にあたって各国は巨額の財政支出を迫られた。日本も66兆円の国債を増発したようにその多くを借金で賄っている。
 民間も含む世界の借金残高(国際金融協会調べ)は13月期で過去最大の258兆ドル。円換算で2.7京円、実に世界のGDP3倍超だ。
 世界は未曽有の「大借金時代」に入った。それは巨大な借り手となった国家の信用をめぐる競争の時代でもある。(日経・核心8/3 論説委員長 藤井 彰夫稿から)
 ⇒世界の公的債務は第2次大戦後を抜き、過去最大になった。コロナ禍による大借金の先はハイパー・インフレ、金利上昇で財政破綻か、それとも・・
 ・この競争で最も弱いのは、海外の資金に頼る途上国だ。借金返済に行き詰まる国も出始め、7月の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、返済を年末まで猶予する救済措置で合意した。
 つぎに弱いのは先進国でも経常赤字で財政状況も悪い、イタリアやスペインなど南欧諸国。ギリシャが債務不履行を起こした2010年代前半の欧州債務危機の再燃か、と投資家は身構えた。
 だが、欧州には学習効果があった。前の危機で、南欧と対立した財政規律重視のドイツが変身したのだ。メルケル首相が調整役となり、7500億ユーロの欧州復興基金を編み出した。資金調達は共同債。欧州が一丸となり「皆で借りれば怖くない」方式だ。
 ・欧州に限らず、世界の中央銀行は政府支出の拡大にあわせて国債購入を増やしている。日本銀行は4月に国債購入の上限を撤廃。米連邦準備理事会(FRB)も3月から無制限の国債購入を始めた。中央銀行は否定するが、政府歳出を用立てる事実上の財政ファイナンスにみえる。
 ⇒欧州復興基金の創設はEUの知恵と結束の結果だ。いくら否定したところで、日米の中央銀行による自国国債の無制限購入は「財政ファイナンス」に違いないだろう。
 1年ほど前、世界で論争が起きたMMT(現代貨幣理論)は「自国通貨建てで国債を発行できる国は財政赤字を心配せずに歳出を拡大できる」と主張する。主唱者の一人の米学者ステファニー・ケルトン氏は、昨年の来日時に「日本では財政赤字が自動的な金利上昇につながらず量的緩和も機能している」と述べ、すでにMMTを実践していると指摘した。当時、中央銀行や主流派学者は猛反発したが、コロナ禍を前に、今や先進国の多くが日本の後を追っているのだ。
 では今後、大借金の先進国である日本はどうなるのか。岡三証券の高田創氏による説明は以下の通り。実に分かりやすい。
 ・日本を1つの家庭に見立てると、政府が国民からお金を借りて成り立っている。それを支えるのは「愛」、つまり国民の国家への信頼だ。言いかえれば、経常黒字を保ち将来は増税などで借金を返せるという信頼感だ。それが崩れたときに国民は国家を見放す。そして急激な資本流出による円安、ハイパー・インフレ、金利上昇が起き、財政は破綻する。
 ⇒財政健全化論者が唱えてきた危機シナリオ。実際は何も起こらなかった。日本には、早くから財政健全化論唱えた学者や金融人は多いが最近の財政支出には規律が働かなくなってきている。コロナ禍の非常時に必要な対策をとるのは当然とばかりに、政府はコロナ禍対策に「大借金による大歳出」で対応している。
 ・国家の信認の崩壊は、何がきっかけになるかはわからない。大災害なのか、地政学リスクの顕在化なのか。「オオカミ少年」がいなくなり、皆が「もっと借りても大丈夫」と言い出したときが危ないのかもしれない。
 ⇒「オオカミ少年」が少なくなった今、すでに国家の「信認の崩壊」の兆候が見えているのかもしれない。

 2020.08.06 人口減少と地域活性化
 
 総務省は5日、住民基本台帳に基づく人口動態調査を発表した。11日時点の日本人は124271318人と前年から505046人減った。減少幅は1968年の調査開始以来最大で、11年連続で減った。外国人は7.5%増えて過去最多の2866715人となった。(今日の日経から)
 総務省が5日発表した「住民基本台帳に基づく人口動態調査は、毎年11日時点の個人の氏名や生年月日を記録した住民票に記載されている人数を調べる。マイナスは11年連続で、減少数、減少率ともに過去最大。増えたのは、東京、神奈川、沖縄の3都県だけで、人口の偏在が際立った。兵庫県の人口は543万人、減少率はマイナス0.49%。
 ・政府が掲げる地方創生の取り組みにもかかわらず、少子化と一極集中が加速する構図。都市部での新型コロナウイルスで地方分散への関心が高まる中、機運を捉えて集中是正の有効策を打ち出すことが急務となる。(今日の神戸新聞)
 ⇒コロナ対策でテレワークが広がったことや海外からの部品調達リスクを避けるため、地方に進出していく企業もある。
 「コロナ以降の経済や社会のあり方を考えるうえで、変化の兆しの見える人口動態を的確に分析することが欠かせない。景気の悪化懸念などから結婚や出産が減れば、少子化は一段と加速しかねない。地方創生などの政策も感染抑止と経済の両立がカギとなる新常態(ニューノーマル)をにらんだ再検討が課題になる」という日経の記事を読み、コロナ禍を機会に「シティプロモーション」(地域の売り込み)を行い、地域活性化のチャンスとするヒントがあるように思えるのだが。(私のブログ 地域活性化の新たな潮流2020.08.03 参照)

2020.08.07 コロナ下のお盆帰省 

 新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、政府は、お盆で帰省する際は高齢者の感染防止に注意を払うよう呼びかけた。
 もともと、お盆休みの直前となるきょう、専門家による分科会を開いて政府の方針を示す予定だった。前倒しされたものの、発信が遅れたことは否めない。
 お盆は日本の文化に根付いた風習で、親戚が集まる機会だ。観光地への旅行とは異なる。一方で、飲食の場などで祖父母や高齢の両親らの感染リスクが高まる。
 ・新型コロナ対策を担う西村康稔経済再生担当相は「慎重に考えないといけない」との立場を示した。経済活動の再開を重視する菅義偉官房長官は、「一律に控えてと言っているわけではない」と打ち消した。
 地域の医療体制や感染の状況が分かりやすく示されていれば、帰省するかどうか判断の参考になる。そのための新たな指標はきょう、ようやく公表される。
 国の方針を待たずに、帰省の自粛を呼びかけている知事も多い。地域の状況を踏まえた判断として、考慮したい。(毎日・社説8/7から)
 ⇒お盆休みが迫るなか、各地の知事から帰省や都市部との往来についての発言が続いている。コロナ感染拡大防止で往来を控える呼び掛けがある一方、一律の自粛は求めない考えもある。今夕のNHKニュースを待ちたい。
 お盆帰省を判断するのは、本人とその家族だ。帰る喜びを待つ子や孫、迎える喜び一の父母、祖父母。帰省するかどうかは、地域の状況を踏まえた知事の判断が参考になる。もちろん、帰省中のコロナ感染防止対策を怠ってはならない。

 2020.08.08 何回でも出没するオオカミ少年

 新型コロナウイルスの封じ込めと経済活動の正常化をともに実現するには、政府の機動的な予算対応が不可欠だ。一方で急速な財政悪化を直視する責任もある。甘い試算で厳しい現実を覆い隠すようなことがあってはならない。
 内閣府が中長期の経済財政試算を明らかにした。コロナ危機下の支出増や税収減が響き、国と地方の基礎的財政収支(PB)の黒字化が早くても2029年度にずれ込むとの見通しを示した。
 いまはコロナ危機の収束が先決である。ウイルスの感染防止策や家計・企業の支援策などをためらう時ではない。それでも国庫の窮状を正しく伝え、国民や市場の理解を得る努力は怠れまい。(今日の日経・社説から)
 ⇒私がこのテーマを採り上げると「またオオカミ少年か」と思われるだろう。
 何度も同じテーマの意見を繰り返せば読者は「どうせ今度もオオカミ(財政悪化)は来ないだろう」と弛緩してしまうが、財政学者や新聞社説はこのテーマで何回でも出没するオオカミ少年を繰り返している。
 今日の日経・社説は、導入部分に主張の結論を書いているのでわかりやすい。展開部分と結びの部分は以下の通り。
 PBの赤字は19年度の14兆円強から、20年度には67兆円強に増える。その後に名目で3%超、実質で2%超の平均成長率を維持できれば、29年度に黒字に転じる。
 1%弱の潜在成長率に甘んじる日本にとって、あまりにも楽観的なシナリオといわざるを得ない。にもかかわらず政府は29年度どころか、25年度にPBを黒字化するという目標を掲げ続ける。
 20年度末の国・地方の長期債務残高は、国内総生産(GDP)のほぼ2倍に当たる1200兆円近くに膨らむ。こうした数字を踏まえ、日本国債の格付け見通しを引き下げる動きもみられる。
 日銀が大量の国債を購入し、金利の上昇を抑え込んでいるとはいえ、安心できる状態ではない。政府の財政運営に対する信認が失われ、思わぬ危機を招かぬよう、細心の注意を払う必要がある。
 そのためにも現実に即した財政再建の目標や道筋を再検討すべきだ。国民に痛みを強いる歳出・歳入改革に踏み出すのはまだ先になろうが、無駄やばらまきの排除ならすぐにでも取り組める。
 089月のリーマン・ショックは世界的な金融・経済危機に発展するとともに、南欧などの債務危機も誘発した。今回のコロナ禍も財政基盤の脆弱な国家をいずれ揺さぶる恐れがある。
 主要7カ国(G7)や20カ国・地域(G20)の会合もそのリスクを念頭に置き、各国の財政事情を十分に点検してほしい。
 続いて、今日の神戸新聞・社説「財政健全化/コロナ禍でも旗降ろすな」から
 内閣府は国と地方の基礎的財政収支(PB)が黒字化する時期が、これまでの2027年度から29年度以降にずれ込むとの試算を示した。
 ・(内閣府が国と地方のFBの黒字化の時期を29年にずれ込むと修正したのは)コロナ禍による景気低迷と税収減が主な要因だ。感染拡大が続けば、追加対策が必要になり赤字がさらに膨らむ可能性もある。
 ところが政府内には、経済成長や歳出の見直しなどで「25年度のPB黒字達成は可能」との見方がある。コロナ禍前の19年度予算でもPBは10兆円近い赤字となっており、あまりに楽観的と言うしかない。
 PB黒字化を重視するなら、コロナ関連施策であっても実効性を厳しく見極めるなど、財政再建の旗は降ろさないという断固たる決意を行動で示す必要がある。
 しかし、最近の政府の動きには財政再建を避けて通ろうとするふしすらうかがえる。
 しかし感染の実態や現場のニーズを十分に見極めないまま、予算規模を強調するためのメニューが並ぶのでは使途に疑問符が付く。「アベノマスク」や一連の「Go To」施策を巡る混乱は典型だろう。 
 文末では「いくら巨額の予算を投じても、政策に信頼が得られなければ、この危機は乗り越えられない。そのことを安倍政権は認識するべきだ」と主張する。
 今日の日経・神戸の社説子の意見もまた「何回でも出没するオオカミ少年」だが、現政権への覚醒とすべての日本国民に自覚を促しているのだ。未完・投稿

 2020.08.10 コロナ禍で DXが加速 子や孫は

 日本経済新聞社は2020年度の設備投資動向調査をまとめた。企業のIT(情報技術)投資の計画額は前年度実績比15.8%増と大幅に増える見通しだ。新型コロナウイルスの感染拡大で集計企業全体の設備投資額が1.2%減になるなか、積極性が目立つ。モノやヒトの動きが滞り、ビジネス環境は一変している。販売や供給網の変革につながるデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させる。(今日の日経1面から)
▽…企業がビッグデータや人工知能(AI)、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」などのIT(情報技術)を駆使し、製品やサービス、ビジネスモデルを変革すること。さらにITで業務や組織の運営、企業文化も含めて改革することを指す。
▽…生産設備をIoT機器でつないで稼働の最適化や故障予知に生かす取り組みなどが一例。
▽…新型コロナウイルスの感染拡大で人や物の動きが制限され、流通業などではDXへの対応が業績を大きく左右する局面も出ている。厳しい環境下でもDXで変革を推し進められるかが将来的な競争力を左右することになりそうだ。(日経・「きょうのことば」から)
 ⇒上記の2つの記事とコラムに出てくるIT,AI,IOT,DXの定義や具体的内容を知らずして、ビジネス最前線を語ることはできない。
 ・(2020年度の設備投資動向調査・日経は)上場企業と資本金が1億円以上の有力企業948社を対象に集計した。20年度の全産業の設備投資の計画額は192395億円と1.2%減る見通し。前年割れは英国の欧州連合(EU)離脱の決定などで世界経済の不透明感が増した16年度以来、4年ぶりだ。このうち製造業は1.4%減、非製造業は0.9%減る。
 これに対し、IT投資額(対象は765社)は15.8%増の4718億円となり、2年連続での2桁増を見込む。製造業の伸び率は20.3%増と過去最高で、非製造業は13.1%増となる。
 ⇒モノやヒトの動きが滞り、ビジネス環境が一変しているコロナ下で、企業が設備投資額を減少させてでも、デジタル投資を増加するのはデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させ事業の変革を通じて競争力を高めるためだ。
 IT投資額で首位のセブン&アイ・ホールディングスは19.9%増の1212億円を投じ、売り方などを変える。ネットスーパーで配送料金を柔軟に上下させて消費者の利便性を高めるほか、配送員の負担を分散させる。
 クボタは2.4倍の208億円を投じる。米マイクロソフトと提携し、「農機や建機の生産や販売の情報をグローバルで一元管理する」(北尾裕一社長)。大成建設はIT投資を17.1%増やす。遠隔で工事の進捗を確認したり、施工管理したりして省力化する。
 ⇒小規模地方都市に住み、中小零細企業で働き、経営に関わる住民、被雇用者、経営者にとって、これは無縁の変革だと等閑視できることだろうか。
 私たち高齢者の子や孫はコロナ禍で大きく変わる経済、社会の変革をどのように捉えているのだろうか。高齢者には超難問だが、子や孫はこの変化を敏感に感じてほしいと期待している。

 2020.08.12 コロナ禍に打ち勝つ企業の条件

 新型コロナウイルスの収束が見通せず、企業の経営パラダイムにも様々な変化が生じている。その中で日本企業が危機を乗り越え、さらに成長を続けるために何が必要か考えたい。(日経・社説 08/11から)
 ⇒その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが革命的にもしくは劇的に変化することをパラダイムシフト(paradigm shift)という。
 新型コロナウイルスの感染拡大は世の中の在り方を大きく変えた。新型コロナウイルスが終息した後も、テレワークなどの行動変容は「ニューノーマル(新常態)」として定着するだろう。ポストコロナでは企業経営のパラダイムシフトが起こることは間違いないのだ。
 実は今世紀に入って、コロナがなくとも、世界の不確実性は高まっており、企業や経営者にとって視界不良の状態が続いてきた。不確実性の源泉は主に3つある。
 ・最初は政治経済の変動だ。2001年の米同時テロにはじまり、世界金融危機を経て、近年はいわゆるブレグジットやトランプ米政権の登場、中国共産党の大胆な振る舞いなど驚きの連続だった。
 2番目は東日本大震災をはじめ地震や津波、台風、洪水など自然災害の世界的な激甚化だ。経済産業省の集計では日米中3カ国の直近5年間の被害総額は5177億ドルに達した。これは9600年の3.6倍にあたる数字である。
 3つめがITを中心に猛烈な速度で進む技術革新だ。
 今世紀に入ってコロナ禍以前から、① グローバル化に伴う政治経済の大変動、② 地震や津波、台風、洪水など自然災害の世界的な激甚化、③ ITを中心とした猛烈な速度で進む技術革新という3つの不確実性がパラダイムシフトを予感させていた。
 ・危機は変革の契機でもある。平時には難しい事業の再構築などをこの機に進めたい。
 ・危機が去ったときに、自社の競争力がコロナ以前に比べて上がっているのか下がっているのか。各企業のリーダーはこの視点を常に意識しながら、日々の経営のかじ取りにあたってほしい。
 ⇒「コロナ禍に打ち勝つ企業の条件」は「危機を変革の契機に」、企業のパラダイムシフトを成功に導くことだ。
 ここまで理解できても、さて、具体的には何をどうシフトさせるべきか。解は容易に見つからないが、パラダイムシフトに成功している企業のアイディアは参考になるだろう。
 傍白
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴うテレワークなどの行動変容「ニューノーマル(新常態)は、コロナ禍以前から始まっていた「不確実性を抱えた社会」が新常態(ニューノーマル)の姿に変容したと考えるとわかりやすい。
 不確実性の現象は新型コロナウイルスが収束したとしても、次から次へと発生するだろうから、企業は競争力を高めるために、「不測の事態に対応し変革する能力」を重視した態勢づくりが不可欠になる。
 効率性や生産性の向上をある程度犠牲にしてでも余裕を持って「変化が起きても対応できる経営体制」の維持、確保のため、パラダイムの変化に対応しなければならない。では具体的には何をどうシフトさせるべきか。

 2020.08.14 デジタル化と成長戦略・人へのワイズスペンディング

 コロナ禍で立ち行かなくなる企業や失われる雇用はできるだけ少なくすべきである。しかしウィズコロナの長期化が避けられない以上、同じ産業構造を守り切ることは難しい。加えて、以前からのトレンドであったデジタル化はいや応なく加速するだろう。政府、民間ともに、新たな成長戦略を模索していく覚悟を決めなければならない。(日経・エコノミスト360°視点 8/14 門間一夫・みずほ総合研究所エグゼクティブエコノミスト稿から)
 ⇒筆者の主張のポイントを要約すれば以下の通り。
 ① デジタル化は世の中を便利にし、ビジネスモデルに多様性と柔軟性を与える。重要なのはここからだ。デジタル化には多くのメリットがあるが、それで経済成長を高められるかは別の問題である。
 ② デジタル化を進めることで、生産性が上がる仕事や企業は多いだろう。しかし、それはあくまで部分最適の話である。多くの経済現象がそうであるように、ミクロの最適化がマクロの最適化を保証するわけではない。
 とくにデジタル化には、その傾向が強い。既存のスキル、つまり「人」の価値を破壊する側面が大きいからである。このジレンマに、人類はうまく対応できてこなかった。ITの進歩は、近年の先進国で賃金が上がりにくい要因の一つになっている。
 ③ コロナ禍を契機にデジタル化を加速させても、賃金の継続的上昇を生むメカニズムを経済に組み込むことができない限り、経済成長率がコロナ前より高くなることはない。
 持続的な賃金の上昇を実現するには、働く人々の平均的なスキルを高め続けるしかない。しかし、市場メカニズムでそれが十分に達成できないことは、これまでの内外の経験で明らかである。
 ④ 教育には公共財的な側面が強く存在する。デジタル化に直接関連するものに限らず、スキルを向上させる教育を政策的にどう支援していくかは、金銭的なリソースの拡充も含めて重要な論点だ。
 経済成長の源泉はデジタル化ではなく、人である。成長戦略に本気で取り組むなら、人へのワイズスペンディング(賢い支出)は欠かせない
 ⇒筆者は「デジタル化と成長戦略は別問題」。なぜなら、デジタル化は、経済成長に必要な賃金の継続的上昇を生むメカニズムを経済に組み込むことができないからだ。
 デジタル化で生産性が上がるのは、「部分最適」の話である。デジタル化は既存のスキル、つまり「人」の価値を破壊する側面が大きいから、「ミクロ(個別企業)の最適化がマクロ(世界や国単位)の最適化」を保証するわけではない。
 経済成長には持続的な賃金の上昇を実現し、働く人々の平均的なスキルを高め続けることが重要なのだ。
 デジタル化に直接関連するものに限らず、スキルを向上させる教育を政策的にどう支援していくかは、金銭的なリソースの拡充も含めて重要な論点だ。経済成長の源泉はデジタル化ではなく、人である。成長戦略に本気で取り組むなら、人へのワイズスペンディング(賢い支出)は欠かせない
 私流にこのようにまとめると、経済学の初学者でも容易に理解できるだろう。成長戦略には労働者の雇用確保と賃金の上昇戦略がポイントになる。
 今回のウイズコロナ危機は、働く人、労働者の保護が最大のテーマであり、今後、人へのワイズスペンディングの分野への政策的教育支援が重要な論点になるだろう。

 2020.08.15 コロナ禍でSDGsは正念場に

 すべての人が平和で安心して暮らし続けるための国際目標「SDGs」が試練にさらされている。コロナ禍で貧困・格差は深刻になり、雇用は世界的に悪化している。日本でも弱い立場の人がしわ寄せを受け仕事を失う。ハラスメントの問題も根深い。
  「世界経済が崖から崩れ落ちたようなものだ。労働市場で不利な立場にいる人たちが最も苦しんでいる」(朝日8/11から)
 ⇒最近、新聞やテレビでよく聞くようになった「SDGs(エスディージーズ)」という言葉は、「Sustainable Development Goals 持続可能な開発目標の略称で、20159月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた国際社会共通の目標だ。
 「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標。17のゴール・169のターゲットから構成されている。地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っている。SDGsは発展途上国のみならず,先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり,日本としても積極的に取り組んでいる。(外務省のHp参照)
 ・国際労働機関(ILO)のガイ・ライダー事務局長は、朝日新聞SDGsプロジェクトのエグゼクティブ・ディレクター、国谷裕子さんとのインタビューで危機感を示した。
 ・ライダー事務局長は、今年第2四半期に世界の労働時間が14%失われたとの試算をもとに、フルタイム労働者の換算で4億人分の仕事が消えたと訴えた。
 ・感染が世界中に広がるなか、経営難から従業員を減らす企業が多い。雇用が不安定になることで、仕事上のハラスメントはより深刻になっている。
 ・こうした状況下で問われるのが、SDGsにおける目標の一つ「持続可能な経済成長と働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)の促進」。目標の重要性とともに達成の難しさが再認識されたが、コロナ禍で実現が遠ざかっているとも指摘されている。(朝日8/11
 ⇒朝日の記事を要約すれば以上の通りだが、この後、職場に蔓延する「ハラスメント」の定義(パワハラ、セクハラ)に触れ、ハラスメント禁止条約「日本も批准を」と訴え、「国は改正労働施策推進法(パワハラ防止法)を6月に施行し企業側に相談窓口の設置などの対策を義務付けた。対象は大企業で、中小企業への適用は224月からだ」と続く。
 コロナ感染拡大が経済社会に大きな影響を及ぼしている昨今、企業はアフターコロナの社会をどう再設計していくべきか。その国際目標「SDGsで持続可能な成長」を正しく理解して知っていきたいという視点から消化不良のままブログを書いている。

 2020.08.16 世界、迫る無秩序の影 戦後民主主義の岐路 Ⅰ

 イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)による国交正常化のニュースが飛び出すなど国際情勢の動きはめまぐるしい。ただ、第2次世界大戦後に生まれた国際システムには「老い」が目立ち、世界には無秩序の影が忍び寄っている。きょう敗戦から75年を迎えた日本にとっても、進路を左右する難題だ。
 戦後、米国が中心となり、2つの国際システムを築いた。平和を支える国際連合と、経済の安定を担う国際通貨基金(IMF)・世界銀行だ。
 ところが米国の国力が下がるのに連動するように、両体制の影響力は衰えている。著しいのは国連だ。
 2011年以降、内戦で死者が数十万人にふくらむシリア。この悲劇を前に国連の安全保障理事会は停戦をお膳立てするどころか、十分な人道支援もできていない。
 ⇒日経のトップ記事のショッキングな書き出しの部分はなんとなく理解できる。以下に高校世界史のレベルでシリア内戦の経緯と背景を簡単に要約して読み進もう。
 ①シリア内戦のきっかけとなった「アラブの春」の火種はジャスミン革命という民主化運動。この民主化運動はやがて近隣アラブ諸国へ広がっていき、エジプトでは30年続いたムバーラク政権、リビアでは42年続いたカダフィ政権が崩壊。サウジアラビアやモロッコ、イラク、アルジェリアでも同様の民主化運動が活発化しこの動きはシリアへも広がっていった。
 ②この中心となったのが政権から虐げられていたスンニ派の人々。彼らを中心とした抗議運動は、その後シリア全土に広がり、シーア派を主とするアサド政権政府軍とスンニ派を主とする反政府軍との間で内戦へと発展した。
 ③アサド政権はロシアやイランの後ろ盾を受け、反撃を行う。これをさらに混乱させたのが当事勢いを増していたイスラム国(ISIS)の介入。
 ④イスラム国が内戦に介入したことで、アサド政権政府軍、反政府軍、イスラム国という三つ巴の戦いが内戦を泥沼化させたがイスラム国は政府軍と反政府軍、諸外国すべてを敵に回したことで崩壊し、政府軍を支持するロシアと反政府軍を支持するアメリカとの対立構図へシフトした。(続く)

 2020.08.16 世界、迫る無秩序の影 戦後民主主義の岐路

 ・この悲劇を前に国連の安全保障理事会は停戦をお膳立てするどころか、十分な人道支援もできていない。シリアのアサド政権を支える中ロが決議案に反対し、ことごとく拒否権を発動していることが一因だ。同年以降、中ロが振るった拒否権は合わせて約25回にのぼる。
 ・中ロがここまで国連を骨抜きにするのは戦後、米国が主導してきた秩序を壊してしまおうと決意しているからだ。国連機関を嫌い、関与を弱めるトランプ大統領の言動は、中ロには渡りに船だ。
 とりわけ気がかりなのは強大な経済力を使い、もう一つの国際システムであるIMF・世銀体制まで切り崩しにかかっている中国の行動だ。
 中国は各国のインフラ建設などに融資している。重債務の途上国向け残高は4年間でほぼ倍増し、18年末までに1017億ドル(約10.7兆円)と世銀に匹敵するまでになった。世銀幹部は不安を深める。
 中国は50年までに米国に代わる超大国になることを目標に掲げ、ハイテク分野でも米国を急追する。これが米国の警戒感に火をつけ、「新冷戦」を招いた。米国は世界の通信網や海底ケーブルから、大慌てで中国の排除に動く。
 ・「アジアや中東、アフリカからも徹底して中国企業を締め出していく。一緒に各国に働きかけてほしい」
 米政権は水面下で、日欧などに何度もこう迫っているという。米国や同盟国以外の主要インフラからも、中国を排除しようというわけだ。
 1940年代後半、世界は米ソの冷戦となり、東西陣営に引き裂かれた。米中の敵対が強まれば世界のデジタルや通信インフラが2つに割れていく恐れがある。
 では、どうするか。当面、やるべきことは2つある。第1にいまの秩序を尊重し、国際ルールに従うよう、米国と友好国が中国により強く促していくことだ。 
 日本、ドイツやフランスを含む欧州連合(EU)、英国、オーストラリアなどが対中政策を密に擦り合わせることが前提になる。
 2に米中が対立しても、せめて世界共通の課題では協力を保てる体制を整えることも必要だ。それには優先順位を明確にし、具体的な協力の目標を定めなければならない。いま最優先なのは当然、ワクチン開発などの新型コロナウイルス対策である。以下省略(本社コメンテーター 秋田浩之稿から)
 ⇒玉音放送の夏から75年が過ぎ、今年も終戦の日が巡ってきた。日刊紙各社は、空襲、戦争、原爆体験など戦争を語る記事や社説が満載されている。
 日経1面に掲載された戦後75年、世界の統治体制が「世界、迫る無秩序の影」「戦後民主主義に岐路」に立たされている」と言うコメンテーターの論理展開に釘付けになっている。長い引用になったが、米中対立の構図から戦後民主主義が岐路に立たされていることを知るため原文を何度も読み返している。

 2020.08.17 GDP実質27.8%減、戦後最大の下げ

  内閣府が17日発表した46月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価変動の影響を除く実質で前期比7.8%減、年率換算では27.8%減だった。マイナス成長は3四半期連続で、減少率は比較可能な1980年以降でこれまで最大だった200913月期(前期比年率17.8%減)を超えた。新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言などにより、経済活動が停滞したことが影響した。13月期は年率換算で2.5%減だった。QUICKが集計した民間予測の中央値は前期比7.6%減で、年率では27.1%減だった。
 生活実感に近い名目GDPは前期比7.4%減、年率では26.4%減だった。名目でも3四半期連続のマイナスとなった。
  GDPは消費税率を10%に上げた191012月期から減少しており、東日本大震災を挟む101012月期から1146月期以来の3期連続のマイナス成長に沈んだ。
  年率換算の金額は485.2兆円。121012月期以来、7年半ぶりに500兆円を割った。(日経・速報2020/8/17 8:50から)
  ⇒4 5月の緊急事態宣言で経済が滞り、外出自粛や店舗への営業自粛要請のあおりで不要不急の支出、特に個人消費が激減するであろうことは、当初から予測されていたことであり、驚きはない。
  ・安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」が黄昏を迎えている。足元の深刻な不況は新型コロナウイルスの感染拡大が直接の原因だが、戦後最長を誇った景気拡大が幻となった上、既に後退局面に入っていた令和元年10月に消費税の増税を強行した“判断ミス”も内閣府研究会の判定で裏付けられた。自民党総裁の任期満了を来年に控え、消費税減税を大義名分に早期の衆院解散に踏み切るのではとの臆測もくすぶっている。(産経・8/16 18:00
  ⇒今日は新聞休刊日なので日刊紙各社が同じ記事を配信している。産経新聞はこの記事に先立ち1日前の夕刻に速報「アベノミクス」の黄昏 消費減税解散にくすぶる臆測」で見事な政界予測を書いていた。
  ・現状では、消費のV字回復は難しい。そこで自民党内で取り沙汰されるのが、景気刺激に向けた時限的な消費税減税だ。
  英国やドイツなどは、コロナ禍で既に日本の消費税に相当する付加価値税の減税に踏み切った。2611月の衆院解散では消費税率10%への増税を先送りするか否かが総選挙の大義名分となった経緯があり、景気後退期に引き上げてしまった税率を下げるなら、十分な口実になるというわけだ。
  ・欧州ではコロナ減税  コロナ禍による戦後最大の経済危機を乗り越えるため、政府は事業規模120兆円超という空前の補正予算を編成。景気が底を打つ“谷”は緊急事態宣言が解除された5月だったとの見方もある。ただ解除後の感染再拡大でまた下押しされるのは避けられず、回復の流れが続くかは不透明だ。
  ⇒現段階で安倍内閣の「消費減税早期解散」を支持する国民は少ない。コロナ禍はその対応に確たる正解がなく手探りの政府の対応が続くのはやむを得ない面も多いが、何かとドタバタ、思い付きの施策が多い。私が消費減税、早期解散に賛成することはない。自民政権維持のための解散、総選挙ではなく、アフターコロナの長期展望を見据えた国家・国民第1の政治を期待するからだ。

 2020.08.19  日本のGDP、コロナ前回復予測は

 日本経済の低迷は長引くとの見方が広がっている。実質国内総生産GDP成長率は202046月期まで3四半期連続のマイナスとなった。感染再拡大に対する懸念が強く「V字回復」は難しい状況だ。民間エコノミストの間では、GDPが直近のピークである1979月期の水準を回復するのは24年ごろとの見方が多い。(日経(8/18)
  内閣府が17日発表した46月期のGDP(速報値)は、物価変動の影響を除いた実質の季節調整値で前期比7.8%、年率換算で27.8%減った。戦後最大の落ち込みを記録したことを受け、日本経済新聞が22人の民間エコノミストに79月期以降の見通しを聞いた。
  ⇒経済成長率の年率換算の計算式と意味する内容を十分理解せず「日本の経済規模が3割弱も失われた」、「これは大変」と先行きを悲観された方は多いだろう。
  経済成長率は国内総生産の(GDP)変化率として示され、内閣府によって公表されている。この経済成長率については、四半期毎の前期比と、その前期比を簡単に言えば4倍したものが年率換算の数字になると考えてよい。(正確には、年率={(1+前期比)~41}×100(%))
  つまり、年率換算とは、現在の前期比が今後1年間継続したとしたら、その年度の経済成長率がどうなるか?を示す仮の数字と考えてよい。年率換算▼27.8%減のマイナス成長とは、4-6月期の前期比▼7.8%減が、7-9月期▼7.8%減、10-12月期▼7.8%減、翌年の1-3月期▼7.8%減と、毎期、毎期▼7.8%減のマイナス成長を続けるものと想定していることを理解しておきたい。
  従って年率換算▼27.8%減のマイナス成長は46月期のコロナ禍の特異な状況が1年間にわたって継続するものとして計算されている数字なので「戦後最悪」「過去最大」の見出しで今後の契機予測を語る場合は注意が必要だ。
  79月期は予測通りでも500.4兆円で、直近のピークである1979月期の水準(539.3兆円)には遠い。1年後の2179月期でも517.9兆円にとどまる。
  ピークを回復する時期をエコノミスト22人に聞いたところ、「24年」との回答が9人で最も多かった。6人が最も早い「22年」と回答した。(日経)
  ⇒民間エコノミストによる「日本のGDPがコロナ前の水準に回復するのは「24年」との見方多い。コロナ禍による予測不能の懸念材料も多いが、この予測は現時点では信用できるのではないだろうか。
  傍白 
  「GDP戦後最悪/再生への戦略を練り直せ」。速やかに臨時国会を召集し、安倍晋三首相が感染の現状認識と今後の方針を国民に示すべきだ(神戸新聞・社説08/19)。論理展開は異なるが併せ読みたい。

 2020.08.20 100年に一度の危険な夏なのだから

  暦の上では「残暑」というのに、全国的に「危険な暑さ」が続く。今年は新型コロナウイルスの感染対策とともに熱中対策にも最大の注意が必要だ。(神戸新聞・社説/08/20から)
  ⇒今日の神戸新聞社説子は、連日の危険な暑さに「熱中症への警戒を最大にし、コロナ予防に最善を尽くしたい」と呼びかけている。
  ・特に高齢者は用心が必要だ。暑さを感じにくく、体温調節の機能も低下しているためで、65歳以上が全国の救急搬送の約6割を占める。
  屋内でも危険性は高い。死亡例で目につくのは、エアコンがないか、あっても作動していない室内で発見されたケースだ。昼夜を問わず冷房をしっかりと使うよう心掛けたい。
  ・子どもの熱中症にも例年以上の配慮が要る。コロナ対応の休校措置に代わって夏休みが短縮され、猛暑の中で授業が始まっている地域が多い。子どもが暑さや息苦しさを我慢しすぎないよう、学校でも適切な声かけを心掛けてもらいたい。
  ⇒高齢者はステイホームを守り、できれば24時間エアコンの効いている室内に居たい。こまめな温度調節と、ときどき窓を開放して換気をしたい。水分や塩分の補給も必要だ。
  ・新型コロナウイルス「第2波」のまっただ中の猛暑である。熱中症の予防はコロナ対応に追われる地域の医療現場の負担軽減にもつながる。一人一人が意識し、互いの体調を気遣って厳しい夏を乗り切りたい。 
  ⇒すでに国民周知のことで、どこにも新鮮さがないが、今夏の異常な猛暑を乗り切るために、すべての国民に「わがこと、わが家族のことだ」と理解し、命を守るため、一人ひとりの自覚が求められているのだ。
  残暑の記録的猛暑に負けず、コロナに勝とう。今夏は100年に一度の危険な夏なのだから。皆さま ご自愛第一に。

 2020.08.21 コロナ危機への政権対応

  谷口将紀 東京大学教授(日本経済政治論)が、「コロナ危機への政権対応 官邸主導の誤用、混乱招く」とする研究成果を紹介している。(日経・経済教室/21
  ポイントは、以下の3
  ① 感染症流行は想定されながらも準備不足、
  ② 専門的知見や証拠に基づく政策決定軽視、
  ③ アベノミクスを貫徹できなかったツケも
  ⇒安倍首相の新型コロナウイルス主要感染症対策であるアベノマスク、特別定額給付金、GoToトラベル事業、どれをとっても行き当たりばったりのドタバタ施策のためその混乱が続いた。では、なぜ、安倍政権はコロナ対策で十分な成果を上げられなかったのか。
  ・ここに至って新型コロナ対応の不首尾と官邸主導の政治体制を短絡する議論がみられる。確かにアベノマスクもGoToキャンペーンも、官邸官僚の思い付きが迷走のもとではある。だがこうした事例をもって、官邸主導「ゆえの」失政と断じてよいものだろうか。
  官邸主導とは、与党と官僚のそれぞれに対する首相のリーダーシップを意味する。もしかつての党高政低(与党の政府に対する優位)のままだったならば、族議員に押されて「お肉券」や「お魚券」が現実化したかもしれない。官僚主導が続いていたら、法務省の抵抗を前に、感染拡大国・地域に滞在歴のある外国人の入国拒否は遅れていただろう。むしろ官邸主導「にもかかわらず」、あるいは官邸主導の「誤用」に基づく不出来というほうが適切なように思われる。
  ⇒筆者は上記に続き、「安倍政権の新型コロナ対応には3つのつまずきがある」という。
  ・第1に同じ危機対応でも自然災害のノウハウは蓄積されていたのと比べ、感染症対策については備えが不十分だった。台湾では03年のSARS流行の教訓を生かし、圧倒的な初動で封じ込めに成功した。韓国では15年のMERS流行の経験を基に、民間機関を含めた検査体制を拡充していた。
  日本も無策だったのではない。09年の新型インフルエンザの経験を踏まえ、翌年に新型インフルエンザ対策総括会議が広範な報告書をとりまとめている。全般的な提言は5つだ。
  (1)水際作戦や学校閉鎖には限界があり、複数の対策の選択肢を用意しておく。(2)国の意思決定プロセスと責任主体を明確化して、現場の実情や専門家の意見を的確に把握し、迅速かつオープンに意思決定するシステムを作る。(3)地方自治体を含め実践的訓練を重ね、役割分担を確認しておく。(4)米疾病対策センター(CDC)などを参考に、感染症危機管理に関わる組織や人員を大幅に強化する。(5)必要に応じて感染症法などの見直しを行う。「提案が十分に顧みられていればとため息が出たのは筆者だけではなかろう。
  2に政治決断にはやるあまり、専門的知見やエビデンス(証拠)に基づく政策決定を軽視するきらいがある。特に専門知識の活用方法、つまり有識者との役割分担に丁寧さを欠く。
  3にアベノミクス「3本の矢」を貫徹させられなかったツケだ。12年以降の自民党は小泉~麻生内閣期の自民党よりも右傾化し、有権者とのイデオロギー距離が拡大した。それでも自民党が長期間政権を維持できた理由は、経済政策への期待により獲得した圧倒的多数の議席、すなわち「政治的貯金」を、特定秘密保護法や集団的自衛権、共謀罪といったイデオロギー色の強い施策のために費消してきたからだ。
  ⇒長い引用になったが私には「なるほどそうなのか」と納得できる。では、挽回の余地はもう残されていないのか。あるとすればそのアイディアは・・
  ・厳しい言葉を連ねたが、まだ挽回の余地はある。新型コロナとの戦いは終わっていない。どのようにして第2波を食い止め、冬将軍をいなすか、これまでの反省を生かすときだ。秋以降は「ワクチン政治」も課題になろう。今のところワクチン確保はうまくいっているようだが、ワクチン開発が成功した場合に接種の優先順位をどうするか、決定と説明のハンドリングを誤らないようにしたい。
  そして何よりもポスト・コロナの社会経済ビジョンを人々と共有することだ。アイデアは市井にほぼ出尽くしており、後は実行に向けて道筋を付ける。これこそ長期政権の掉尾(とうび)を飾るにふさわしいレガシー(政治的遺産)である。
  ⇒筆者はポスト・コロナの社会経済ビジョンを築く「アイデアは市井にほぼ出尽くしており、後は実行に向けて道筋を付ける」ことだと言う。市中に氾濫するアイディアをどのようにまとめ実行するのか。安倍政権のレガシーになる日は遠い。

 

2020.08.23 首相、連続在任最長 官邸主導の7年半 今日の日経から

安倍晋三首相の連続在任日数が23日、2798日となり大叔父である佐藤栄作氏の最長記録に並んだ。24日に記録を更新し単独で歴代最長となる。首相の自民党総裁としての任期は20219月末まで。残り任期1年あまりで、新型コロナウイルス対策や憲法改正などの課題に取り組む。
  24日に首相在任日数が単独トップとなる安倍首相。「安倍1強」とも呼ばれる官邸主導の体制が7年半を超す長期政権を築いた。足元は新型コロナウイルスへの対応で試練を迎えている。第2次安倍内閣の歩みを振り返ってみたい。
  ・首相は069月に就任した。第1次政権は自身の体調不良により1年で幕を閉じ、自民党の野党転落後に総裁として臨んだ1212月の衆院選で政権を取り戻した。
  ⇒私がブログを始めたのは、121226日投票の衆院選に、地元から立候補した藤井比早之代議士の応援に多可町・ベルディホールに見えた安倍総裁の演説を聞き、後に安倍内閣の経済再生の推進力になる「アベノミクス」に共鳴したからだ。
  ・同年1226日に第2次政権が発足すると、14年と17年の衆院選や131619各年の参院選で勝ち、7年半以上にわたり政権を維持してきた。
  ⇒長期政権維持の経過は以下の通りだ。アベノミクスによる景気回復の一方消費税増税の判断では予定通り行わず、以下の通り延期して衆院解散・総選挙で国民に信を問い勝利した。
  ・民主党政権は144月に5%の税率を8%1510月に10%にそれぞれ引き上げると決め、野党の自民、公明両党も合意していた。
  首相は144月、予定通り8%に上げた。増税前の駆け込み需要対策を打ったものの増税後の景気落ち込みは想定を上回った。この経験から、最優先する経済や政権運営への悪影響を懸念して、10%への引き上げには慎重を期した。
  1411月には増税時期を174月に1年半延期すると表明した。衆院解散・総選挙で国民に信を問い、勝利した。
  さらに個人消費の伸び悩みなどを踏まえ、首相は16年の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で「リーマン・ショック前と状況が似ている」と説明し、直後に増税を1910月に再延期した。在任中に消費税を2度増税したのは安倍首相が初めてとなる」(日経4面参照)。
  ⇒私は「消費増税は三党合意に基づき粛々と行うべし」と考えていたが、144月、予定通り8%に増税した後の景気の落ち込みが安倍政権のトラウマとなり、増税延期、使途変更を問い解散総選挙で勝利した。
  ・首相は当面、新型コロナ対策を最重要課題に挙げる。4月に特別措置法に基づく緊急事態宣言を初めて発令した。足元では感染が再拡大する「第2波」の懸念がある。
  20年夏に開く予定だった東京五輪・パラリンピックは21年夏に1年延期した。開催の可否は国内だけでなく海外の感染状況も関わってくる。
  改憲について首相は「党総裁の任期中に成し遂げたい。その決意に変わりはない」と繰り返す。自民党は9条への自衛隊明記を含む4項目の改憲案をまとめたものの、衆参両院の憲法審査会での議論は停滞する。
  最近は17日に都内の病院で日帰り検診を受けるなど、政府・与党内で首相の体調を懸念する声も出ている。
  衆院議員は211021日に任期満了を迎える。首相が衆院解散・総選挙に踏み切らなければ、後継となる新総裁が信を問うことになる。自民党内ではすでに「ポスト安倍」をにらんだ動きが活発になっている。
  ⇒官邸主導で」7年半続き、24日には単独で歴代最長となる安倍政権、コロナ禍と自己の体調懸念により様相が一変した。
  ・衆院議員は211021日に任期満了を迎える。首相が衆院解散総選挙に踏み切らなければ、後継となる新総裁が信を問うことになる。自民党内ではすでに「ポスト安倍」をにらんだ動きが活発になっている。
  ⇒今後、安倍政権が2010月解散総選挙に踏み切るのか、2110月任期満了まで解散総選挙を行わないのか。安倍政権の「レガシー」は。「ポスト安倍」をにらんだ動きが活発になること以外、何も分からない。
  傍白
  有識者による安倍首相の政権運営について、日本総合研究所理事長 翁百合氏は、経済政策では「看板政策に成果が乏しい」と総括し、東大名誉教授御厨貴氏は、「安倍晋三首相の個人的なリーダーシップが鋭かったというよりも、首相を中心とするベテランチームで内閣をつくったのがうまくいった理由だ。政権交代が可能な野党が不在なのも追い風になった。
  今後もうまくいくかというと息切れしているのが現状だ。これまでうまくいった秘訣は、次々に看板を替えて「やっている感」を出したことだ。しかし新型コロナウイルスの感染拡大が起こり、「やっている感」政治が止まってしまった。一気に弱点が露呈した」と述べている。
  ※ 御厨貴さんは、翌日の朝日で、安倍政権のレガシーは、「政策よりも(長く)続いたことがレガシー」だと述べている。

 2020.08.25 学校教員のICT教育とオンライン教育の進展

ポストコロナの学校教育を巡る議論が盛んだ。政府の教育再生実行会議では「対面とICTのハイブリッド化による対話的・協働的な学びの深化」「デジタル教科書の普及・促進」などが検討課題に挙がる。変革は必要だが、教員に対応能力がないと、かつて「総合的な学習の時間」が始まった時のような混乱や形骸化を招きかねない。(日経・8/24から)
  ⇒兵庫教育大(兵庫県加東市)が目指す先端的な指導法を身につけた教員の養成について、加治佐哲也学長が「教師にICT活用力」をテーマに「現場を活性化 好循環の実現」とする意見を寄稿している。以下、教師のICT活用力養成に限定して紹介して意見を述べる。
  ・ウィズコロナ、ポストコロナの時代に学校教育は大きく変わるだろう。その中で教師には使命感や教育的愛情といった不易の資質に加え、「ソサエティー5.0」(超スマート社会)を見据えた能力が求められる。
  1に、ICT(情報通信技術)を指導に活用する力だ。オンライン教育が学習の保障に不可欠となり、文部科学省は児童生徒への11台の端末整備を前倒しした。
  ICTを活用できる力とその覚悟が、すべての教師に必須となる。まずはデジタル教科書を有効活用できる力が必要だ。分かりやすいオンライン教材などによる効率的な研修が望ましい。
  ・これからの教職はICTを駆使し、子ども一人ひとりに最適な学びと協働的な学習をつくり出す仕事である。AIが進化してもなくならない創造的な職業として認知されれば、企業などの優秀人材が目を向けるようになるのではないだろうか。
  ・新時代の教師像を実現するには大学の教員養成カリキュラムも変えなくてはならない。教育にICTを活用する「エドテック」と、理工・人社・芸術・体育のあらゆる教科・領域を組み合わせて課題解決力を養う「STEAM教育」を大幅に導入する必要がある。最新の研究成果を取り入れた体験活動と児童生徒理解の科目も充実すべきだ。
  ・そのため本学はカリキュラムの構造改革を構想している。教師全体の能力の底上げとリーダー的教師の養成が狙いだ。
  ⇒兵庫教育大の「新カリキュラム」は2つの層(レイヤー)からなる。コモン・レイヤーは学部と大学院に置く全学生共通のプログラムだ。ここではエドテック、STEAM教育、教育ビッグデータ活用の基礎力を身につける。プログラミング、情報リテラシー、PBL実践法、教育データサイエンスなどを学ぶ多くの科目を新設する」。
  ⇒ここまで読んで、地方の小都市ばかりか多くの都市で、GIGAスクール構想によるオンライン教育が進展しない理由が理解でたように思う。
  兵庫教育大がこれから目指すICT活用ができる教員が現場にどれくらいいるのか。1人1台のパソコンはすでに購入済にもかかわらず、オンライン教育が進展しないのは、現場教員にICT教育機会がなく、理系教員が教育長や校長の命を受け孤軍奮闘しているだろう。
  現場教員で対応するのであれば、ICT指導専門員を各校に配属し、利用するソフトの研修後、初めて可能になるのではないだろうか。
  もちろん、兵庫教育大・大学院のICT新カリキュラムを科目履修するのは効果的だ。しかし、それには日常業務で多忙を極める現場教員には時間がない。
  文科省はハードの予算措置は前倒したが、現場教員のICT教育への配慮が足りない。これではオンライン教育が進むはずがない。

 

2020.08.26 コロナの影響、学校基本調査から
  51日時点で大学の学部に在籍する学生は前年度より14752人多い2623900人で、このうち女子学生は45.5%を占める1193537人となり、いずれも過去最多を更新したことが25日、文部科学省が公表した2020年度学校基本調査(速報値)で分かった。
  学部に限らず大学に所属する学生のうち、社会人の聴講生や特定科目だけの履修生を含む「その他」については、前年度より16350人少ない32996人となり、大幅に減少。新型コロナウイルス感染拡大の影響で大学の休校が続き、聴講生などの募集が縮小した可能性がある。(共同通信8/25配信)
  ・文部科学省が25日に公表した2020年度学校基本調査(速報値)によると、大学の講義を一部だけ受けられる聴講生や科目等履修生などが、51日時点で前年比約16千人減少した。新型コロナウイルスの影響で募集を停止した大学が多かったことなどが要因とみられる。社会人の学び直し(リカレント教育)への影響を懸念する声も出ている。(日経/8/25から)
  ⇒この2つの記事のポイントは、① 大学・学部学生数は微増傾向が続いている、このうち女子学生は45.5%であり、女子学生は増加傾向が進んでいる。② 一方、聴講生や科目等履修生の減少による社会人の学び直し(リカレント教育)への影響を懸念する声が出ていることだ。
  若者のキャリア形成の登龍門である大学・大学院入試は、20年度は従前通り実施できたが、次年度入試はコロナ禍の継続により詳細未定校が多い。
  20年度入学生は大半の大学がオンライン授業やビデオ授業を行っている。コロナ禍の終息により大学、大学院の授業や聴講生や科目等履修生の授業が早くキャンパス内で教室での対面授業に戻ることを期待しているが、アフターコロナの「ニューノーマル」ではオンライン授業が大きく進展するという意見が多い。
  傍白:
  昨日は小中学校のオンライン授業の進展について、兵庫教育大学・加治佐哲也学長の寄稿から「教師にICT活用力」をテーマに「現場を活性化 好循環の実現」とする意見を紹介した。
  今日は文部科学省が公表した2020年度学校基本調査から「大学・大学院のオンライン授業の進展」について現況を分析した。

 2020.08.28 ポリオ根絶/対策「コロナにも通じる」

  人類が天然痘に次いで根絶をめざす感染症ポリオ(小児まひ)について、世界保健機関(WHO)は25日(日本時間26日)、アフリカでの根絶を宣言した。残るのはパキスタンとアフガニスタンの2カ国。ワクチン接種の徹底でおさえ込んだ。対策のひとつである感染者の発生の監視は、新型コロナウイルス対策にも通じる部分があると専門家は指摘する。
  ・WHOが世界での根絶を目指すと決めた1988年時点で、患者は125カ国で年35万人と推計された。アフリカはナイジェリアで20168月を最後に(ワクチン由来ウイルスではない)野生株の患者が確認されていない。
  日本は1960年に大流行したが、野生株の患者発生は80年が最後だ。残るパキスタンとアフガニスタンは武装勢力の支配地域で子どもにワクチンを接種する活動が難しく、世界的な根絶には壁もある。(朝日8.27から)
  ポリオ(脊髄性小児麻痺,急性灰白髄炎)は、発熱、嘔吐、傾眠、四肢の痛みを訴え、解熱するころ麻痺が急に出現するのが特徴である。左右対称でなく、多くは下肢で、ついで上肢に多くみられ、呼吸筋麻痺をおこすと生命の危険がある(日本大百科全書参照)
  私は1944(昭和19)年の夏、三重県下で流行した脊髄性小児麻痺に罹患し、両下肢機能に著しい障害が残った。生涯不自由であったが、いつも周りの良き理解者に助けられ、後期高齢者の今日を迎えた。
   「ユニセフ、JICA、ビル&メリンダ・ゲイツ財団はじめ、国際ロータリー財団などが、子どもへの接種を支援してきたことにより、「ポリオ撲滅運動」が功を奏していることをうれしく思う。
  ・新型コロナと単純な比較はできないものの、感染動向の把握は「新型コロナに教訓が生かされている」と、国内外でポリオ対策に携わった川崎医科大学の中野貴司教授は言う。「ポリオは数百人が感染してまひが出るのは1人という病気で、隠れた感染者を探すことが重要。新型コロナウイルスも無症状感染者がとても多い病気で、隠れた感染者を探すという点でまさに新型コロナも同じ」
  監視の方法も、ポリオと新型コロナでまったく同じではないが、新型コロナで無症状でも感染の疑いがある人にPCR検査をしたり、発熱など特徴的な症状から感染者を見つけ出したりする点で似通うと指摘する。
  監視の方法も、ポリオと新型コロナでまったく同じではないが、新型コロナで無症状でも感染の疑いがある人にPCR検査をしたり、発熱など特徴的な症状から感染者を見つけ出したりする点で似通うと指摘する。
  ⇒私のポリオ感染当時、どのような検査や治療が行われていたのか知り様もないが、発熱、嘔吐、傾眠、四肢の痛みに対する決定的治療法はなく、手探りの対症療法が行われていたのだろう。ポリオ感染動向の把握が「新型コロナに教訓が生かされている」と言うご意見に驚いている。

 

2020.08.29 未完のアベノミクスと今後の経済政策

安倍晋三首相が辞意を表明し、約7年半続いたアベノミクスは区切りを迎えた。新型コロナウイルスの感染は収束が見えず、経済政策は危機モードのまま財政支出や金融緩和頼みの構図が続きそうだ。安倍首相の政策は511カ月に及ぶ景気回復と株価の上昇を支えたが、構造改革による成長力の引き上げを重い宿題として残した。(今日の日経から)
  ⇒現在、私の最大関心事である次期政権の想定される経済政策について政府の当面の対応について述べる。
  ・(9月末に締め切る2021年度本予算でも)財政支出や金融政策頼みは続く公算が大きい。金融緩和、財政出動、成長戦略。「3本の矢」を掲げ、13年から本格化したアベノミクスによる景気回復は1810月で終わった。そこに新型コロナの感染拡大が重なり「2本の矢」頼みは一段と強まった。
  ・財政頼みが続けば、財政健全化も一段と遠のく。新型コロナ対応の20年度補正予算で120兆円を超える規模の財政支出を盛り込み、国と地方の基礎的財政収支(PB)の赤字は国内総生産(GDP)比で19年度の2.6%から20年度は12.8%に急拡大する。25年度に黒字化する目標を維持できなければ、国債の格下げなどを通じて経済に負の影響が出かねない。
  1212月に4.3%だった完全失業率は1912月に2.2%まで下がったが、足元では新型コロナ対策の影響で2.8%の上昇に転じている。ウイルス感染が長期化した場合にどう政策を組み合わせて経済の底割れを回避するか。持続的な経済成長に向けて次期政権に突きつけられる課題は重い。(日経8/29
  ⇒第2次安倍政権の発足後、アベノミクスにより株価は10,230円(121226日)から最高22.882円(1910月)まで上昇した。また、85円台の円高が解消し、105円台の円安になった。
  一方、DGPは498兆円から540兆円まで増加したが、コロナ禍でアベノミクス前の485兆円の水準になってしまった。ただ、完全失業率は安倍政権下で低下し、発足当初の4.3%から1912月に2.2%まで下がったが、足元では新型コロナ対策の影響で2.8%の上昇に転じた。
  アフターコロナの世界の経済が見通せない中ではあるが、日本の景気回復の最大の課題はアベノミクスで積み残した「生産性向上」になるだろう。
  傍白
  今日の日刊紙各社は、安倍晋三首相の辞意表明に関する社説や記事を満載している。社説の標題をみれば、社の立ち位置が分かる。ご関心のある方は是非ご一読ください。(ネットで検索可能)
  ・コロナ禍に政治空白は許されない(日経・社説)
  ・首相退陣表明 危機対処へ政治空白を避けよ(読売・社説)
  ・すみやかに自民党総裁選「安倍政治」を発射台にせよ(産経・主張)
  ・最長政権 突然の幕へ 「安倍政治」の弊害 清算の時(朝日・社説)
  ・安倍首相が辞任表明 行き詰まった末の幕引き(毎日・社説)
  ・首相退陣表明/「1強」の弊害を改める契機に(神戸新聞・社説)

 

2020.08.31 小野市、加東市 水の物語

旧加東郡域(現在の小野市、加東市)は、雨量の少なさや、丘陵台地の多さから、農業の生命線ともいえる農業用水が不足がちであった。このような状況は、文化に影響を与えただけでなく、人々に血の滲むような努力を強いた。
  ⇒兵庫県は全国で一番ため池が多い。県内では淡路地域に次いで、北播磨地域が多い。「広報かとう」 令和2年9月号では、旧加東郡域(現在の小野市、加東市)における先人によるため池新造の知恵と苦労を紹介している。長文なので短く要約して紹介したい。
  現在の加東市松沢地区内にあった安政池の大規模アースダム化工事(主に土を使い台形状に形成するダム)は、安政31856)年に着工し、2年後の安政51868)年に竣工した。以後、受益地である松沢村は豊作であったと伝えられている。
  明治維新後も農業用水は慢性的に不足していた。明治161883)年、大正131924)年の大旱魃により農業用水計画は本格化した。
  大正末期、旧市場村(小野市市場町)村長の近藤準吉氏が播州清水寺を参詣途上、上東条村黒谷字土井の標高120メートルの山間を流れる小さな鴨川、盆地で一筋の割れ目に着目、その割れ目を塞ぐだけで池になると考えた。
  以後、東条川上流の大川瀬に大貯水池を、鴨川の土井に補助ダムを設け、それらを導水路で結び、広範囲にわたる灌漑・開発を推進する事業計画が練られていった。
  一方、旧加東郡北部の農業用水を確保するため、昭和31928)年、昭和池の築造工事が先行着手、昭和81933)年竣工した。
  戦後の食糧政策から土井集落住民苦渋の決断による立ち退き、移転が完了、昭和261951)年、鴨川ダムが竣工。引き続き昭和341959)年、補助ダムとして船木池(小野市万勝町、アースダム)が完成、昭和38年(1963)年、安政池(アースダム)の2つのダムを調整池として約1000万トンの貯水量をめざした。そして3つのダムの貯水を受益地末端まで送る全長約17キロの「幹線水路」が設置された。
  昭和40年代に入り、農業用水の需要にも変化が生じ、上水道と共同利用が決定、現在、昭和26年(19511130日誕生した「兵庫県東播土地改良区」が引き続き管理運営している。
  知っているようで知らない「小野市、加東市 水の物語」を感動しながら読んでいる。(間もなく加東市のHpに掲載される原文をお読みください)。


2020.07.01 伝統の「筧漁」10年ぶり大漁 名勝・闘竜灘

  兵庫県加東市上滝野の名勝・闘竜灘で、観光用に設置されている伝統の「筧(かけい)漁」によってアユやハイジャコが次々と岩床に打ち上げられている。これほどの大漁は10年ぶりといい、関係者は「跳ねた瞬間、アユのうろこがきらりと光る姿は美しい。涼を感じてもらえたら」と見学を呼び掛けている。(神戸新聞 6/26から)
⇒私は過去に2回、闘竜灘の筧(かけい)漁についてブログを書いている。ご一覧ください。

2017.7.31 今日の朝日歌壇から
  半夏生水のしぶきを浴びるまで鮎止めの滝に近寄りにけり 
 (三島市 森島久志) 選者:高野公彦選者評:暑い半夏生7月2日ごろの作だが、内容は涼感たっぷり。
私の住む街の闘竜灘は、加古川中流の加東市上滝野(対岸は多井田)にある景勝地。石英粗面岩の奇岩怪石が川床に起伏し、激しい流れが岩の上を走る。
名称は幕末の詩人梁川星巌の詩による。ここは舟運の難所であったが、近世初期に旧滝野の庄屋、阿江与助が、岩盤を削り「掘割り」(人工の水道)にして以来、高瀬舟が往来する加古川水運の中継地として栄えた。
  また、昔から「飛び鮎」の名所として知られ、「架け樋」の下流直下の滝つぼに作った水たまりから落差を飛び上がって集まる鮎を籠に集める独自の漁法(架け樋漁という)がある。
  私は、19788月、旧滝野町に開園した「播磨内陸中央公園」が、闘竜灘、光明寺を一体として開発工事が始まったとき、「闘流灘のような比較的小規模、かつ自然そのものを母胎とする景観は、地域住民が、心の広場として利用することから開発を進めて欲しいと願っている。
  そのためにはまず、闘竜灘に架かる錦雲橋までの小さな板の橋を鋼鉄製として、危険個所にはすべて手すりをつけ、自然を損なわない程度に小さな遊歩道を広範囲に走らせ、ところどころに固定式ベンチを取り付けることを提案した(バランスくずさないで・新東播 1978/1/1)。
  その後、播磨中央公園と名称が変更され、整備が進み、県下最大の桜の名所になった。
  加古川線の電化も実現。闘流灘に架かる「錦雲橋」はコンクリート製の「水中橋」になり、私の期待通り、地域住民のいこいの場として利用されている。
ところが、上流に農業用水取水用のダムができていたこともあり、闘竜灘の水量が少なく、農繁期以降は歩いて渡れる程のみずぼらしい川になる。これでは、加古川が水なし川になる時期が出てくる可能性すらある。
  この度の加古川大改修工事で上流から流れてくるゴミは激減するが、川辺の景観、水資源、鮎をはじめ川魚保護が心配だ。以前の河川改修では闘竜灘の岩石は阻害物の代表。合併前の滝野町時代に爆破する計画まであった。
  闘竜灘は親水のモデルだ。鮎が加古川大堰の魚道を昇って、昔の飛び鮎や川ガニ(モズクガニ)漁が再現すればうれしい。終戦後かなり長い間、地元では掘割りに木製の堰を作って、川水を滝の側に誘導していた。私は、今回の加古川大改修と同時に遠隔操作の可能な「電動・可動堰」を造ってほしいと提案している。ただ、この提案、川筋に育った者にしかわからないだろう。

2017.9.21 闘竜灘の筧漁 今日の神戸新聞から
 兵庫県加東市上滝野の名勝・闘竜灘でアユやハイジャコなどの魚が、伝統漁法「筧漁」の仕掛けにかかって次々と岩床に打ち上げられている。台風の影響で加古川の水量が増えて流れが速くなり、流されて遡上しようとする魚とみられる。同市観光協会は「全国的にも珍しい漁法。岩場に近づきすぎないように気を付けて見てもらいたい」と呼び掛けている。
  私は、毎日のように加東市上滝野の闘竜灘を覗く。最近では実際にアユやハイジャコが飛び跳ねる様子は見たことがない。「飛鮎や飛雑魚」は、水量、水温、時間帯により微妙に異なり実際に見ることは難しい。
  筧漁は「昭和40年代まで行われていたが、水質悪化や堰ができたことなどで下火になった」。ところが、現状は下火どころか、ほとんど見ることがなくなって久しい。
  加古川上流のパルプ工場の廃パルプ液や染色工場の染色汚水で「泡が一杯、真っ黒の水」が流れていた時期を除き、加古川下流に取水堰ができたことも大きく影響している。
  最近では筧かけの仕掛けは、観光客向けに設けてあるが、魚が打ち上げられる様子は、例年、増水した直後に時々見られるというさびしい状態になっている。
 ・江戸時代から継承される筧漁は、滝水に飛び付くアユの習性を利用した漁法。川の水を「樋」で岩場に引いて人工の滝を作り、アユを遡上させる。滝を昇り損なったアユが岩床に打ち上げられ、跳ねながらかごの中に落ちる。
  私が小学生の頃までは、毎年、闘竜灘の筧漁は地域住民の楽しみであった。また、奇岩、怪石、激流の闘竜灘のすぐ上流の小わんで水泳をし、サイ針というツケ針漁法で、田んぼの溝で獲った泥鰌を餌にして、ナマズ、ギンタ、たまに鰻を獲ったことが懐かしい。
  最近、闘竜灘下流で加古川大改修工事が始まり川幅が大きく拡幅する。川の安全性が増すことはうれしいが、闘竜灘の水量の減少が危惧される。
  加古川本流は、闘竜灘のすぐ上流の小荒場で、本流は闘竜灘に、もう一方は「掘割」と称する浅瀬の水路の二手に分かれる。
  昭和40年代頃までは、夏場の水量の少ない時は、この掘割に人口の可動堰を作り、闘竜灘側の水量の減少を防いで飛鮎を楽しんだ。
  私は、加古川大改修の際には「鋼鉄製の電動可動堰」を築造することを期待している。浅瀬の水路を拡幅して本流を付け替える発想は過去に何度もあった。
  残念なことだが、私の提案が評価されることはない。今や、どこにでもある小さな観光地、河川改修効率第一主義かと思いたくなるのは川筋に育った者のひがみだろうか。
 掘割は、慶長十一(1606)年丹波本郷からの貢米を高砂港まで輸送するため、滝野の阿江与助たちが川底の岩石を除去し浅瀬に水路を通した。以後加古川舟運は長く栄えた(阿江与助像の解説文から)。


 2020.07.03 コロナ禍による不景気対策

  日銀が発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)は新型コロナ禍による企業の苦境を浮き彫りにした。経済の先行きは予断を許さない。政府・日銀はさらなる対策が必要となる事態も視野に抜かりなく備えてほしい。(日経・社説7/1から)
  ・政府は空前の規模の補正予算を続けざまに組み、日銀も企業の資金繰り対策を中心に春先から相次ぎ対策を打ち出した。ゼロ金利で金融機関に資金供給し企業に融資を促す制度などが、企業を下支えしているのは間違いない。
  ・経済再開で企業の景況感が持ち直せば設備投資も上向くとの声もある。だが本格的な感染の第2波が来ないことがこのシナリオの前提だ。国際通貨基金(IMF)もそのリスクを視野に入れ始めた。日本も万全の体制でのぞみたい
  ⇒1日発表の日銀短観によると、景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いた業況判断指数(DI)のポイントは以下の通り。
  ①大企業製造業:26ポイント悪化のマイナス3411年ぶりの低水準。
  ②大企業の非製造業:25ポイント低下のマイナス17%、悪化幅は過去最大。
  ③資金繰り判断指数:10ポイント低下のプラス3、低下幅は46年ぶりの大きさ。
  ④雇用人員判断指数:22ポイント上昇のマイナス6%、上昇幅は過去最大(人手不足感薄れる)
  20年度の設備投資計画:前年度比0.8%減、3月調査から(0.4%)から下方修正。
  なお、中小企業では製造業ではマイナス45%、非製造業ではマイナス26%だった。これは、リーマン危機以来の低い水準だ。(日経2020.7/2参照)
  3か月後の先行きの見通しでは大企業が改善、中小が悪化している。これでは景気のV字回復は期待し難い。あり得ないと言ってもいい。精々U字回復のような底這いの状態が続き、緩やかに戻る。1日、日本研究センターが発表した中期経済予測では「完全に戻るには24年度までかかる」と言う。
  ⇒ここまでは誰もが漠然と理解していていることだ。仕方がないとあきらめているわけではないが誰も話したがらない。ではどうすればいいのか。
  コロナ禍に萎縮しないで、テレワーク(在宅勤務)、オンライン商談など働き方や事業モデルのデジタル化の進展をいち早くキャッチして、人材や技術などへの投資を怠らず、コロナ後の新しい需要を取り込む道筋を考えることだ。
 大企業ばかりではなく、地方の中小零細企業でも同じことが言えるだろう。

2020,07.05 コロナウイルス感染再拡大への備え

  新型コロナウイルスの新たな感染者は、2日、東京都で107人と、およそ2か月ぶりに100人を超えたほか、埼玉県や千葉県、神奈川県でも10人を上回り、全国で合わせて194人となった。遠く離れた北播磨市町民も無関心ではいられない。
  ・政府は、重症化しやすい高齢者や基礎疾患がある人へ感染が広がらないよう、東京都をはじめ自治体と緊密に連携して感染予防策の徹底を呼びかけるとともに、感染者と濃厚接触した疑いのある人にPCR検査を積極的に実施するなどして、二次感染の防止に全力をあげることにしています。(NHK73 556分)
  ・懸念するのは、感染した若い人が無症状のまま、家庭や職場などでウイルスを拡散させることだ。このまま感染者が増加すれば高齢者への波及も避けられず、重症者が増える可能性が否めない。
  東京にとどまらず、手洗い、マスク、3密の回避などの基本的な感染防止策を改めて徹底したい。(今日の神戸新聞・社説参照)
  ・日々の数字に一喜一憂せず、まずは一人ひとりが感染防止を心がけることが大切だ。
  どの国も頭を抱える難題ではある。だが市民に対応をゆだねるような姿勢は、責任回避のそしりを免れない。政治の真価が問われる局面である。(今日の朝日・社説参照)

2020.07.06 老後の備え・私的年金イデコで

  確定給付企業年金(DB)に入る会社員が最大月2万円まで個人型確定拠出年金(イデコ)に拠出できるようになる見通しだ。最大で月12千円しか積み立てることができなかったのを厚生労働省が改める検討に入った。少子高齢化で公的年金が先細るなか、私的年金による老後に向けた資産形成を後押しする。(日経7/06参照)
  ⇒日本の年金制度は3階建てで、1階部分がすべての人が対象の国民年金(基礎年金)、2階部分が会社員が加入する厚生年金となっている。任意加入の個人型確定拠出年金(イデコ)は3階部分。福利厚生の一環として企業が提供する確定給付企業年金や企業型確定拠出年金とともに私的年金に分類される。
  いずれも運用益は非課税で、受け取るときに一時金なら退職所得控除、年金なら公的年金等控除が適用される。イデコは掛け金も全額、所得控除の対象だ。
  企業型DCは掛け金を負担するのは企業が原則、企業なのでわかりにくいが、掛け金分を給与としてもらうと課税対象となるため、やはり税制メリットがある
  5月に年金改革法が成立し、202210月からすべての会社員がイデコに加入できるようになる。加入可能年齢も従来の60歳未満から最長で65歳未満に延びたほか、受取開始時期の選択肢も広がった。イデコの足元の加入者は160万人と、約940万人が入る確定給付企業年金に見劣りする。制度改正でどこまで加入者が伸びるかが焦点になる。
  ⇒個人型DCiDeCo、イデコ)は、2017年に対象が公務員や専業主婦に広がった。加入者は増加傾向が続いているが、現状では厚生年金の上乗せ部分に当たるDBを導入していない会社で働く人は月23千円まで、自営業の人は月68千円までイデコに拠出できる。一方、DBを導入する企業の従業員は月12千円までしか拠出できない。
  厚労省はイデコなどの確定拠出年金とDBで最大、月55千円まで積み立てられるよう制度を改める方針だ。DBの拠出額が月35千円に満たない場合、イデコの拠出枠を現状の月12千円から月2万円まで引き上げられるようにする。
  ⇒高校や大学卒業後定年まで、企業型確定拠出年金(DC)に加入している大企業の会社員であった社員の老後の備えは安心だろうだが、DCのない会社員や公務員、専業主婦は不足する老後資金を自分で確保しておくことが必要だ。
  もちろん、所得の中からコツコツと預金や株式で確保しておくこともできるが税制上のメリットが多いイデコは魅力的だ。老後資金形成の手段としてイデコを活用することを検討したい。

2020.07.07 教育のデジタル対応20年遅れ

  新型コロナウイルスの感染拡大が教育を揺るがしている。全国休校がもたらした学習格差、画一的な教育制度、再考を迫られる大学のグローバル展開―。教育の新たな形を示せるかがコロナ時代の国家の競争力をも左右する。
  「自宅にいる人も見えていますか」。東京都立白鷗高校(台東区)の教員が教室内の生徒20人とパソコン画面に映る生徒20人に呼びかけた。同校は6月の分散登校期間、対面とオンライン(遠隔)の併用授業を行った。
  休校中の4月に教員数人が始めた遠隔指導は全教員約70人が動画の配信をできるまでになった。生徒は宿題も遠隔で出した。田中幸徳副校長は「オンラインと対面を融合し、教育の質を高めたい」と意気込む。
  ・各国は先を行く。「最も遅れていることを改めて自覚した」。323日の国連教育科学文化機関(ユネスコ)での教育担当の閣僚級会合。フランスやイタリアなどの発言を聞いた萩生田光一文部科学相は絶句した。参加11カ国で日本以外の全てが休校中にオンラインで指導をしていたからだ。(今日の日経から)
  ⇒新型コロナウイルスの感染拡大で明白になったことの一つが日本の教育格差の実態だ。デジタル技術を教育変革に生かしデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組んだ東京の教育改革先進校と取り組めなかった学校の教育格差だ。
  その差は、教員数人が始めた遠隔指導により全教員約70人が動画の配信ができるまでになった学校とそれができなかった学校との差だとわかればさらに驚く。
  学校休校がもたらした学習格差は国内ばかりか、日本は世界各国に比べると、授業でのデジタル機器利用がOECD加盟国で最低水準。日本の教育のデジタル対応は20年遅れだと上智大の相沢真一准教授はいう。
  ・日本にも好例はある。3月の休校後すぐ遠隔授業を始め、4月には全小中学校に広げた熊本市だ。16年の熊本地震での休校の経験を糧に、18年度からNTTドコモなどと組み、タブレット端末の配備に力を入れてきたことが奏功した。
  ・日本もコロナ禍を受けて11台の端末を今年度中に配備する目標は立てた。しかし登校を再開した途端にオンライン指導をやめ、対面授業に戻る学校も相次ぐ。非常時も学びを止めず、新たな時代を生き抜く人材を育てようとする強い意志はそこにない。問われているのは危機感と覚悟だ。
  北播磨6市町の地方都市に住みながら、東京の先進校や、3月の休校後すぐ遠隔授業を始め、4月には全小中学校に広げた熊本市と比較することはナンセンスだ。コロナ禍が終息の兆しが見えてくれば元の対面事業に戻せばいいのだと言うのは最早間違いだろう。
  デジタル技術を教育変革に生かすデジタルトランスフォーメーション(DX)の波は元には戻せない。新型コロナがまるでビデオの早送りのようなスピードで大きな変化をもたらしているのだ。
  傍白
  デジタルトランスフォーメーション(DXDigital Transformationは、新たなデジタル技術を利用してこれまでにないビジネスモデルを展開することを意味するが、ここでは、新たな教育モデルを展開することとして用いている。

2020.07.08 未来の学びGIGAスクール構想

  現在のビジネスにおいてICT「Information and Communication Technology」を利用しないことは考えにくい。
  これからの時代を生き抜くには、問題発見・解決能力を養うとともに、ICTを手段として活用できる力が必要だ。次代を担う人材を育成するためICT教育の環境整備は急務といえる。
  学校へのICT導入は遅れている。そこで文科省は、GIGA Global and Innovation Gateway for All」構想を打ち出した。
  GIGAスクール構想とは、一言で言うと「児童生徒向けの11台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、多様な子どもたちを誰一人取り残すことのなく、公正に個別最適化された創造性を育む教育を、全国の学校現場で持続的に実現させる構想」をいう。
  GIGAスクール構想に沿った対応を行う教育ICT担当者が考えていくべきポイントは、①「校内LANの整備」、②「学習者用PC」、③「学習と校務のクラウド化」、④「ICTの活用」の4点。
  いずれも容易に実現できるわけではないが、① 校内LANの整備ではWi-Fiの導入などそれほど困難ではない。ただトラブル対処や高速性の確保が問題だろう。
  ② 学習者用PCの導入では、文部科学省は学習者用PCの標準的な仕様を公開している。「使いたい教材やソフトが導入した学習者用PCに対応していなかった」そんなことにならないよう、学校のカリキュラムや予算を照らし合わせながら入念に検討する必要がある。
  ③ 学習ツールと校務のクラウド化ではクラウドの活用を推奨している。児童生徒や教職員が使うツールは、従来のようにあらかじめPCにインストールするソフトウエアだけでなく、Webブラウザ経由で使うクラウド型のアプリケーションも導入の選択肢だ。次に校務システムではクラウド活用により教務、学籍、学校事務などを一括管理する「統合型校務支援システム」の運用を想定している。
  ICTの活用では「導入して終わり」ではなく、導入後の効果や使い勝手の確認も含めて、自治体による活用計画やフォローアップなど、継続的に改善を続けていくことが大切だ。(日経07/08 文科省のHp参照」
  文科省が打ち出したGIGAスクール構想では、ハード、ソフト以外に指導体制の整備を支援している。具体的には、教育委員会など全般的な助言を行う「ICT活用教育アドバイザー」のほか、学校におけるICT環境の設計などを担う「GIGAスクールサポーター」、授業計画の作成支援やメンテナンスなどに当たる「ICT支援員」の仕組みを用意している。つまり、文科省のGIGAスクール構想は、がハードもソフトも支援体制まで一体的整備を支援しているのだ。
  北播磨の地方都市を理由に、東京のICT先進校や4月に全小中学校に広げた熊本市と比較することは避けたい。
  やれない理由を探す前に、次代を担う子どもたちが高度化する知識情報社会を生き抜く力を養う「未来の学び」実現のため、早急に取り組むべきことは多い。


2020.07.09 コロナが変える日本型雇用と働き方

  新型コロナウイルスの感染問題をきっかけに仕事のやり方の見直しに注目が集まっている。在宅勤務が当たり前になり、それに伴い新たな物差しでの処遇制度も必要になる。企業の先進的な動きを点検しながら、コロナが変える働き方を考える。第1弾は「ジョブ型雇用」。ジョブ型雇用は職務を明確に規定し成果を評価しやすくする制度で、時間ベースの管理がしにくい在宅勤務とも相性がいいとされる。(日経/7/8 /7/9参照)
 ⇒「多くの日本企業が導入する『メンバーシップ型』では、社員は社命による転勤や配置転換で様々なポストを経験するのが一般的。だが、ポストの職務内容や責任範囲が不明確なため、成果の評価がしにくく、長時間労働につながりやすかった」が、その代償は年功主義による昇進と終身雇用で与えられた。
 ジョブ型では、最初に全ポストの「ジョブディスクリプション(職務規定書)」を作成する。
  ・職務規定書は具体的な業務内容や責任範囲、求められるスキルや技能、目的、資格などの項目が並ぶチェックリストで、ジョブ型を機能させるのに欠かせない。研究職なら具体的な研究テーマなどが明記され、別の仕事を振られても断ることができるようになる。
  ・ジョブ型にはそれぞれのポストに最適な人材を配置し生産性を高められる利点がある。会社側は職務規定書があれば、ポストにふさわしい人材かどうか、成果を達成したかどうかなどを判断しやすくなる。
  ⇒多くの日本企業が導入する『メンバーシップ型』雇用を維持してきたのが企業内労働組合、ジョブ型の多い欧州では労働組合は産業別や職種別組合が一般的だ。ジョブローテーションで年功序列・終身雇用に長く慣れ親しんだ日本型雇用慣行がコロナ感染拡大を機に大きく変わろうとしている。
  富士通はじめ大企業で始まったジョブ型雇用の導入が定着するのかどうか。日本型ジョブの模索は始まったばかりだ。生産性の向上を目指して、ジョブ、スキル、技能、ポスト、処遇、昇進から解雇まで検討すべき課題は多いが魅力的だ。

2020.07.10 子どもの感染率なぜ低い

子どもは新型コロナウイルスに感染しにくく、感染しても重症化はまれ―。大人に比べて子どもの感染報告が少ない理由が明らかになってきた。細胞の仕組みに鍵があるとされる。感染が再び増える「第2波」が懸念されるなか、専門家からは「感染拡大を防ぐための休校措置は効果が乏しい」との声も出ている。
 子どもの感染率が低いとの報告は、国内外から相次いでいる。日本の厚生労働省によると、71日時点で18512人の陽性者数のうち、10歳未満は1.6%306人)、10代は2.5%469人)。米国では627日時点で、04歳の患者が全体の1%514歳が同3%だった。韓国では、75日時点で、10歳未満が同1.54%10代が5.6%だった。(今日の日経から)
  ⇒子どもは新型コロナウイルスに感染しても症状は出にくい。「感染しにくい理由として指摘されるのが、ウイルスが細胞に感染する際の入り口となるACE2(アンジオテンシン変換酵素2)というたんぱく質だ。新型コロナウイルスは細胞の中に入りこむ際に「足場」として利用する」からだ。
 米国のマウントサイナイ医科大学の調べによると「子どもはコロナが入り込む細胞の表面にはたんぱく質が少なくウイルスが侵入しにくい。それに対して大人は細胞表面にたんぱく質が多くウイルスが侵入するからだ」と説明されている。
 ・子どもが感染したり重症化したりしにくいことや、子ども同士での感染拡大が少ない理由から、学級閉鎖の効果については慎重な見方が出ている。日本小児科学会の予防接種・感染症対策委員会は6月、子どもの感染例が少なく重症化がまれなことを挙げて「学校や保育施設の閉鎖は流行阻止効果に乏しい」などとする提言をまとめた。
  ⇒日本小児科学会のまとめによると子どものウイルスの特徴は以下の通り。
  ①患者の中で子どもの割合は少ない。②学校などのクラスターはない。あるいは極めてまれ。③成人と比べて軽症で、死亡例もほとんどない。④ほとんどの子どもの症例は経過観察や対症療法で十分とされている。⑤学校などの閉鎖は流行阻止効果に乏しい。逆に医療従事者が仕事を休む必要があり死亡率を高める可能性も。
  ・委員会の主担当理事を務める長崎大学教授の森内浩幸さんは(学校閉鎖などは)「単純に『する』『しない』の二元的問題ではなく、どの地域でどのようなタイミングでどの規模の閉鎖をすべきかは状況を見ながら判断すべきものだ」と話す。第2波の防止を目的とした一律の休校は、慎重に判断する必要がありそうだ。
  227日、安倍首相が全国一斉に臨時休校する方針を打ち出し、翌日文科省が全国の学校に学校休業を要請したことによる失われた200コマの学習時間は容易に取り返すことはできないが、第2波の防止を目的とした学校閉鎖や学級閉鎖は、各自治体の教委など「学校の設置者」が判断する。通常は各学校長に検眼が委任され校長が決める。慎重さが求められる難しい判断になる。

2020.07.13 国主導で「地方行政のデジタル」急げ

  デジタル化が遅れ、いらいらする自治体のお役所仕事を改めるにはどうしたらよいか。デジタル社会に適した標準的なシステムをつくり、それに合わせて仕事のやり方を変えるのが一つの道だ。
  首相の諮問機関、地方制度調査会は国が自治体のシステムを標準化するよう法律で定めるべきだと安倍晋三首相に答申した。自治体任せだった地方行政のデジタル化を、国主導に転換して加速させるための一歩と評価したい。(日経・社説 7/11から)
  自治体による地方行政デジタル化の遅れが全国民に露見したのは、国民1人当たり10万円を配る「特別給付金」支給の混乱と遅れだ。現オンライン申請された情報もその後、職員が統一様式の申請書に変換して紙に印刷し、郵送による申請書と同じ状態にしてから処理しなければならなかった。これでは郵送の方が早く支給できる可能性が高い。給付金への問い合わせに市区町村は人海戦術で対応するしかなかったので、現場職員は超多忙であったと言われている。
  ・自治体の情報化投資は年5000億円規模ある。だが、市町村ごとにシステムがバラバラなため、一度決めたシステム会社を変えにくく競争がない。これがコスト増を招き、更新をためらわせてデジタル化を遅らせてきた。この悪循環を断ち切るのが標準化だ。
  国はまず住民記録を標準化し、2022年度にも新システムを提供する。工程表では、税務、国民健康保険、介護、児童手当なども20年代の標準化を目標とする。だが、現下の立ち遅れを考えれば担当府省はもっと急ぐべきだ。
  ⇒(自治体のデジタル化に)「各府省が及び腰なのは自治体との調整が重荷だからだ。システムの標準化は仕事のやり方を変えるため、現場の自治体職員は抵抗しがちだ。自治体には「独自の仕様は住民のために工夫を重ねてきた結果だ」との自負もある。大規模政令市では職員労働組合の壁もある」という。
  それでは、デジタル化の立ち遅れを解消するため、都道府県や政令指定都市以外の小規模自治体はどうすればよいのか。
  ・システム会社の言いなりにならず、デジタル化を進めるには専門人材が必要だ。民間人材を採用した市町村は6%。単独で無理なら複数の市町村で共有してもよい。システムは人口規模の似た市町村の協力が有効で、クラウドを使えば遠隔地でも連携できる。
  国主導で進めるにしても、それを受け入れる職員の意識を変えるには首長のリーダーシップが欠かせない。人口減少で財源や人材の制約が強まる将来に向け、首長はデジタル化が地域の存続の条件になると考えるべきだ。
  ⇒自治体のデジタル化は緊急を要する。最も重要なことは「首長のリーダーシップ」と専門人材。国主導の工程表に準拠して標準化を急ぎ、民間に劣らない「デジタル自治体」の実現を急ぎたい。

2020.07.14 コロナ対応の補正予算と財政赤字

  新型コロナ危機は安倍政権の財政運営を大きく変えた。事業が立ちゆかなくなった企業や個人への助成金、国内居住者への一律給付金など雇用・社会保障分野を中心に歳出は拡張の一途をたどった。
  コロナ対策が最重要の課題なのは当然だが、十分な検証なしに歳出を増やした項目もある。政権は近く2020年度の骨太の方針を閣議決定する。この間の財政運営を丁寧に振り返り、規律回復の視点も忘れぬようにしてほしい。(日経・社説07/10から)
  ⇒新型コロナウイルス対策として、政府は第1次で総額25兆7千億円、第2次で総額31兆9千億円、という巨額の補正予算を編成したことにより、20年度の歳出は160兆円に拡張した。新規国債発行は90兆円、基礎的財政収支の赤字幅は66兆円に膨らんだ。
  現段階では具体的な使い道を決めない10兆円の予備費計上は、政権による恣意的な歳出の容認につながる懸念がある。点検を要する項目は少なくない。
  ・にもかかわらず、内閣府が8日の経済財政諮問会議に示した骨太方針原案は、財政規律の観点を素通りした。医療費抑制の目玉になるはずの後期高齢者の窓口負担問題も先送りした。基礎的収支を25年度に黒字転換する従来の政策目標は、達成が絶望的である。
  ・国内総生産の2倍超に積み上がった債務残高を圧縮する手立てを含め、中長期の手順を示すのが本来の骨太方針ではないか。  ・気になるのは、経財諮問会議の民間議員の力量低下だ。21年度の薬価改定について、製薬業界などはコロナ危機を理由に見送りを求めた。6月の会合で、中西宏明経団連会長は業界の意を代弁した。
  識見が高い者として会議に参加している自覚の乏しさを疑われても致し方あるまい。いま一度、タガを締め直してほしい。
  ⇒日経・社説子はコロナ危機でも財政運営に規律を求める機能を経済財政諮問会議の示す骨太方針に求めるのはよいとして「気になるのは、経財諮問会議の民間議員の力量低下だ」と言う。これでいいのだろうか。
  政府はコロナ以前から悪かった日本の財政がコロナ禍対策でさらに膨らむ財政赤字に危機感を持ち、ポストコロナの負担のあり方を常に考えておかなければならない。負担の議論を後回しにしては、日本経済は奈落の底に落ちるのだ。

2020.07.15 滝見橋1世紀の思い出 

  兵庫県加東市北西部の加古川に架かる「滝見橋」の架け替え工事が間もなく完了し、19日に新橋の使用が始まる。築100年近い旧橋は役目を終え、今秋に撤去される予定だが、近くに住む元同市教育委員長、大久保利政さん(78)は寂しそうな表情を見せる。13年前に地元の歴史書「新町の記録」を自費出版し、橋について、地域住民が巨額の工事費を出し合った経緯を記録した。「橋を架けることはまちの希望だった。今こそ、先人の志を知ってほしい」と願う。(神戸新聞7/14から)
 ⇒都市計画道路滝野梶原線に架かる新・滝見橋が1915時に開通する。旧橋の老朽化による掛け変えにより、橋脚数を5本から2本に、橋長を109mから131mに延伸、軒下高を23m高く、幅員は5mから13mに拡張、両側に歩道を設置している。
  旧・滝見橋の思い出は、昭和24年から30年まで対岸の新町にあった滝野、加茂小学校に通学した時、12年生は母親が自転車で送迎をしてくれたが、3年生になってからは子ども用自転車で通学した思い出がある。自由の利かない右足をペダルに括り付け、左足でこいだ。右側に転倒すれば大けがをする。われながら、よく工夫したと思い出す。
  夏休みには、滝見橋の上滝野側付け根にあった滝野天理愛児園脇の細い藪道を下り、橋桁・ピーアの脇まで行き、小さな溝をつくり、俎上するイッサンコ(ゴリ)を捕った思い出がある。
  滝野橋開通後の交通体系は、国道175号線・新町交差点を西側に向けて走れば、県道・旧175号線の上滝野交差点、さらに市道・市場西脇線の春日神社交差点まで東西3本の幹線道路につながる。
  上滝野交差点から春日神社交差点までは幅員が狭く、通学路やJRの踏切もあるので大型車の双方向通行は困難だが大型車進入禁止の標識はまだ見当たらない。

2020.07.16 「GoTo」キャンペーン延期論を支持

  政府は、国内旅行料金の半額相当を補助する事業を22日から始める。新型コロナウイルスの影響で需要が低迷する業界を支援する「Go To キャンペーン」の一環だが、時宜にかなっているとは言い難い。
  5月末の緊急事態宣言解除から新規感染者数は全国で増えている。7月に入り連日のように100人を超す東京都は、警戒レベルを最高水準に引き上げた。感染拡大の第2波は着実に迫りつつある。
  このタイミングで都道府県間の往来を政府が率先して奨励すれば、感染増に拍車を掛ける可能性が否めない。全国一律でいいのか、実施時期や事業内容を再検討するべきだ。(神戸新聞・社説 07/16から)
  ⇒今日の朝日も同じ主旨の社説(不安の声を受け止めよ)を書いている。今日の時事通信 JIJICOMは「政府の旅行需要喚起策「Go To トラベル」キャンペーンが、22日のスタートを目前に壁に直面している。
  東京都を中心に新型コロナウイルス感染者が急増しているためだ。感染者の流入を懸念する各地の首長からは見直しを求める発言が相次ぎ、野党も追及を強める。ただ、鳴り物入りで実施を決めた政策の転換は安倍政権への打撃が避けられず、「安倍晋三首相も菅義偉官房長官も迷っている」(政府関係者)のが実情だ」という。
  昼のNHKニュースでは安倍首相は「Go Toキャンペーン」について、新型コロナウイルスの感染状況を高い緊張感を持って注視しているとしたうえで、専門家の意見も踏まえて、実施の在り方を検討する考えを示していた。
  菅官房長官は、午前の記者会見で「赤羽国土交通大臣から、対象となる宿泊施設で検温を実施するなどの感染防止策をしっかり講じる旨の説明があり、これに沿って、観光庁で各業界とチェック体制などの詳細を検討しているところだ」と述べていた。
  新型コロナウイルス対策は、第1段階は感染抑止優先、第2段階は感染抑止と経済の両立、第3は完全終息を見極め自由な経済活動の3段階で進められることが望ましい姿だ。
  5月に緊急事態宣言解除以後、コロナ感染者は一旦落ち着きを見せていたが再び東京から大阪へ次いで兵庫へと第2波は着実に迫りつつある。
  当初8月中旬開始予定だった「Go Toキャンペーン」を繰り上げて実施する時ではない。
  開始する場合は十分なコロナ感染回避策をとって、最初は県単位の安近短の小旅行や日帰り旅行から徐々に拡大すべきだろう。  今日の時事通信は「コロナ禍は峠を越したと都合よく判断した為政者が、経済活性化に前のめりになり状況を悪化させる。そうした一部の国の存在が、世界的な感染拡大を抑え込めない要因となっている。日本は、決して同じ轍(てつ)を歩んではならない」と説いている。
  今日の朝日・社説子は「感染拡大防止と社会経済活動をどう両立させるのか。その課題の重さと難しさを、安倍政権は改めて認識すべきだ」と安倍政権の前のめり姿勢を戒めている。賢明な国民の判断が求められている。
  傍白
  コロナ感染対策は感染確率を加味したエビデンスに基づき行うことが肝要で、ゼロリスクを求めれば対策は際限なく広がる。
  感染拡大の詳細が分からない現在では「さまざまなリスクを総合的に判断する必要がある」ということになる。

2020.07.17 エビデンスに基づく政策決定

  世界的に新型コロナウイルスの流行が第2を迎えつつある。第1波の経験から何を学び、どう対応するのか。その際に最も知りたいのは、第1波が経済にどのような影響を与え、経済対策がどのくらい効果があったかだろう。(日経・エコノミスト360°視点 渡辺安虎 東京大学教授7/17 2:00から)
  ・コロナ危機はこれまでの金融危機や経済ショックとちがい、経済主体による影響の異質性が極めて高い。企業であれば業種や取引相手、顧客の種類により減収幅などが大きくばらつく。個人も職種や年齢、性別、正規か非正規か、といった属性により影響度合いが異なった。
  この影響の異質性を、集計された公的統計から知ることは困難だ。例えば製造業の公表数字があっても、アルコール消毒液を作る企業もあれば、自動車部品を作る企業もある。公的統計はあくまで集約した数字が公表されるだけだ。統計の基になる個票レベルの「ミクロデータ」への機動的なアクセスは、政府外には閉ざされている。
  ・この4カ月間、コロナ危機をめぐる日本経済に関する論文などで公的統計のミクロデータを使ったものは私の知る限り存在しない。
  ⇒新型コロナウイルスの流行が第2波には第1波から学んだエビデンスに基づく政策決定を可能にすることが肝要だ。ところが、これを可能にする公的統計がない。
  ・素早く発表された分析は全て民間データを使っている。東大の研究者はクレジットカードの利用データを用い、一橋大などのチームは信用調査と位置情報のデータを使った。米マサチューセッツ工科大のチームは日本の求人サイトのデータを分析した
  ・政府統計の問題はミクロデータへのアクセスが閉ざされているだけではない。行政データのデジタル化の遅れにより、解像度と即時性を兼ね備えたデータがそもそも存在していない。これらの点はすぐに改善は望めないので、当面は民間データの利用を進めるしかない。
  ⇒「たとえば米ハーバード大のチェティ氏らによる、民間データを最大限利用する取り組みの結果、各種の経済対策が雇用に与えた効果が極めて限定的だった、ということが分かってきている」。
  これで私の疑問が解けたと納得している。さらに付け加えると、これまでのコロナ感染対策は感染確率を加味したエビデンスに基づき行われたとは思えない。(専門家は確率を語れ 国立病院機構仙台医療センター ウイルスセンター長 朝日7/11参照)
  ・しかしより大きな問題は、政府が様々な給付金や補助金の効果を把握するための仕組みを考慮していない点だ。たとえばある補助金を受け取った企業は、受給が1カ月遅れた企業とどのように影響が異なるのか。第2波のために経済対策を打つにも、政策の有効性が全く把握できていない。これでは政府が暗闇の中で意思決定するのと同じだ。
  ・証拠に基づく政策決定の整備が急を要する。政府がミクロデータを提供し、民間データとうまく組み合わせれば効果を測ることができる。今からでも予算の0.01%でも効果測定のために用いれば、第2波、第3波によりよく備えられる。政府は全速力で取り組むべきだ。
  ⇒安倍内閣による急ごしらえのコロナ対策には、首相と最側近の官邸官僚だけで判断した学校一斉休校要請や、首相側近の秘書官により生み出され、後にアベノマスクとも呼ばれた布マスクなどその効果に疑問があるものがある。
  ある程度やむを得なかったことではあるが、第2波、第3波の感染対策には第1波の経験を踏まえたエビデンスに基づく経済対策が求められる。いつまでもゼロリスクを求めて実施する念のため政策決定は許されない。
 227日、第15回新型コロナウイルス感染症対策本部において、安倍晋三総理が突如「全国全ての小学校、中学校、高等学校、特別支援学校について、来週32日から春休みまで臨時休業を行うよう要請した」(首相官邸HP
 ※のちに「アベノマスク」とも呼ばれる布マスク計画を生み出したのは佐伯耕三首相秘書官だった(朝日・首相側近読み違えた世論7/17

2020.07.19 骨太の方針のポイントとその評価 

  政府は17日の臨時の持ち回り閣議で、経済財政運営の基本方針(骨太の方針)を決定した。新型コロナウイルス対策で給付の遅れや煩雑さが問題になった行政手続きのデジタル化を促すため制度と組織を見直す。今後1年間を集中改革期間とし、内閣官房に司令塔機能を設け省庁に徹底する。(日経7/18 総合2から)
  ⇒「骨太の方針」の主なポイントは以下の5点。
①行政のデジタル化:今後1年間は集中改革期間。内閣官房に専門家と関係省庁を含む司令塔機能
②テレワーク:企業のテレワークの定着・加速を図るため新たな数値目標を策定
③財政健全化:財政見通しの数値 明示せず。経済・財政一体改革は20年末までに改めて工程を具体化・
④国土強靭化、防災・減災:必要・十分な予算を確保
⑤デジタル通貨:各国と連携しつつ検討
  最優先課題とした行政のデジタル化については、新型コロナウイルス対策で家計向けの10万円給付が遅れるなど、国と地方の情報システムの不備が露呈した反省があり、「骨太の方針」はデジタルガバメント(電子政府)の構築を「一丁目一番地の最優先課題」と位置づけ、今後1年を集中改革期間とする」と記した。
  このことについては、私はすでに「2020.07.13 国主導で「地方行政のデジタル」急げ」で自説を述べた。自治体システムの標準化が急がれる。
  2のテレワークについては、新型コロナウイルスの感染拡大を「受けて時間や場所にとらわれないテレワークが新しい働き方として広がった。骨太の方針では「在宅勤務やサテライトオフィス利用など企業のテレワーク定着に向けて政府としての数値目標をつくる」という(日経7/18 特集から)。
  3の財政健全化については、財政運営は見通しの数値を明確に示さなかった。2018年や19年の骨太の方針で示した計画通りに進めると強調したうえで「20年末までに改めて工程の具体化を図る」と記すにとどめた」。
  ・いまの世界は前例のない不確実性に覆われている。政府が未曽有の危機下で経済財政運営の目標を定めるのが難しいのはよくわかる。しかし中長期的な財政再建の道筋を示し、国民の理解を得る努力を怠るべきではあるまい。
  25年度に基礎的財政収支を黒字化するという従来の目標はもはや絶望的だ。これに代わる目標づくりも政府の重要な責務である(日経7/18 社説から)。
  ⇒今回の骨太の方針では国民に高い関心があり、最も肝要な「財政再建の道筋が見えず「画竜点睛を欠く」。
  日経・社説子の言う通り「言い放しの骨太なら要らぬ」。「従来もはや絶望的になった従来の目標に代わる目標づくりも政府の重要な責務である」。
  私は、この文末のまとめにエールを送りたい。第4、第5のポイントについては特段異存はないが、言い放しにならないことを祈る。

2020.07.20 全国世論調査から

  ・朝日新聞社が1819日に実施した全国世論調査(朝日7/20)の質問と回答から私の主観で関心のある項目を選んだ。詳細は原文をどうぞ。
◆安倍内閣を支持しますか。
支持する3331)▽支持しない5052
◆今、どの政党を支持していますか。
自民3029)▽立憲55)▽国民11)▽公明33)▽共産23)▽維新24)▽社民10)▽希望00▽支持する政党はない4746)▽答えない・分からない88
◆今の衆院議員の任期は来年の10月までです。衆院を解散して総選挙をするのはいつごろがよいと思いますか。
今年中がよい27▽来年がよい60
◆新型コロナウイルスを巡る、これまでの政府の対応を評価しますか。
評価する3228)▽評価しない5751
◆安倍首相は、感染拡大の防止に向けて指導力を発揮していると思いますか。
発揮している24▽発揮していない66
◆最近の新型コロナウイルスの感染状況を受けて、政府は、地域を指定して再び緊急事態宣言を出すべきだと思いますか。
出すべきだ65▽その必要はない25
◆新型コロナウイルスの感染が再び拡大することをどの程度心配していますか。(択一)
大いに心配している58▽ある程度心配している36▽あまり心配していない4▽全く心配していない1
◆新型コロナウイルスの感染拡大で生活が苦しくなる不安を感じますか。
感じる5648)▽感じない4250
  ※安倍首相を選んだ人は8%で、岸田文雄政調会長を推した層は1割だった。安倍首相と回答した人では「急ぐ必要はない」が78%に達した。
  安倍内閣の支持率は6月の前回調査から5ポイント増の43%だった。今回の支持率低下で特徴的なのは内閣の支持理由で「指導力がある」を挙げる割合の減少である。205月調査では13%と第2次安倍政権発足以降で最低になった。(3面)
  ・日本経済新聞社とテレビ東京は1719日に世論調査を実施した。新型コロナウイルスの感染拡大に対処する緊急事態の再宣言について「慎重に判断すべきだ」は62%で「速やかにすべきだ」の33%を上回った。安倍内閣の支持率は6月から5ポイント増の43%だった。
  感染拡大の第2波を防ぐための緊急事態宣言について「感染拡大を防ぐため速やかに再宣言すべきだ」と「経済的な影響を考慮して慎重に判断すべきだ」の2択で聞いた。
  首都圏(東京、神奈川、千葉、埼玉)と関西圏(大阪、京都、奈良、兵庫)で「慎重に」は67%だった。それ以外の地域は60%で感染防止をより重視する傾向があった。
  安倍内閣の不支持率は50%。不支持率と支持率は学校法人「森友学園」を巡る決裁文書改ざん問題があった20183月ごろの水準に近い。
  ⇒朝日と日経2紙の全国世論調査の結果を読みながら、大学・商学部では教養科目にも専門科目にも「統計学」があったことを思い出している。
  固定電話と携帯電話の両方を使って世論を調査する現在のRDD方式で(1819の両日に全国の有権者を対象に調査した。固定は有権者がいると判明した1937世帯から1032人(回答率53%)、携帯は有権者につながった2287件のうち1065人(同47%)、計⒛97人の有効回答を得て(朝日)全体を推し量る理論の信ぴょう性を知らないで、結果だけから判断して私の意見と変わらぬ意見が多いことに安堵の微笑を洩らしている。

傍白:
◆「Go To トラベル」について、開始の時期や対象の地域を決めるまでの安倍政権の一連の対応を評価しますか。
評価する18▽評価しない74(朝日)
国内旅行の需要喚起策「Go To トラベル」事業について東京発着分を除く22日からの開始時期を「早すぎる」と答えた人は80%いた。「妥当だ」と回答した人は15%にとどまった。「早すぎる」は首都圏と関西圏で77%だった。それ以外の地域では84%で事業開始に慎重な姿勢がみられた(日経)。
  ⇒翌日の朝日のトップニュースは、先日の全国世論調査項目から、私の主観で関心のある項目から外した項目の弥縫策(キャンセル料の補償)が掲載されている。関係省庁間の事前協議なきドタバタ対応がつづいている。

2020.07.21 新型コロナ感染 第2波が来る

  朝日新聞は世界の主な国・地域の感染者数と死者数を毎日掲載している。
  世界計:(感染者)14508892人、前日比+216887
  (死者)606206前日比+4049
  米国:(感染者)3773260人、前日比6 1796 人、(死者)140534
  日本計:(国内での感染者)25912人、前日比+419)、(死者)988人(+2人)
  ※ダイアモンド・プリンセス号(横浜)723人、死者13
  総数:(感染者)26331人、(死者)1001人(+2
  東京:(感染者数)9579人(+168人)、死者:327
  大阪:(感染者数)2499人(+49人)、死者:86兵庫:(感染者数)848人(+7人)、死者:45
  ※東京都内で21日、新型コロナウイルスの感染者が新たに237人確認されたことがわかった。小池百合子知事が同日、報道陣に明らかにした。3日ぶりに200人台となった。都内の感染者数が100人を超えるのはこれで13日連続となる。
都内の感染者は16日が286人、17日が293人、18日が290人と3日連続で200人台だった後、19日は188人、20日は168人で推移していた。
  感染者数の急増を受け、都は15日、感染状況に関する4段階評価の警戒度を最も深刻な「感染が拡大していると思われる」に引き上げている。(朝日・速報7/21() 10:51配信)
  ※水面下で感染を広げ、ときに感染者を一気に重篤に追い詰める。昨年12月に出現した新型コロナウイルスは国内でも猛威を振るい、ダイヤモンド・プリンセス号の乗船者を合わせ1千人を超す命が奪われた。特効薬はまだなく、治療法も限られる中、その多くが高齢者に集中する。感染が再び拡大すれば、死者が増えることは必至だ。
  7月15 日時点の日本での致死率は4.4%。鈴木基・国立感染症研究所感染症疫学センター長は「陽性者に占める死者の割合は世界平均とほぼ同じ。大半の死因である肺炎は、高齢ほど亡くなる割合が高いため、高齢者ほど致死率が上がっているのだろう」と指摘。感染者が全国的に再び増えていることを踏まえ「高齢者が多い介護施設や病院内で感染が広まると重症者や死者が増えるので注意が必要だ」と警鐘を鳴らす。(朝日・時々刻々 721日)
  ⇒国民周知のコロナウイルス感染、ニュースに新鮮さはない。第2波が明確になり、人口もコロナも東京はじめ大都会に1極集中、北播磨市町は例外のように安穏としてはおられない。大都会に住む子や孫、甥や姪とその子どもの夏休み里帰りに躊躇している人は多いだろう。今週末の4連休、さてどうしたらいいのだろうか。ステイホームは我慢の限界が近付いている。

傍白
  私のブログ 202006.30 3年続く「新常態」への移行期から
  米ジョンズ・ホプキンス大によると、世界の新型コロナウイルスの累計感染者数は1000万人を超えたのは6月28日だった。
  ブラジルなど新興国で新規感染が急増しているほか、先進国では米国で感染が再拡大し始めた。約6週間で倍増するなど拡大ペースは再加速している。(朝日6/30 日経・2020/6/28 21:22更新 参照)

2020.07.2「景気後退」認定へ、戦後最長ならず

  内閣府は201212月から始まった景気回復局面が1810月に終わり、景気後退に入ったと認定する方針だ。拡大期間は71カ月にとどまり、082月まで73カ月続いた「いざなみ景気」の戦後最長記録を更新しなかった。期間中の成長率は過去の回復期を下回り実感の乏しい回復となった。
  内閣府の経済社会総合研究所が7月中にも経済学者や統計学者、エコノミストらで作る「景気動向指数研究会」(座長・吉川洋立正大学長)を開き判断する。
  鉱工業生産指数など9指標をもとに検討し、後退局面への転換点を示す景気の「山」を1810月と暫定的に認定する見通しだ。(日経7/23から)
  ⇒ただ、現時点では実際に景気の転換点である「谷」がいつになるかは不透明だ。「景気の山・谷の判定に用いる景気動向指数は生産の動きの影響が強すぎるとの指摘があり、内閣府は産業構造や働き方の変化を踏まえて見直しを進める。今回の山の認定は暫定で、今後の検証で変わる可能性がある」(日経参照)。
  ・新型コロナで世界経済に打撃が広がる中、日本経済は景気回復局面にいつ転換するかが今後の焦点になる。政府は525日に緊急事態宣言を全面解除した。すでに「5月を底に景気は再び回復局面に入った」との見方が出ている。
  「世界経済は46月を底に回復軌道に戻るか、二番底に向かうかの分かれ道に立つ。企業の倒産や失業の連鎖が始まれば停滞は長引く」ことになるが、「エコノミストの間では、日本経済は緊急事態宣言が出ていた46月期を底に、回復に向かうとの見方が多い。
  ⇒コロナ禍による世界景気の後退は顕著で、日本経済の景気回復局面への転換は容易ではないだろう。(7/24加筆・更生)

2020.07.26 今後の年金改革・標準世帯の変化から考える

  夫婦に子供が1人か2人。家族と聞くと、このような世帯像を思い浮かべることはないだろうか。
  現実には夫婦・子世帯は全体の3割に満たず、最多ではない。にもかかわらず社会保障などの政策や制度は、このような「標準世帯」を前提に立案されるのが通例になっている。働き方や暮らし方の多様性を広げるためにも、夫婦・子世帯だけを標準とみなすやり方を改めるときだ。
  日本で夫婦・子世帯が典型的な標準だったのは、1960年代の高度成長期だろう。政策や制度のみならず、産業界の雇用報酬体系も、標準世帯を前提に形づくられてきた。その後のバブル経済の隆盛と崩壊の過程を経て、相対的に増えはじめたのが単身世帯、夫婦だけの世帯、一人親世帯だ。(今日の日経・社説から)
  ⇒近年、急速に少子高齢化が進み、世帯構造が変化している。ご近所を見渡しても長い間「標準世帯」と呼ばれた夫婦と子どもからなる「世帯」が減少し、高齢者の一人暮らしが増えている。三世代世帯や高齢の親が成人した子どもや孫と同居するケースが著しく減少している。
  地方都市で生まれた子どもは18歳になれば、都会の大学等に進学、卒業後は都会で就職、結婚、子育てをして地方に戻らない。地方に残された親は子どもが独立した後は夫婦のみで生活する、その後に配偶者と死別し、単身で生活するという期間が長くなっているのだ。
  ・働き方に関する世帯内の役割分担も急速に変化している。夫だけに稼得収入がある専業主婦世帯と共働き世帯の比率は、80年にほぼ同じだった。しかし2019年には専業主婦世帯の29%に対し、共働き世帯が66%(母数は少なくとも夫婦どちらか1人が就業する世帯)に拡大した。
  ⇒近年の家族構成の変化と働き方の多様化を「現役世代からみれば、虚構の受給額である。少子化と長寿化の進展で年金財政は今後さらに逼迫する。若い世代の備えを促すためにも、単身や共働きを前提にした見せ方を工夫する必要がある」と論理展開、続いて高齢者の年金改革に及ぶ。
  ・もちろん専業主婦を否定しているわけではない。家族のあり方に関する選択は個々人の自由だ。ただし世帯の違いによって負担と給付に大きなゆがみが出るのは、望ましくないだろう。
  世帯の変化は総人口の減少とともに加速する。20年後には単身世帯が全体の40%程度に増え、夫婦・子世帯は20%強に減ると、国立社会保障・人口問題研究所が推計している。男性の経済力に頼る女性が減り、未婚率や離婚率は一段と上がる。とくに単身世帯が目立つようになるのは高齢層だ。
  その点で、今後の年金改革は消費税収を活用した最低保障機能の拡充に重点を置くべきであろう。
  ⇒日経・社説子の論理展開とご意見に特に異存はないが、世代ごとに異なる社会保障の政策や制度への想いが異なり「年金改革」は容易ではない。

2020.07.27 少子化対策・若い世代をいかにひきつけるか 

  出生率が地域の少子化の実態を映していない。全国上位10県は10年前と比べ、いずれも率が高まっているのに子供は計16万人減った。出生率が最下位の東京都だけ子供が増えた。子供のいない若い女性が転出すると計算上、出生率が高くなる統計のアヤがある。やはり少子化対策は若い世代をいかにひきつけるかがカギを握る。( 飛田臨太郎・今日の日経・エコのフォーカス 7/27/20から)
  ⇒厚生労働省が発表した2019年の人口動態統計で、1人の女性が生涯に産む子どもの数にあたる合計特殊出生率は1.36となり、4年連続の低下になったことはよく知られている。
  出生率の上昇幅と子どもの増減率の変化から、「出生率上位の10県で子供が16万人減少し、合計特殊出生率が突出して低く最下位の東京(1.15)では逆に14歳以下の人口が減少せず、前年から3千人増えて155万人になっている」ことが説明できない。筆者は出生率が映さぬ少子化・落差の理由を探っている。
  ・落差の理由の一つは出生率の算定法にある。県単位で1549歳の女性がどれだけ子供を産んだかを割り出す。子供を産んでいない若い女性が県外に流出すると、分母が縮小して率は高まる。
  逆に東京のように若い女性の流入が続くと出生率が低くなりやすい。ニッセイ基礎研究所の天野馨南子シニアリサーチャーは「子供の数は出生率より女性の増減数の影響が大きい」と指摘する。
  天野氏が19年の住民基本台帳人口移動報告を分析したところ、転出入の差し引きで39道府県で92千人の女性が減っていた。9割は埼玉、千葉、神奈川の3県を含む首都圏への転出超過だった。20代が8割を占める。
  東京の女性は47千人の純増。小規模な市の総人口に匹敵する。転入超過数は男性の1.34倍。女性の方が東京に定着する傾向がある。人口の東京一極集中は若い女性や子供で顕著といえる。
  ⇒人口の東京一極集中は「若い女性や子供で顕著」であることが確認できると「子供の数は出生率より女性の増減数の影響が大きい」と意味付けることが可能になる。では、なぜ若い女性や子どもが東京に一極集中するのだろうか。
  ・少子化対策は出生率に目を奪われてばかりいては進まない。問題は子育て世代の女性が暮らしやすい環境をいかに整えるかだ。中央大学の山田昌弘教授は「女性登用が地方ほど進んでいない。能力を発揮したいと思う女性ほど東京に出たがる」と分析する。東京と地方では賃金格差も大きい。
  白河桃子・相模女子大学特任教授は男性の育児参加の推進に官民で取り組む三重県を例に「男女共働きで育児と仕事を両立しやすいと思える地域づくりが重要だ」と指摘する。新型コロナウイルス禍で、地方に住みたいという若い世代が増えているとの調査もある。
  2人の学者のご意見から東京が、地方(上位から長崎、長野、鹿児島、熊本、香川など)の女性を吸い寄せている実態が判明する。
  ただ、これを以て、日本全体の人口移動の趨勢を推し量り「若い女性の地方離れ」が影響していると断定できない。
   「少子化対策は若い世代をいかにひきつけるかがカギを握る」ことに留意して、コロナ禍で始まった「在宅勤務の広がりといった潮目の変化を見逃さず「若い女性を吸い寄せる東京の磁場が弱まる今は、地方の少子化対策の改めての好機かもしれない」と言う筆者のご意見は参考になる。

傍白
①子供の数は出生率よりも女性の増減が大きい。
②若い女性の地方離れが影響している。
③地方に住みたい若い世代が増えている。
⇒①は当然。②はその通り。男女の別なく18歳になれば都会の大学等へ、結婚して地方に戻る若者は少ない。
若者がグローバル化と情報のデジタル化で、都会にあって地方にないものを知ってしまった。大学、教養・文化施設、スポーツや・利便施設、観光、娯楽、子育て環境等々・・なんでも揃う都会、 狭いマンション住まいも慣れてしまえば、苦にならない。
は地方の頼みの綱。地方がコロナ禍で知ったテレワークなどが就労環境、子育てなど田舎の不自由を超える時、若者が地方に戻る。
若者に田舎の覚醒ができた時、彼らは田舎に戻ってくる。都会からの移住も増える。

2020.07.28 コロナ禍の危機対応で、財政破綻は起きないのか

  コロナ禍の危機対応で、財政破綻は起きないのか? いま財源論議はほとんど聞かれません。これまで警告を発してきた経済学者たちは、なぜ「沈黙」しているのでしょうか。(朝日・耕論 羊飼いの沈黙から)
  ・今年度の政府の国債発行予定額は2次補正予算までで250兆円を超えました。これまで財政規律を重視してきた経済学者たちも、コロナ危機への対応では、躊躇(ちゅうちょ)なく大規模な財政支出を伴う政策を提案しています。
  財政規律への懸念を示さなくなったのは「今のような低金利の環境ならばインフレは起きない」という判断からです。コロナ・ショックによる混乱かもしれませんが、スタンスのぶれが大きすぎます。
  「借金体質が極限に達すれば、物価が1年間で100倍を超えるハイパーインフレや財政破綻が起こる」。経済学者の中には日本の財政悪化が進む過程で、こんな警告を発する人が目立ちました。しかし、現実にはなっていません。この点だけみれば、学者の警告は、羊飼いの少年がついた「オオカミが来る」というウソなのかもしれません。
  しかし、極端なケースは絶対に起こらないと信じこんで、社会がより現実味のある物価上昇に対する備えを失うことは危険です。様々な想定をしてその備えをすることは、「羊」を守ることにつながると考えています。
  私も今回の国債増発でハイパーインフレが起こるとは、考えていません。ただ短期間に水準が23倍になるパターンは考えられます。
  こうした物価上昇は、日本銀行が金利を抑えるのが難しくなった局面で起こりえます。金利が少し上がるだけで世の中のお金の需要は急に縮む。しかし、膨大な政府債務はすぐには減らせないため、物価上昇で「穴埋め」する力が働くのです。消費者への影響は大きく、それだけで世の中は混乱するでしょう。
  ・経済学は私たちがいる場所を教えてくれる座標軸のようなものです。いまは現実と経済学の理屈との距離が広がっています。あまりにかけ離れると将来、調整を強いられます。経済学者は将来起こりうる懸念について語り続ける姿勢を怠ってはなりません。(「破綻」警告は空振りでも 斉藤誠さん(名古屋大学教授)
  ⇒イソップ物語の「狼少年」は、狼に育てられた羊飼いの男の子が何度も何度も狼が来たとうそをついたために本当に狼が来たときには信用してもらえなかった有名な話。
  日本の財政悪化が進む過程で財政規律へ懸念の警告を発した経済学者の警告は「ハイパーインフレや財政破綻が現実にはなっていない」点だけをみれば、羊飼いの少年がついた『オオカミが来る』というウソなのかもしれない。
  これまで警告を発してきた経済学者たちは、いま、なぜ「沈黙」しているのでしょうか。「破綻」警告は、例え空振りでも、将来起こりうる懸念について語り続ける姿勢を怠ってはならない。コロナ禍の危機対応は正論を一時封鎖してしまうのだ。
  経済学者の中谷巌さんは、論理展開は異なるが、「暗い物語・世間の需要なし」と言う。私は、無制限の財政ファイナンスの正当性を主張する現在貨幣理論(MMT)は否定的だが、学者には世間の需要に影響されることなく、説得力のある新しい経済理論が求められていることを忘れないでいただきたいと願う。

2020.07.29 GDP成長率 20年度マイナス4%台 21年度プラス3%

  政府は物価変動の影響を除いた2020年度の実質国内総生産GDP)の成長率をマイナス4%台半ばとする見通しをまとめた。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、年初に閣議決定した見通し(プラス1.4%)から大幅に下方修正する。
  リーマン・ショックのあった08年度の実績(マイナス3.4%)を超える落ち込みを予想する。(日経・速報2020/7/29 9:30から)
  ⇒実質国内総生産(GDP)の成長率は物価変動の影響を除いた成長率を言う。イメージとしては「基準となる年の価格で数量を評価したGDP」だ。
  基準となる年は現時点では2011(平23)年なので「11年の値段で測ったらいくらか」ということだ。
  ・近く開く経済財政諮問会議で示す。政府は毎年1月に翌年度の経済見通しを閣議決定し、7月ごろに足元の経済指標を反映して見直す。今年は2月ごろからコロナの感染が広がり、企業活動や人の移動が大幅に制約されるなど経済全般に急ブレーキがかかった。
  21年度の実質成長率の見通しについては、プラス3%台半ばとする。感染拡大の防止と経済活動との両立が進むことで景気は回復に向かうとみている。政府が21年度の経済見通しを示すのは初めてとなる。
  政府がこれまで掲げてきた「20年ごろに名目GDP600兆円」目標については、達成が23年ごろにずれ込む見通しだ。
  ⇒百年来のパンデミックと化したコロナ感染拡大の影響で、日本は20年に入る直前からの厳しい景気の落ち込みが続く2020。外需の先行きが不透明ななか、政府や日銀の対策を受けて、シナリオ通りに年後半にかけて経済が回復するかどうかが焦点となる。
  国民も企業もコロナ禍による「見えない不安」の長期化で経済危機が経済の基本的な需要と供給を大きく棄損することをよく理解している。
  短期に収まるシナリオを期待しているのは、113日に大統領選を控え支持率低下が止まらない米のトランプ大統領だが、安倍1強の自民党政権が安定している日本は、コロナの治療法やワクチンの開発・配布までかなり長期の行動制約により失業者、求職者の増加と企業業績の低迷のシナリオが続き、赤字企業や弱小企業の倒産が増えると危惧される。
  コロナ感染拡大防止に取り組みながら、社会・経済の再生を進めてゆく「新常態New Normalの時代が続くと覚悟しておきたい。
  アフターコロナを見据え新しい働き方や事業のビジネスモデルの転換を考える時が来ているのだ。

2020.07.30 東京五輪開催を考える

  新型コロナウイルスの感染拡大のために延期された東京五輪まで、あと1年となった。
  本来ならこの夏、国立競技場での開会式に続き、各国選手による競技の感動が世界に伝えられていたはずだった。あらためて感染症の世界的な影響を実感するとともに、夢が遠のいたことが残念でならない。
  ・開催となれば、感染者の多い国からの来訪もあり得る。7割の人が来夏の開催をためらう心情は十分に理解できる。IOCは再延期しないとの立場だが、感染状況次第では収束後への会期変更についても、日本側から提起する必要があるだろう。
  一方で、国民の安全が見通せない場合は、開催中止という選択肢も想定しておく必要がある。
  政府や組織委には、予定通りの開催という結論ありきではなく、感染防止を何よりも優先し、前例にとらわれない冷静な判断を望みたい。(今日の神戸新聞・社説から)
  ⇒パンデミックと化したコロナウイルスの感染拡大の影響で来年の五輪開催が危ぶまれている。
  大会の実施に向け、「共同通信社が7月中旬に行った世論調査では、東京五輪・パラリンピックを「再延期すべき」と答えた人が36%、「中止すべき」も34%に上った。世界の感染が収束するとは思えないとの理由が最も多かった」。
  開催となれば、感染者の多い国からの来訪もあり得る。7割の人が来夏の開催をためらう心情は十分に理解できる」。
  ⇒大会組織委員会によると来年の日程は、7月第4金曜日から17日間という当初計画を維持し開会式は7月23日となる。
  次に、米国の専門家・スポーツ経済学者の見方「東京五輪を新しい大会探る機会に」を紹介しよう。
  ・五輪は優れたアスリートたちが1カ所に集まり、平和と団結を世界に示す祭典だ。東京五輪・パラリンピックの開催には、コロナ選手やコーチ、審判らの安全確保が最低条件になる。新型コロナウイルスの検査やマスク着用、人と人が一定の距離を保つ「ソーシャル・ディスタンス」などを通じ、安全に競技を行う環境を整えなくてはいけない。
  世界中のスポーツファンがスタジアムで競技を楽しむためには、さらに高いハードルがある。観客を入れて開催するためには、開催時までに新型コロナのワクチンが広く普及している必要がある。
  ワクチンの普及状況をにらみながら、東京五輪の開催形態はギリギリまで予断を許さない状況が続く。無観客での開催となれば、10億ドル(約1050億円)近いチケット売上高が消え、大きな打撃となる。
  ・ギリシャの首都アテネで近代五輪が始まった1896年には大衆による世界旅行もインターネットもなかった。今や40億人がテレビやネットを通じて五輪を視聴する。開催都市の貴重な不動産資源や生活空間を破壊してまで、世界中から人々を集める必要はない。これからは夏季用と冬季用の恒久設備をどこかに設け、4年に1度トップアスリートが世界中の視聴者に興奮を与える。そんな新しい形の五輪を提案したい。(改めて考える東京五輪 アンドルー・ジンバリスト 日経・複眼2020/7/30から)
  ⇒どちらの意見も東京五輪を巡ってできるだけ開催中止を避け、新しい開催方法を提言している。ギリギリまで予断を許さない状況が続く、が残された時間は長くない。
  ※アンドルー・ジンバリスト Andrew Zimbalist 米スミス大学教授。スポーツ経済学者。地元ボストンの五輪招致運動を巡り反対の論陣を張った。著書に「オリンピック経済幻想論」など。72

2020.07.31 ラジオ関西・ラジトピ 鶉野飛行場から

 ① 特攻隊「白鷺隊」に高い関心 
  ・太平洋戦争中、姫路海軍航空隊訓練基地だった鶉野飛行場跡(兵庫県加西市鶉野町)。その周辺の戦争遺跡群の1つを加西市が平和教育の施設として整備した巨大防空壕シアターに関心が集まっている。621日から始まった特攻隊員の遺書を基にした映像の上映はいずれも満席。7月も既に予約で埋まっている。
  戦時中は自力発電施設だった巨大防空壕跡の内部は奥行き14.5メートル、高さと幅が各5メートルある。加西市が「防空壕シアター」として映像による平和教育の場に整備し、併せて姫路海軍航空隊で編成した特攻隊「白鷺(はくろ)隊」の遺書を紹介する映像を企画・制作した。
  白鷺隊は米軍の沖縄本島上陸が迫る1945(昭和20)年323日、鶉野飛行場を一斉に飛び立ち、大分県の宇佐海軍航空隊基地へ。宇佐基地で待機後、46日から54日まで5回にわたり、鹿児島県鹿屋市の串良基地から3人乗りの九七式艦上攻撃機で沖縄近海へ出撃し、2163人が帰らぬ人となった。
  公開された作品は、現代からタイムスリップし、出撃を前にした特攻隊員に会って話を聞くという筋書き。隊員が家族に宛てた遺書を読み上げ、文面も映し出される。作品は3編あり、合わせて9点の遺書が紹介される。
  39歳の大尉は2人の子どもに「素直な立派な日本人に育っておくれ」と願い、近く生まれる赤ちゃんの名前を記した。23歳の二等飛行兵曹は「何の孝行もせず死んでゆきます。敵の空母に体当たりしてみせます」、19歳の二等飛行兵曹は「父上母上、長い間ありがとうございました」と両親につづった。
  訪れた兵庫県稲美町の女性(59)は「特攻隊員はそれぞれ夢があり、したいこともあったはず。しかし、それを手紙には書き残せなかったと思う。戦争はしてはいけないと思った」と話した。以下略 (2020/06/29

 ② 鶉野飛行場跡の戦争遺跡群
  旧日本海軍戦闘機「紫電改」の実物大模型の公開が人気を集める兵庫県加西市の鶉野飛行場跡。周辺には戦時中の名残をとどめる戦争遺跡が点在する。最寄りの北条鉄道法華口(ほっけぐち)駅から、加西市が整備した遊歩道を鶉野飛行場跡に向かって歩きながらレポートする。
  ・駅を出てすぐ、路面に「飛行場跡1.7キロ」の表示。兵隊や面会の家族がいろいろな思いを胸に通った道を10分ほど歩くと爆弾庫跡がある。見るからに頑丈なつくり。その名通り、砲弾や爆弾、戦闘機の機銃弾などが保管されていた。
  ・道沿いにはコンクリート造りではない、素掘りの防空壕跡が今なお崩れることなく残る。説明盤には「崩落しにくい土質の場所を選んだ」と記されている。
  さらに進むと「姫路海軍航空隊」の看板が取り付けられた門柱と、衛兵詰所をイメージした建物が道の両脇に立つ。鶉野飛行場は1943(昭和18)年10月に発足した姫路海軍航空隊の訓練基地だった。
  ・パイロットの養成のほか、滑走路に隣接する川西航空機姫路製作所鶉野組立工場で造られた紫電、紫電改の試験飛行にも使われた。長さ約1200メートル、幅約60メートルのコンクリート製滑走路が当時のまま残っているのは全国的にも珍しい。以下略 (2020/07/27
  原文と写真は「ラジトピ鶉野飛行場」で検索してご覧ください。
  ⇒北播磨地域にあった旧日本陸・海軍の基地等の跡地は、以下の2か所
  明治21年、当時の加東郡、加西郡に跨る青野原に陸軍省騎兵局 青野軍馬育成所(明治29、軍馬補充部 青野支部に改称)が開設。明治32年、閉鎖され「青野原陸軍演習場」として転用。昭和201945)年8月大東亜戦争停戦に伴い、昭和21年、米軍に接収されたが昭和321957)年610日返還された「青野ヶ原陸軍演習場跡地。
  もう1か所は太平洋戦争中、姫路海軍航空隊訓練基地だった鶉野飛行場跡地だ。
  令和2(2020)年は、「戦後75年」、戦前に兵庫県内陸部・北播磨にあった2つの陸・海軍の演習場や飛行場の戦争遺跡を見学して、いつも「戦争はしてはいけない」と言っていた陸軍軍人の妻であった母の言葉を改めて思い出している。


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